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バグ多発で酷評を受けた『サイバーパンク2077』。誰が騙し、誰が騙されたのか【連載】ゲームジャーナル・クロッシング(3)|Jini
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  • 2021.02.05
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バグ多発で酷評を受けた『サイバーパンク2077』。誰が騙し、誰が騙されたのか【連載】ゲームジャーナル・クロッシング(3)|Jini

誰が騙し、誰が騙されたのか

ここでタイトルの「誰が騙し、誰が騙されたのか」という問いに立ち返った時、ただ「ゲーム企業がユーザーを騙した」というだけの問題ではなく、より複雑な構造があったことが伝わると思う。「騙す」側には発売前から好意的な情報を流し、日和見なレビューを発信するゲームメディアの存在、あるいはソーシャルな世界でそうした“信じたい情報”を拡散するファンコミュニティがあり、逆に「騙される」という立場にせよ、ユーザーもまたあまりにも壮大な理想を追った“当事者”であった。そして、ディベロッパーであるCD Projekt自身、自分たちの理想を追い求めるあまり再現できる理想の限界を自ら見失ってしまった、クリエイターの限界にぶつかったように思えた。

今、ビデオゲームのマーケットは日々拡大し、子供から大人まで親しまれる文化となっている。その上で、ただ漠然とビデオゲームの虚像を作り出し、信じ込んでしまう現代のゲームニュースを取り巻く環境は明らかに冷静さを欠いているし、そうした中でありもしない空想のゲームを追い求め、その期待が裏切られるという繰り返しが、「ゲーム文化」が停滞する一要因になるのではないか。

実際に『Cyberpunk 2077』のような事例はこの限りではない。かつて何度も「約束された神ゲー」が具体性のないティザー映像と共に発表され、それらをメディアが更に誇張し、コミュニティはサンタクロースを待ちわびる子供のように「夢」を抱いた。いい加減、漠然とした技術的向上、物理的拡大のイメージによる「夢のゲーム」から離れ、ゲームデザインの新規性、写実性のみに囚われないアートの美しさを評価するべきだと思う。

誇大広告は許されるべきではないが、そうした誇大広告を求めているファンもまたいること、そこに対してストッパーとなるべきメディアが逆に煽ってしまっている実情が、『Cyberpunk 2077』によって改めて浮き彫りになったと思う。


連載「ゲームジャーナルクロッシング」

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