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炎上ナシ!奇跡の珍企画「山田孝之のバスト測定」を成立させる仕事術|竹村武司(放送作家)【後編】
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  • 2018.07.18
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炎上ナシ!奇跡の珍企画「山田孝之のバスト測定」を成立させる仕事術|竹村武司(放送作家)【後編】

前編より続く)

俳優・山田孝之氏とのプロジェクトを次々ヒットさせた放送作家の竹村武司氏。直近では山田氏が5時間半にわたって約300人の女性のブラサイズを測るという珍企画「ふんわりルームブラ バスト測定1日受付」を手がけ、大きな反響を巻き起こした。

インタビュー後半では、このバスト測定企画がいかに決定したのか、竹村氏からみた山田氏の魅力、そして今後手がけてみたいプロジェクトなどについて語ってもらった。

聞き手:米田智彦 構成:立石愛香 写真:神保勇揮

竹村武司

放送作家

大学卒業後、広告代理店を経て、放送作家の道へ。現在は『ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン』(Eテレ)のアニメ脚本、『天才てれびくんYOU』(Eテレ)、『世界さまぁ〜リゾート』『この差ってなんですか?』(TBS系)、『痛快TVスカッとジャパン』(フジテレビ系)、『あいつ今なにしてる?』、『くりぃむクイズ ミラクル9』(テレビ朝日系)、『BAZOOKA!!!』(BSスカパー)などの構成を担当。ここ数年は『山田孝之の東京都北区赤羽』『山田孝之のカンヌ映画祭』『山田孝之の元気を送るテレビ』(テレビ東京系)など山田孝之の出演作品を多く手掛けている。

「バスト測ったら面白いんじゃないか」「そうだね」

―― 『赤羽』以来、竹村さんはずっと“山田孝之関連の仕掛け人”みたいになってるじゃないですか。最近も、ネットでめちゃくちゃバズった「山田孝之がブラジャーのサイズを測る」っていう企画にも関わっているんですか?

竹村:はい。

―― あれって、山田さんに仕事をお願いする権利を、オークションでブラジャーのメーカーが約2,700万円で落札したんですよね。それをどういうふうに企画に落とし込んだんですか?

竹村:元々、山田孝之が「me&stars」っていうベンチャー企業のCIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)として経営陣に入るっていうので呼ばれたんですよ。ぜひ企画屋として立ち上げメンバーに入ってくれと。スターがモノじゃなくて体験をオークションで売るという、『とんねるずのハンマープライス』みたいな事業で、その第一弾が山田孝之だったんですよ。

それで、「一日受付」の権利を売ることにしたんです。一日署長とかあるけど実際に署長の業務はやらないじゃないですか(笑)。それが嫌だって山田孝之が言い出して。じゃあ一日受付なら落札した人によって企画の幅が広がるなと思って。それで落札したのがブラジャーのメーカーだったんですが、ただブラジャーを売っても面白くないから、バスト測ったら?っていうぐらいで、恥ずかしながら単なる思いつきでしかないです。

―― それで300人のバストを測ったんですよね。総勢で226m56cmでしたっけ?

竹村:そのドキュメンタリーも作ったんですけど、それも松江監督ですよ。

―― これYouTubeに上がってますよね?

竹村:パート3まであるんですけど、オチのパート3はme&starsのアプリ上でしか観られないんですよね。いやらしいことに(笑)。

―― こういう時、山田さんってやる・やらないの判断は即決なわけですか?

竹村:早いんですよ。やる・やらない、どっちも即決ですね。今回も「バスト測ったら面白いんじゃないか」「そうだね」ってぐらいです。お互い、愉快犯気質なので、一緒にイタズラ考えてる中学生の感覚ですね。

―― 俳優がバストを測るって前代未聞ですよね。参加した女性たちのツイートを読む限り、満足度はものすごく高かったみたいですけど、一歩間違えれば炎上しかねないという。

竹村:今回のイベントは「趣旨に同意した人だけが参加している」という立て付けなので、最初から心配していませんでした。最近、#metooだセクハラだって、男女の関係性が窮屈になってたんで、そこに一石投じたい意識はありましたね。バラエティ的な尖った企画がやりづらい、息苦しい時代だみたいなことが言われたりもしますけど、とんち次第でまだまだ全然イケると思いますし、そこを信じてないとやってられないです。 

山田孝之を俯瞰して見る山田孝之がいる

竹村:山田孝之のいいところは、常に本気っていうところなんです。彼は何やらせても本気だから面白いんですよ。山田孝之がやってつまらないものを挙げる方が難しいと思います。すべて吸収して自分のものにして面白くするパワーがある。そういう意味では僕はラッキーなんですよね。

―― 山田さんのスゴさって不思議なものがありますね。『山田孝之のカンヌ映画祭』で、故郷の鹿児島に行くシーンがあるじゃないですか。で、お父さんに会ったりだとか、当時、住んでた家があった場所に行ったり。要は中学までは鹿児島の田舎の普通のあんちゃんだったわけですよね。それがなんで日本を代表するような名優になって、何をやらせても面白いようになったのかっていうのがすごく不思議です。

竹村:すごい人たらしなんですよ。女も男もみんな好きになってしまうんです。大人っぽいし、子どもっぽいし、頑固だし、柔軟だし、魅力が幅広いんです。でも一番すごいところは、客観性を持っていることですね。

実は相当策士で、常に「山田孝之を俯瞰して見ている山田孝之」がいるんですよ。プロデューサーでありプレイヤーであるっていうところが最大の強みで、究極のバランサーでもあるというか。

―― この世代の役者さんって豊作じゃないですか。その中でも、山田さんはかなり異色の存在ですよね。

竹村:一人だけ孤高ですよね。『赤羽』の主題歌の『TOKYO NORTH SIDE』に出てくる歌詞で、「俺を笑う俺がいる/それを見ている俺もいる」って、まさに山田孝之のことなんですよね。入れ子構造で山田孝之がいるっていう。

―― あの曲を、DVD発売記念イベントでTHE YELLOW MONKEYの吉井和哉さんが歌いましたけど、山田さんバージョンの方がよかったですね(笑)。って、吉井さん自身もMCで言ってたじゃないですか。歌も上手いんですよね。

竹村:ムカつくんですよ(笑)。何でもできるんですよ、本当に。

放送作家・竹村武司の仕事術

―― 今は他にどんな番組やられているんですか?

竹村:今はEテレが多いんですよ。『クックルン』のアニメの脚本とか、『天才てれびくんYOU』とか、変わったところだと『いないいないばあっ!ワンワンわんだーらんど』っていう舞台公演の脚本書いてたりだとか。それが僕が抱えてる仕事の中で一番難しいですね。

―― どういったところが難しいんですか?

竹村:0〜2歳児を喜ばせるのって、思ってる以上に難しいんですよ。大人を笑わせるのって、ある意味簡単なんです。っていうのも、お互い、ある程度長い時間人生を歩んできてるので、共通のお約束が多いんです。パロディだったり、言葉遊びだったり、逆説だったり、笑わせ方っていろいろあるんですよ。でも、0~2歳児にはそれらが一切通用しない。もっとプリミティブな次元でキラキラした目で見てくるので。だから「人間はなんで笑うのか」っていう根源的なことを考えなくちゃいけない。

―― ある種、哲学的ですね。

竹村:「あ、人間ってこんなところで笑うんだ」っていうところに気づかせてくれるというか。やっぱり子どもは先生ですね。

―― 下ネタ的なことですか?

竹村:いや、まあうんこちんこではもちろん笑うんですけど(笑)、それはEテレなんでできないんで。例えば動きとか発声がだんだん速くなると笑うんですよ、子どもって。同じことをやるじゃないですか。次速くやるんですよ、次もっと速くやるんですよ、ってやると子どもって笑うんですよ。

―― 基本的には、お笑いしかやらないんですか?

竹村:そんなことないですよ。今、お笑い番組は絶滅危惧種なので、そこだけやってたらこっちも絶滅してしまうので、流行りの情報バラエティもやってます。

―― どんな番組をやってるんですか?

竹村:TBS系の『この差って何ですか?』です。あとはフジテレビ系の『痛快TVスカッとジャパン』の再現ドラマの脚本を書いたり、『あいつ今何してる?』(テレビ朝日系)っていう番組とか、『くりぃむクイズ ミラクル9』(テレビ朝日系)でクイズをつくったりとか。頼まれたら何でもやります。

―― どうやって時間管理、スケジュール管理してるんですか?

竹村:管理できてないですね(笑)。ぐじゃぐじゃです。

―― お子さんもいらっしゃるそうだし。

竹村:はい。二人目が産まれたばかりで。バッタバタです。

―― じゃあ家にいなきゃいけないじゃですか(笑)。

竹村:イクメンなんて口が裂けても言えないです。夜中に帰るんで、夜中泣いたらミルクあげるみたいなことしつつ、奥さんのご機嫌を日々伺っています。大事なのは視聴者の動向より奥さんの動向です。でも娘が僕の担当してるEテレの番組を観てくれるんで、最高のやりがいですよ。『赤羽』とか『カンヌ』とか、ましてや『BAZOOKA!!!』なんて子どもはちんぷんかんぷんなんで(笑)。だからでかいですね、Eテレやってるのは。

―― 山田孝之さん以外で注目されている俳優とか芸人とかはいますか?

竹村:芸人さんは面白いのが当たり前じゃないですか。だからすごいし、100%尊敬なんですけど、だからつまらないっていう考え方もあると思うんです。そのまんまじゃんっていう。

僕は風俗もキャバクラも行かないんですけど…というのは、風俗って女の子が出てきてエロいことしてくれるじゃないですか。なぜなら僕がお金払ってるから。それって当たり前で面白くないんです。

でも風俗行ってエロいことしようとしたら、「やめてよ!気持ち悪い!」って言われたら面白いってなると思うんですよね。「えー!エロいことするお店なのに!?」(笑)。それって「新しい!」となるんです。なので僕はお笑いのイメージがない俳優さんとかで変なことやりたいんです。

―― 当たり前に対する反骨心みたいな?

竹村:めちゃくちゃあります。お笑いだと手練れの作家さんがいっぱいいるんで、僕がやってもっていうのがありますね。一人ぐらい違うことやってもいいんじゃないかって。それがベースにありますね。

放送作家になる方法:竹村武司の場合

―― ところで、放送作家ってどうやってなったんですか?

竹村:放送作家って100人いたら、なり方って100通りあると思うんですけど、僕は元々広告代理店のサラリーマンだったときに田中直人さんっていうすごい放送作家さんと出会うきっかけがあって。その人は『ザ!鉄腕!DASH!!』のチーフ作家さんだったんです。

飲み会で「放送作家になりたいんですよ」って言ったら、「なりたいんだったら『ダッシュ』用の企画を30個考えてきて」って言われて、書いて、添削してもらって、今考えるとありがたいことなんですけど、「ここはこうするとテレビ的だよ」って3週間ぐらい添削してくれて。3回ぐらい出した時に、「じゃあ1回会議を見に来たら?」って言われて、僕、サラリーマンやりながら週イチで会議出てたんですよ。会社に外回りって嘘ついて。一人スーツとネクタイして、しかもネタ出しまでしてたんです。

『ダッシュ』のスタッフにも「こいつ誰?」って思われていましたね。それでも楽しかったんですよ。ミーハーだったんで。で、3カ月経ったころにその田中直人さんとプロデューサーさんに「竹村君が本気なら、『ダッシュ』の作家にしてあげるよ」って言われて。次の日に会社を辞めましたね。

―― ええっ!? 次の日に辞めたんですか?

竹村:それはもう憧れだったんでなれるなら辞めますよ。今考えると若気の至りすぎですよね、よく辞めたなと思いますけど。

―― でも放送作家の収入ってどうなってるんですか?

竹村:そこは、僕こう見えてちゃっかりしっかりしてるんで、ギャラもきちんと聞いて、あ、このギャラもらえるなら辞められるなって思ったんですよ。

―― それは『ダッシュ』だけで?

竹村:最初から『ダッシュ』の他にもう一本、深夜のコント番組の仕事がありました。ギャラを聞いて、この2本だったら大丈夫かなって。

―― それ何歳のときですか?

竹村:26歳とかのときですね。僕遅いんですよ。

―― 遅咲きですね。だって秋元康さんとか、高校2年生とかで放送作家デビューしてますし。

竹村:なので、ますます自分は人と違うことをやらないとなって思いました。

日本中の猥談を集めて本にまとめたい

―― 今後やりたい企画とかありますか?

竹村:めちゃくちゃあるんですよ。ありすぎて。自分自身がやりたいことがあって、僕、民俗学が好きなんですけど、柳田国男と宮本常一がやり残したことが1つだけあるんですよ。

―― 何ですか?

竹村:日本中の猥談を集めたいんですよね。怪談とか民間伝承は集まってるんですけど、猥談はないんですよ。昔の日本人は性におおらかだったって話は出てくるんですけど、特化した本がないなーって。エロい話って、意外にその土地に根付いてたりだとか、人間の根源的な文化に結びついてるんで、純粋に面白いですし、1冊の本にしたいなって。まあ、本当は単純に猥談が好きってだけなんですけど。

―― 本ですか。自分の番組じゃなくて?

竹村:そうです。旅もできるし。

―― では、もう2つぐらい今後やる番組を教えてくれないですか?

竹村:そうですね。今年の10月から松江監督とまたテレビの企画をやるんで、楽しみにしていてください。

―― お!山田孝之シリーズの続編ですか?

竹村:じゃないです。今ちょうど撮影してるんですけど。

―― へえ。それすごい楽しみですね。

竹村:面白いというか、誰も観たことない番組ですよ。

―― メインは山田さんじゃなければ誰なんですかね。すごく気になります。

竹村:すごい人ですけど、それはちょっと言えないです。まさか受けてもらえるなんて。あとは…「死」を扱った番組をやります。「死」はテレビにおいて究極のフェイクじゃないですか。俳優さんや芸人さんが本当に死ぬわけにはいかないんだし。この究極のフェイクをいかにエンタメに落とし込むか、今、みんなでうんうん唸ってます。


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