EVENT | 2021/10/15

日本発のステーブルコイン「JPYC」が日本人の購買行動に革命を起こす。岡部CEOのビジョンと現代にマッチした年齢性別関係なく採用する企業の在り方

現在、日本の金融市場で話題を集めている前払式支払手段型日本円ステーブルコイン「JPYC」。その生みの親であるJPYC株式...

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現在、日本の金融市場で話題を集めている前払式支払手段型日本円ステーブルコイン「JPYC」。その生みの親であるJPYC株式会社のCEOである岡部典孝氏にFINDERSがインタビューを行った。岡部氏のルーツから、JPYC発行に至るまでのアイデアとビジネスの変遷、そしてこれからの日本、若者へのメッセージまで単刀直入に聞いた――。

岡部 典孝(おかべ・のりたか)

JPYC株式会社CEO

2001年、一橋大学在学中に有限会社(現株式会社)リアルアンリアルを創業し、代表取締役、取締役CTO等を務める。 2017年、リアルワールドゲームス株式会社を共同創業。取締役CTO/CFOを経て、取締役ARUK(暗号資産)担当。 2019年JPYC株式会社を創業し、CEOを務める。 一般社団法人 ブロックチェーン推進協会理事、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

ゲームの中での資産は現実世界でも利用できるようになると思っていた

岡部 典孝氏

ーー 岡部さんは学生時代から社会人にかけてどのような変遷を辿ったんですか?

岡部:大学に入ったら自由に時間が取れるようになったので、ゲームばっかりしていたんです。「ウルティマ オンライン」というゲームに寝食を忘れて没頭していました。ゲームの中では財産を持っていたんです。ゴールドと言われている通貨、あと不動産です。でも、それだけでは、現実の世界では食べられないです。なので、将来どうしようかなと考えていた時に、ゲームのサーバー間取引が少しずつ起こっていたんですけど、詐欺があったんです。そういうのが起こらないような仕組みをつくって運用しようと思ったのが最初の起業でした。でも、時代からちょっと早すぎて上手くいかなくて、ネットゲームを作る側とか、懸賞ポイントサイトを作ったり、ゲーム内のポイントの実装など、エンジニアとして活動していました。

ーー大学を出て、いったんは就職されたんですか?

岡部:いえ、ずっと起業です。一橋の在学中に起業して、そのまま大学をドロップアウトして、最初の会社は一応まだ残っています。ずっと自分の会社で、社長かCTOをやっていました。

ーー ゲーム内で獲得した財産がゲーム内で使われるのは分かるんですけど、仮想通貨がだいぶ広まって、現実社会でも使われるようになってきたじゃないですか。その結び目、コネクトみたいなところはどの辺から考えていたんですか?

岡部:当時、2000年ぐらいにあったものとしては、ゲーム内のコインを使って、ゲームで使えるソフトウェアを買うビジネスが出始めていたんです。ゲームに関するエコシステムだったら、ゲームの通貨で買えて日本円ではなくてゲームの世界で完結させたいというニーズがあって、ゲームのグッズとかもゲームのコインで売買するみたいなことが自然発生的に起こり始めていました。当時でも小さな国のGDPぐらいは、ゲームの中でも経済圏があったんです。20年前ですらそうなので、しかも起こり始めたばかりということで、その世界が将来もっと大きくなって現実と仮想現実の境界線が段々なくなって行くだろうということを予想していて、1社目の社名をリアルアンリアルという名前にしたんです。まさに現実と仮想現実の融合をテーマにつくった会社だったんです。実際20年経ってようやく今ぐらいまでに来まして大きな方向性としては間違っていなかったとは思っています。

―― ビットコインは2008年にスタートしたことはよく知られていますが、当時から知っていたんですか?

岡部:いや、それを知っていたら今頃お金持ちです(笑)。2013年の5年遅れぐらいで、それでも早いんですけど、ある意味別の方に行って遅れてしまったという感じです。ブロックチェーン上で初めて自分が設計したコインをつくったのが2018年です。2018年にARUKCOINというのをつくりまして、そこからブロックチェーンに行ったんです。

―― では、JPYCの前身は日本暗号資産市場という社名ですが、それに込めた意味はどういったものだったんでしょう?

岡部:暗号資産というものがどうしても投機、投資ばかりに使われていて、買い物で使えじゃないかという不満を持っていたんです。私も「ARUKCOIN」を発行してコインでクツが買えるとかお茶が飲めるという世界を夢見て作ったんですけど、なかなか買えるようにならない。色んな暗号資産で色んなものが買える世の中を作ろうと思って、楽天市場さんみたいな市場という名前が良いなと思ったので、ストレートに暗号資産での市場を作るぞという意味で日本暗号資産市場という社名にしました。

―― 日本暗号資産市場はどういうビジネスだったんですか?

岡部:色んなモノを扱っている市場に出入りして自分たちが売るものを安く買ってきて、他の人に現金、場合によっては暗号資産でお売りする、そういう仕事をしていたり、あとは市場主という競り人の資格も持っていたので段ボールとかで送られてくる中古品を競りにかけて売るというようなこともやっていました。

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