オランダの中華レストラン、Royal PalaceのInstagramより
一向に収まる気配の見えない世界のコロナ禍。こちら、ヨーロッパでも再び感染者の増加傾向が見られています。夏のバケーションシーズンに、人々の移動や集まる機会が増えたことが原因とされています。
オランダでは屋内やイベントに集まれる人数制限や、ソーシャルディスタンスを取るといったルールが引き続き存在しています。また公共交通機関や一部エリアではマスクの着用がマストになったりしています。そうなんです。実はオランダでは、いまだにほとんどの人がマスクをしていないのです。
ただ、以前のようなロックダウンにはまだ至っておりません。感染者数が当初よりも減っているからということもあるかと思いますが、各国ロックダウンし、経済をこれ以上停滞させたくないという思惑があるのだろうと推測されます。実際に、アムステルダムなどでは、「これ以上厳密にルールを徹底したくないので、他人との距離を取るなどの現行ルールを守りましょう」などとアナウンスされています。さらに、マスク着用義務ゾーン内の店舗の売上がダウンするという現象も起きています。
9月1日までは原則的にオフィスに通勤しないように通知されていたのですが、その日付も見直しとなり、9月1日以降も引き続き通勤はしないようにと変更されました。今はまだ天気が良く、いわゆる夏の終盤ですが、今後、足早に秋を通り過ぎて、また暗くて寒くて雨の多い冬になるにつれ、人々はますます外に出ないのではないか?という気もしています。
吉田和充(ヨシダ カズミツ)
ニューロマジック アムステルダム Co-funder&CEO/Creative Director
1997年博報堂入社。キャンペーン/CM制作本数400本。イベント、商品開発、企業の海外進出業務や店舗デザインなど入社以来一貫してクリエイティブ担当。ACCグランプリなど受賞歴多数。2016年退社後、家族の教育環境を考えてオランダへ拠点を移す。日本企業のみならず、オランダ企業のクリエイティブディレクションや、日欧横断プロジェクト、Web制作やサービスデザイン業務など多数担当。保育士資格も有する。海外子育てを綴ったブログ「おとよん」は、子育てパパママのみならず学生にも大人気。
http://otoyon.com/
コロナによって未来化が早まる?
オランダはこんな状況にありますが、2月から基本的に在宅ワークに切り替えた弊社の親会社であるニューロマジックでは最近、virbelaというバーチャルオフィスサービスを試しに契約してみました。アバターを作って、契約したオフィス空間に行くと、ミーティングルームやラウンジっぽいのがあり、そこに社員がみんないる、というイメージでしょうか。みんなで、一つのミーティングルームに入って打ち合わせなんかもできます。
先日、Virbela内のアムステルダムオフィスで打ち合わせをした後に、別の部屋で福岡チームが打ち合わせしているのが見えたので、フラッと立ち寄ってみました。そこでは、まさにリアルなオフィス内でするような立ち話がサラッとできたりしました。オンライン打ち合わせは遠隔地とも気軽に実施でき利便性は上がっているものの、オフラインの良さがなくなっているのも事実。もちろん100%オフラインの良さを補うものではないにしろ、かなりリアルに対面する良さを経験できるのではと感じました。
最近、「オンライン疲れ」みたいなことが盛んに言われるようになっています。通勤・移動時間がないぶん、1日に何件もミーティングを詰め込める代わりに、トイレに行く時間も食事を摂る時間もないほどに予定を詰めてしまう。そして雑談や余白がないミーティング続きで、効率はいいものの心は休まらず、異様に疲れるといった具合です。
こうしたオンラインでは補えない、今までのオフラインの良かった点を多少でも体験できないか?ということで、virbelaのトライアルをしてみています。かつての「セカンドライフ」を思い出す方もいるかもしれません。
コロナ禍によってもたらされた、いわゆるニューノーマルと言われるような状態が、各業種、業態で見られるようになっているようです。もしかしたら、これはニューノーマルというより、10年かかると思われていた未来の生活が、ググッと早まって数カ月で実現してしまった、ということかもしれないなあと感じています。そして、このように数カ月で、その未来の先取りとでも言うべき状態を実現できた業態や業種は、実は景気がよく、なかなか実現できないところは、景気の落ち込みが激しいというという状態になっているように思えます。
ECやオンラインサービスが過去最高の売上を記録する中、いわゆる小売実店舗の売上の減少が激しかったり、オンラインのビジネスツールが活況を呈す中、リアルなオフィス需要は低下したりしているなどといった具合です。
また未来の実現が早まったと考えると分かりやすいのですが、今まで存在していなかったサービスや商品が活況を呈している様子も伺えます。フランスのリヨンはファブリック(布)の産地として有名なエリアですが、Trajet-Aunde社が開発した太陽光に当たると自動で除菌するファブリックなどはリヨンのバスの椅子などに使用されています。これなども、未来がグッと早まったというような印象を受けるのではないでしょうか。