CULTURE | 2021/11/02

「だれにでもわかるNFTの解説書」出版記念!FINDERS米田とのNFT対談【連載】NFTが起こすデジタルアートの流通革命(10)

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ご縁があって、ライブパブリッシングさんから「だれにでもわかるNFTの解...

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NFTで日本の文化の危機を救えるか?

米田:日本には伝統芸能や文化遺産が多くあるので、これらのNFT化を急ぐべきじゃないかと思っています。そういう財産を持っている人達は、デジタル化とは程遠いところにいる人も多いので知らぬ間にデジタル化されてNFT化され、高値で売買されていることが起きかねません。古くは日本の浮世絵なども日本にはほとんど残っていないで海外に持っていかれています。同じようなことが起きるのではないかと危惧しています。

足立:古い作品など著作権が切れているものに関しては、デジタル化すること自体は法的には問題ないことになっています。とはいえ、文化財などは博物館や神社・お寺など所有者がいるので、著作権的なものが習慣としてあるので好き勝手にできるわけではありません。お寺や神社などで無断撮影禁止と書かれているのは、そうやってデジタル化されることや写真を勝手に販売されないようにしています。

米田:とはいえ、中に入らないでも外から見える建築物も多いですし、望遠レンズで大仏などを撮影されてしまえば、それをNFT化して販売することは止められないですよね?

足立:そうなのです。その撮影した写真の著作権はカメラマンにあるのですが、じゃあ、そこに映っているモノの意匠権といったものはどうなるのかなど、なかなか難しい問題があります。NFTが広まれば、これらの論点で、いろんな議論が巻き起こると思います。

米田:議論も巻き起こるし、訳のわからない裁判もあっちこっちで起きてくるでしょうね(笑)。

足立:ええ、まさに、ビットコインが最初に広まりだしたころ、法律の制約も何もなかったので、あっちこっちで想像できないようなトラブルが起きていたように、これからNFTでも訳のわからないトラブルが次々起きてくるかもしれません。そういう意味でも法整備は重要だと思います。

今後のNFTの広がりに期待すること

米田:今後のNFTに期待することなのですが、小学生の夏休みの自由研究が売れた話じゃないですけど、デジタルで何か創作活動している人の収入が得られるようになって欲しいなと思います。例えば、デジタルで絵を描いていた美大生や、コツコツとコンピュータゲームを作っていた人、デジタル動画を編集して短編映画を作っていた人など、そういう人達がアルバイトなどしなくてもNFTによって食っていけるようになるのではないかと期待しています。

自分自身も若いころにミュージシャンになりたいという夢を見ていたのですが、なかなか難しかった。でも、NFTが広がることで、夢を叶えられるアーティストが出くる、そんな世の中になってほしいと願っています。足立さんはどうですか?

足立:NFTによってデジタルの資産というのがはっきりと形になってくることで、これまで簡単にコピーされたり、あっちこっちに拡散したりしていって価値が下がっていくのが、誰の作品なのか誰が購入しているのか、だれの手元にあるのかということが明確になっていうことで、大きく世の中が変化していくと思っています。物理世界で制約があったようなこと、例えば、マイナンバーにしても今は何に使うのかよく分からないような仕組みになっているのが、NFTによって権利や制度などがもっと簡単に便利に利用できるようになると思っています。そして、その結果、今のように何かとIDやパスワードを入力しないと使えないというものから、そんなものを使わなくても簡単に利用できるサービスなどが出てくることを期待しています。これについては、今回の本「だれにでもわかるNFTの解説書」にも書いていますので、ぜひ、読んでいただけると、理解できるかと思います。


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