CULTURE | 2018/09/03

日本のカワイイ文化の象徴「ハローキティ」がVTuberデビュー。企業や官公庁も注目し急拡大するVTuber関連ビジネス


©'76, '18 SANRIO 著作 (株)サンリオ   公式YouTubeチャンネル「HEL...

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©'76, '18 SANRIO 著作 (株)サンリオ   公式YouTubeチャンネル「HELLO KITTY CHANNEL」

文:伊藤僑

「ハローキティ」が公式YouTubeチャンネルを開設

「やりたいことは全部やる!」というポリシーのもと、今、ハローキティが攻めている。

今年6月30日に、JR西日本とコラボした500系新幹線「ハローキティ新幹線」の運行を開始して注目を集めたと思ったら、8月30日には、公式YouTubeチャンネル「HELLO KITTY CHANNEL(ハローキティチャンネル)」を開設。今度はVTuberとして華々しくデビューを果たした。サンリオによれば、これらの活動は「いつも自分らしくいたい」という、ハローキティ自らの意志で選んできた道だという。

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<ハローキティから配信開始にあたってのメッセージ>
YouTubeで「ハロー」っていうのに、ずっと憧れていました。今までいろんなチャレンジをしてきたけど、YOUTUBE CREATERは未知の世界。ドキドキや不安もあるけど、自分らしくやりたいことを、ハローキティの言葉で発信して行きます!チャンネル登録よろしくね♪

「世界中の人たちにも、自分らしく生きて欲しい」

そんな思いを込めてYOUTUBEクリエイターデビューしたハローキティは、ハローキティファンだけでなく、子どもから大人まで、幅広いターゲットに向けて、自らの言葉でメッセージを発信。今後は、国連サミットで採択された持続可能な開発目標SDGs(※)をはじめとした社会課題や教育にも目を向けた、多岐にわたる内容のコンテンツを配信していくという。

(※)持続可能な開発目標SDGs:2015年9月に国連サミットで採択された、持続可能な社会を世界レベルで実現するための目標。「貧困をなくそう」「質の高い教育をみんなに」など、17のゴール、169のターゲットから構成される。

続々とYouTuberデビューする人気キャラクターたち

人気キャラクターがYouTuberとして活動する動きは、今後も拡大していくことが予想される。

7月18日には、フジテレビの子供向け番組「ポンキッキーズ」の人気キャラクター「ガチャピン」が、YouTubeチャンネル「ガチャピンちゃんねる【公式】」を開設し、動画配信をスタートさせた。マネジメントは、人気YouTuber「Hikakin」「はじめしゃちょー」も所属する「UUUM(ウーム)」が担当する。

9月3日には、熊本県の営業部長兼しあわせ部長として人気を集める「くまもん」が、YouTubeチャンネル「くまもんTV」を開設。すでにYouTubeを活用してさまざまな活動の様子を配信しているくまもんだが、今後は正式なYouTubeチャンネルを開設して一層積極的に取り組んでいくという。詳しくはくまモンオフィシャルサイトへ。

急速に拡大するVTuber市場に企業や官公庁も注目

人気キャラクターが相次いでYouTuberデビューする背景には、バーチャルYoutuber(VTuber)市場の急速な拡大がある。

株式会社ユーザーローカルが集計・発表する「バーチャルYouTuberランキング」によれば、トップ3の8月末時点のチャンネル登録者数は、「キズナアイ」約215万(他にキズナアイのゲーム専門チャンネル約100万)、「輝夜月(かぐやるな)」約81万、「ミライアカリ」約66万。

人気YouTuberの「Hikakin」の約650万や「はじめしゃちょー」の約680万にはまだ及ばないが、VTuberトップの「キズナアイ」はYouTuberランキングでもベスト20に入りそうな勢いだ。

このようなVTuber人気の盛り上がりに、企業や官公庁も注目しはじめている。

日本政府観光局(JNTO)ニューヨーク事務所は、「キズナアイ」を訪日促進アンバサダーに任命し、日本観光プロモーションサイト「Come to JAPAN」を開設した。VTuberが観光大使になるのは世界初としている。

日本観光プロモーションサイト「Come to JAPAN」

教育分野では、人工知能プログラミング学習サービス「Aidemy」が、「講師が属人化し、多言語展開が難しい」という課題を解決すべく、VTuberによる機械学習の動画授業コンテンツの配信を9月3日に開始した。

エンターテイメント分野でも、今年4月には、BS日テレで「キズナアイ」の冠番組「キズナアイのBEATスクランブル」(木曜深夜。7月からは「キズナアイのばん組」に名称変更)がスタート。地上波のMXTVでも、7月よりVTuberのためのバラエティ番組「VIRTUAL BUZZ TALK!」(金曜深夜)の放送が始まった。8月にはVTuber「ミソシタ」がポニーキャニオンからメジャーCDデビューしている。

VTuberをビジネスに本格活用するための基盤作りも

ゲーム事業などで知られるグリーは、VTuber特化型のライブエンターテイメント事業を担う100%出資の子会社「Wright Flyer Live Entertainment」を設立。VTuberの発掘や育成、マネジメントを行い、動画番組を企画・制作、配信まで行うプロダクション事業を展開する。

8月2日に開催されたグリーの2018年6月期の決算説明会で、VTuberに決算会見を行わせたことからも、VTuberに寄せる同社の期待の大きさが分かる。8月7日には、世界初のVTuber専用ライブ配信プラットフォーム(配信アプリ)「REALITY」の提供を開始した。

世界初のVTuber専用ライブ配信プラットフォーム(配信アプリ)「REALITY

ビジネスにおけるVTuberの本格活用を模索しているのはグリーだけではない。

サイバーエージェントの子会社「CyberZ」は、VTuber(同社ではバーチャルストリーマーと呼んでいる)事業に特化した子会社「CyberV」を設立。バーチャルストリーマー特化型プロダクションを設立し、さまざまなジャンルにおける所属バーチャルストリーマーの配信技術の向上や、国内海外に向けた活動支援をしていくという。

VTuberの活動しやすい環境の実現に向けて、動画の内容やコメントをチェックするVTuber向けの監視サービス「バーチャルユーチューバーパトロール」も始動した。運営するのは、インターネット投稿監視の「イーガーディアン」だ。

このように、VTuberをビジネスに本格活用するための基盤作りも活発化している。VTuber活躍の場は、今後ますます拡大していくことだろう。


公式YouTubeチャンネル「HELLO KITTY CHANNEL(ハローキティチャンネル)