CULTURE | 2021/11/02

「だれにでもわかるNFTの解説書」出版記念!FINDERS米田とのNFT対談【連載】NFTが起こすデジタルアートの流通革命(10)

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ご縁があって、ライブパブリッシングさんから「だれにでもわかるNFTの解...

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ご縁があって、ライブパブリッシングさんから「だれにでもわかるNFTの解説書」を上梓しました。

FINDERSでも早い段階からNFTに注目し、さまざまな情報を発信しつづけています。今回、出版記念ということで、FINDERS米田編集長とNFT対談を行いましたので、その内容をお伝えします。現状のNFTの在り方、課題、そして、今後期待することについても言及していますので、お楽しみください。 

足立 明穂

ITトレンド・ウォッチャー、キンドル作家

シリコンバレーで黎明期のインターネットに触れ、世界が変わることを確信。帰国後は、ITベンチャー企業を転々とする。また、官庁関係の仕事に関わることも多く、P2Pの産学官共同研究プロジェクトでは事務局でとりまとめも経験。キンドル出版で著述や、PodcastでITの最新情報を発信しつつ、セミナー講師、企業研修、ITコンサル業務などをおこなうフリーランス。

日本初のNFT解説本

米田:今でこそNFTって盛り上がっていますけど、NFTの解説本ってキンドルの電子書籍なども含めて、足立さんがおそらく日本で一番に出したのではないですか?

足立:そうですね。2,3冊キンドルには出ていましたが、出品の仕方とかマーケットプレイスの説明がメインで、NFTそのものについてどういう意味なのか何が起きているのかを解説したのは初めてですね。今年の4月にキンドルの電子書籍で出したのですが、それがライブパブリッシングの目に止まって今回の出版につながりました。書店に並ぶ紙の本としても、初心者向けのNFTの解説書として日本で最初の本になっています。

米田:そもそも、どの辺からNFTについて関心を持ちだしたのですか?

足立:最初はビープルさんのデジタル絵画が75億円で売れたというニュースからです。それまでもNFTという言葉は聞いていたのですが、アートの世界のことかなと思ってそれほど関心を持っていませんでした。ビープルさんのニュースで、これは何かすごいことが起きているぞと思って、調べてみるとブロックチェーンと組み合わさった技術で、これは何かとんでもない面白いことになるぞ!と思うようになりました。編集長はどうでした?

米田:私の場合はクラブハウスを今年1月27日から始めて、2月にはNFTのことを調べていましたね。これはすごいと。これまで15年ぐらいネットメディアをやってきたけれど、ネット上のコンテンツを売るということがなかなかできず、広告モデルでしか運営できないというもどかしさを感じていました。NFTはネットのコンテンツを売ることができるので、これはすごくいいことだと思うようになりました。

足立:確かに、広告モデルから脱却できるというのは大きいですよね。

米田:これは希望の光だと思って、気持ちが盛り上がったので、3月にはNFTマーケットプレイスを立ち上げようと仲間を集め、資金を集めようと事業計画書いて投資家に説明しました。ただ、NFTの売買はイーサリアムという暗号資産で行うし、そもそも資本家にトークンが増えるとか、NFTとか説明しても、さっぱり分からんという反応でした(笑)。なので、泣く泣く、諦めましたね。

その後は、情報収集する中でNFTに詳しい人達とのつながりもできて、足立さんにもFIMDERSで連載をはじめたり、NFTの特集などを今年の夏ぐらいから扱うようになったりしたということです。

NFTの魅力とこれからのエンタテイメント

米田:足立さんにとっては、NFTの魅力ってどんなところにあると思いますか?

足立:私がすごく面白いって思っているのは、簡単にコピーできる、まったく同じデータが複製できるデジタルの世界に、「これがオリジナルだ」ということを証明できるところ。

デジタルは、コピーが簡単にできるから、あっという間に拡散して世界に広がっていくのはいいのですが、一方で誰が作ったコンテンツなのかが分からなくなるし勝手に著作権を名乗られても分からないですよね。だから、これまでは、とにかくコピーされないようにとコピープロテクションを強化することに技術が注がれていたのですが、それが強まれば強まるほど、利便性はどんどん悪くなっていまいます。

そこにブロックチェーンにだれのコンテンツなのかを刻み込むNFTが登場したことで、誰のコンテンツなのか、また、誰の手を経てオリジナルがどこにあるのかといったことも分かるようになったのは、ものすごく面白いと思っています。

米田:OpenSeaなどのマーケットプレイスを見ていると、まだまだjpeg画像が多いですよね。確かに、NBA Top Shotのような短い動画のデジタルカードもありますが、これからもっと大きなデータが扱えるようになってきたら、例えば、建築物のCADデータとか、2時間映画丸ごと1本がNFT化されるようになるのではないでしょうか?

足立:そうですね。今、OpenSeaなどもIPFSという分散型ファイル管理の仕組みと組み合わせるといった方法が出てきていて、今後はいろいろな形で巨大なデータもしっかりと保存されNFT化されていく時代になると思います。そうなると、一気にいろいろなものがNFT化されていくでしょう。

米田:そうなるとハリウッドの映画産業やディズニーなども、一気にNFT化が進んでくるでしょうね。すでに、ファッション業界は動いていて、ルイヴィトンやドルチェ&ガッパーナなどは動きが早かったですよね。

足立:アンソニー・ホプキンスは、新作をNFTで配給するという話をしていますしね。そういう動きが出てくると、今後日本でも同じように映画やドラマがNFTになる可能性があります。

米田:そうそう。日本は、コンテンツを作るのに政策委員会方式をとっていて、広告代理店・出版社・映画会社・IT会社などが関わってきて、NFT化するにも権利関係が複雑に絡み合っているので、調整が大変なんじゃないかと思っています。

足立:もうかなり昔、ISDNの時代に動画配信サービスの会社にいたのですが、テレビ局に古いテレビドラマをネットでオンデマンド配信しませんかという提案を行ったことがあるのです。テレビ局の回答としては、今、言われたように監督や役者、脚本、音楽など権利関係が複雑でとてもデジタル化するなんてできないということでした。

米田:ただ、最近はタレントさんも大手芸能プロダクションから独立して個人でやっておられる人も増えているので、そういうタレントさんにとっては、YouTubeに次ぐ新しい収益源としてNFTが使えるようになるかもしれませんね。

次ページ:NFTで日本の文化の危機を救えるか?

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