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黒人以外の命は大切ではない?略奪を肯定している?BLM批判者の4つの反論に答える【連載】幻想と創造の大国、アメリカ(19)
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  • 2020.10.05
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黒人以外の命は大切ではない?略奪を肯定している?BLM批判者の4つの反論に答える【連載】幻想と創造の大国、アメリカ(19)

「私たちの世代は、上の世代のツケを払わされている」という憤り

Photo by Shutterstock

BLMがこれまで以上に多くのアメリカ人の賛同を得ている現象の背後にパンデミックの影響があることは無視できない。特に若者だ。世論調査でも劇的な警察改革を求めているのは若い世代である。友人と集まって遊んだり、騒いだりするのは若者の自然な欲求であり、特権でもあるのに、パンデミックのせいでそれらができなくなっていることが関係しているかもしれない。家に閉じこもる時間が増えたので、社会問題に注意を払い、ソーシャルメディアで語り合う機会が多くなったこともあるだろう。そこで、持て余しているエネルギーを、自ら行動する意欲に変換しているのではないか。

さらに、BLMに賛同する黒人以外の若者たちから話を聞いていると、「私たちの世代は、上の世代のツケを払わされている」という憤りを強く感じる。ベビーブーマーとその前の世代は、普通に働けば家も買えたし、リタイア後のための貯金もできた。けれども、現在の若者たちは大学に行っても良い年収の仕事に就けないし、年寄りになるまで学費ローンを払い続けなければならない。その状態で家を買うことなどできない。上の世代の欲のために環境汚染が進み、気候変動で大型ハリケーンと山火事がひっきりなしに起こっている。そして、今度は終わりが見えないパンデミックだ。地球の将来は危ういというのに、年寄りは反省もせずに独裁政権を夢見る大統領を支持し続ける。このまま上の世代の犠牲になりたくない……。そういったフラストレーションがつのっているようだ。

パンデミックで学校にも行けず、一緒に集まって遊ぶこともできない若者たちにとって、今の社会を作り上げてきた者たちへのフラストレーションと怒りが混じっているのが2020年のBLM運動ではなかろうか。彼らが抗議しているのは、人種差別だけでなく、現政権への不信感を含む大きな意味での「社会的公正」の活動なのだと私は思っている。しかし、BLMの平和なデモに何度か参加した20代後半の青年は、それより下の世代が極端な左傾化をしていることについて、「ソーシャルメディアのみでつながっているから、自分とは異なる考え方の人と実際に会ってコモングラウンドを見つけることができなくなっている」と心配していた。

過激になりつつある抗議運動は収まるのだろうか?

それは、11月の大統領選の結果とパンデミックの終焉次第だと私は考えている。

大統領選で負けても平和的な政権の明け渡しを確約しないトランプが勝利するか、あるいは敗北しても大統領の座に居座り続ければ、抗議運動はさらに過激になるだろう。だが、バイデンが勝利すれば、いったん収まり、活動家と政府とのネゴシエーションが試みられるだろう。そして、安全で有効なワクチンが開発されて人口の大部分に行き渡れば、さらに衝突は減ることだろう。

だが、それらの将来は、現時点では誰にも予期することはできない。


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