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ソロデビュー10周年で歌も演技も文章も日本のトップに なぜ星野源は国民的ヒットメーカーになれたのか【連載】テレビの窓から(5)
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  • 2021.03.09
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ソロデビュー10周年で歌も演技も文章も日本のトップに なぜ星野源は国民的ヒットメーカーになれたのか【連載】テレビの窓から(5)

イラスト:IKUMA

木村隆志

コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者

「忖度なし」のスタンスで各媒体に毎月30本超のコラムを寄稿するほか、テレビ・ウェブ・雑誌などにメディア出演し、制作現場への情報提供もしている。人間関係コンサルタントや著名人専門のインタビュアーとしても活動中。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

才能なしのレッテルと「普通」の容姿

現在、任天堂「スーパーマリオブラザーズ 35周年」テーマソングの『創造』がヒット中。ソロデビュー10周年イヤーであることも含め、星野源のメディア出演が増えている。

歌えば、チャート1位を記録するほか、5大ドームツアーで33万人を動員。演じれば、主演作『MIU404』(TBS系)が人気を集め、映画『罪の声』で『第44回日本アカデミー賞 優秀助演男優賞』を受賞。エッセイを発売したらアッという間にベストセラー。今や星野源は、「芸能界トップの国民的ヒットメーカー」と言っても過言ではないだろう。

さらに特筆すべきは、とにかくファンの熱が高く、その層が分厚いこと。だから何を作っても結果が出るし、メディアも星野源の関連番組や記事は稼げるため積極的に制作し、それがさらなる人気につながり……というポジティブなサイクルにつながっている。

しかし星野源は昨年12月、婚活女性が定義する“普通の男性”に「容姿は星野源」と挙げられて物議を醸したように、誰もが納得するイケメンではないし、身長も168㎝。加えて、人気者になるまでさまざまなジャンルの関係者から「才能がない」と言われてきたことを自ら明かすなど、スターらしい華をほとんど感じさせない。

では、どのように道を切り拓き、なぜこれほどの国民的なヒットメーカーとなれたのか。ソロデビュー10周年のタイミングであらためて掘り下げていきたい。

「自信も才能もない」という自覚の強み

星野源の肩書きは、基本的に「音楽家、俳優、文筆家」の3つで紹介されることが多い。ただ、どれも自信があったわけでも、才能を信じていたわけでもなく、むしろ「自信も才能もない人がヒットを作り出せたら面白いのではないか」という発想から活動がスタートしていった。

たとえば、「歌に自信がない」から19歳ではじめて組んだ『SAKEROCK』はインストバンドだった。その後、細野晴臣のすすめで歌うことをはじめるが、「決して自信や才能を感じたからではない」ところがいかにも星野源らしい。

演技や文章に関しても同様で、才能を認められてスカウトされたわけでも、自信があったからはじめたわけでもなく、「頼み込んでやらせてもらった」という感が強い。それでも星野源は、小さな仕事をコツコツとこなした結果、徐々に大役や連載を勝ち取っていった。一見、優男にしか見えない彼が密かに持つこんなたくましさが、熱心なファンが多い理由の1つとなっているのだろう。

また、「自信も才能もなかったからこそ、マルチな挑戦がしやすかった」ことも大きい。星野源は中学生のころに音楽と演劇をはじめているが、もしどちらかに自信を持っていたら、もう一方にはトライせず、現在のマルチな活躍はなかったかもしれない。

何度となく「どちらかに絞ったほうがいい」と言われ続けても決してやめず、むしろ文章も書きはじめた。結果的に3つがすべて一流としての仕事になったのだから、「自信も才能もなかったことが幸いした」と言っていいのではないか。芸能界には飛び抜けた1つの才能でトップに登り詰めるタイプが多いが、星野源のような親近感を抱かせる成功パターンがあることを示した価値は高い。

次ページ:身近なのに届かない不思議な距離感

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