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ネットメディアの文脈を熟知する人気ライター・ヨッピー氏、中川淳一郎氏が「博報堂」入り!Withコロナ時代は組織の枠超えが加速?【前編】
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  • 2020.06.08
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ネットメディアの文脈を熟知する人気ライター・ヨッピー氏、中川淳一郎氏が「博報堂」入り!Withコロナ時代は組織の枠超えが加速?【前編】

「働き方改革」の名の下、ここ数年、多様な働き方があらゆる企業で模索されている。

言わずと知れた広告業界の雄であり、電通に次ぐ国内広告業界第2位の売上を誇る博報堂が、ユニークな人材活用をスタートさせているのをご存知だろうか。

なんとあの人気ライターのヨッピー氏をはじめ、博報堂に在籍後、ネットニュース編集者やライターとして活躍し、FINDERSの連載でもおなじみの中川淳一郎氏が業務委託契約を結び、博報堂に週一で勤務しているというのだ。

このユニークな人材活用の責任者である、博報堂執行役員の嶋浩一郎氏を筆頭に、ヨッピー氏、中川氏に話を聞いた。

聞き手:米田智彦 文・構成:庄司真美 写真:神保勇揮

嶋浩一郎

博報堂執行役員、クリエイティブディレクター、編集者

1968年東京都生まれ。1993年博報堂入社。コーポレートコミュニケーション局で企業のPR活動に携わる。2001年朝日新聞社に出向。スターバックスコーヒーなどで販売された若者向け新聞「SEVEN」編集ディレクターに就任した後、博報堂刊『広告』編集長を務める。2004年「本屋大賞」立ち上げに参画。現在、NPO本屋大賞実行委員会理事。06年既存の手法にとらわれないコミュニケーションを実施する「博報堂ケトル」を設立。カルチャー誌『ケトル』の編集長、エリアニュースサイト「赤坂経済新聞」編集長などメディアコンテンツ制作にも関わる。編著書に『CHILDLENS』(リトルモア)、『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』(ディスカヴァー21)、『このツイートは覚えておかなくちゃ。』(講談社)、『人が動く ものが売れる編集術 ブランド「メディア」のつくり方』(誠文堂新光社)などがある。

ヨッピー

ライター

1980年大阪生まれ、現東京都在住のライター。関西学院大学を卒業後、商社に就職するも「仕事に飽きた」という理由で衝動的に会社を辞め、以降は数多くのヒットコンテンツを連発するフリーランス・ライターとして確固たる地位を築く。ライターとしての仕事以外にも、お出かけメディア「SPOT」の編集長をはじめ、ウェブマーケティングのコンサルタント、企画設計、講演にイベントを主催するなど、活躍の幅は広い。

中川淳一郎

ウェブ編集者、PRプランナー

1997年に博報堂に入社し、CC局に配属され、企業のPR業務を担当。2001年に退社した後、無職、フリーライターや『TV Bros.』のフリー編集者、企業のPR業務下請け業などを経てウェブ編集者に。『NEWSポストセブン』などをはじめ、さまざまなネットニュースサイトの編集に携わる。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『ネットのバカ』(新潮新書)など。

Twitterで電博入りへの希望をつぶやいていたヨッピーさん

―― 昨年8月からなんと人気ライターのヨッピーさん、ネットニュース編集者でライターの中川淳一郎さんが、博報堂に週一で出勤していると聞いて驚きました(笑)。

人気ブロガー・ライターのヨッピー氏。

ヨッピー:はい、ありがたいことにそうなんです。僕みたいなしょうもない人間が!

――ヨッピーさんはTwitterで、「博報堂か電通さんが週一ぐらいで雇ってくれないかな」といったことをつぶやいていて、現在、実際にそれが叶いましたよね?

ヨッピー:そうそう。ある日、記者の友達を飯に誘ったら、そいつが、「今日は中川淳一郎さんと飯を食うから無理っすわ」と言うから、「えっ、むしろ中川さんとご飯行くなら僕もまぜてよ」ということで、合流して昼から渋谷で飲むことになったんです。

そこで中川さんが、「実は俺、博報堂に戻るんだよね」という話をしていたので、「うらやましい!僕もまぜてほしい!」と言ったら、「おっ!いいですね!」って快諾してくれて(笑)。ただ、その時すでにみんなベロベロに酔っ払っていたから「中川さん絶対覚えてないやろ」って思ったのと、コネ的なやつで行くのも嫌じゃないですか。正式なルートでも受けようと思って、誰かがコンタクトしてくれるかなと思ってつぶやいたんです。

―― 公式に意思を表明しておいたわけですね。

ヨッピー:そうなんです。そうしたらなんと数社からご連絡をいただき、それぞれとお話をすることに。博報堂は、ちゃんと中川さんから嶋さんに伝わっていたこともあってスムーズに話がまとまったので「じゃあ博報堂だ!」と。

ネットの文脈を取り入れた多様な広告制作のための人材活用

―― 嶋さんとしては今回の起用にかけての思いはいかがですか?

嶋:まず、広告の作り方自体が変わっていること。だから、中川やヨッピーさんの持つネット文脈を理解するナレッジは、博報堂にとても重要だと考えました。それから、ダイバーシティやSDGsで言われる新しい働き方がうちの会社にあってもいいなあと考えたんですよ。

(左から)博報堂執行役員、クリエイティブディレクター、編集者の嶋浩一郎氏とウェブ編集者でライターの中川淳一郎氏。嶋氏は中川氏の博報堂時代の元上司。

中川にしろ、ヨッピーさんにしろ、フルタイムの正社員ではなく、フリーでやっているからこそ、組織にいる人間にはできない体験ができているわけです。そうした人たちが“週一社員”のようなかたちで、ゆるい連携ができるといいなと考えていました。旧知の仲の中川には、「お前は博報堂に帰って来い」とずっと言っていた経緯もあって、今回ついに出戻ることになりました。

―― 中川さん、ヨッピーさんともに、博報堂にジョインして、具体的にどんなことをしているんですか?

中川:博報堂には、業務委託契約を結んで毎週火曜日に来ています。基本的には、ヨッピーさんも僕も社内の「よろず相談役」として、小さな相談でも受け付けています。それから個別にPRの相談を営業やプランナーから受けています。今は、ヨッピーさんと僕が2人で一緒に担当している案件もありますよ。

―― 新しい組織との関わり方、働き方ですね。

中川:コロナの影響でなくなってしまった案件もあり、そこは残念ではありますが、火曜だけでなく、必要に応じて別の曜日に来ることもあるし、無理のない感じで新しい仕事に取り組ませていただいています。競合プレゼンでも我々がプランナーとして参加したりしています。

昔、懇意にしていた雑誌の編集者は、最初は広告部に配属されたのですが、後に有名雑誌の編集部に異動になって、念願だった編集の仕事ができると喜んでいました。ところが、6年後には自らの意思で再び広告部に戻ることになったんです。その理由を聞いたら、「広告の方が雑誌の編集よりも時代の先端を行っていて、そっちの方が好きだと思った」と言うのです。その意味が、博報堂に出戻ってやっとわかるようになりました。

嶋:やっと分かってくれた?(笑)

中川:はい(笑)。たとえばネットニュースの場合、「ある有名人の旦那が2回目の不倫をした」なんていうのが最新のニュースになります。一方で、日本の代表的な企業がどんなモノやサービスを開発し、それを生活者に広めるためにどんな困り事があるか?ということを知ることができるのは、広告業界だからこそだと思うんです。

ヨッピー:僕は、毎年頭に「今年の目標」を立てるんですよ。一昨年は「裏方の仕事を頑張る」で、自分が前に出るのではなく、人のコンテンツを企画や編集でサポートするという目標を立てました。それがけっこう上手く行ったぞ、と。

そして去年は「チームを作る」だったんですね。個人でできる仕事はどうしてもスケールが小さいのでチームで大きい事がやりたい、と。それで、自分の会社で人を雇ってみたんですけど、若い子に仕事を頼めないんですよ。毎月給料を払っているのに、そいつの月の稼働は2日とか3日 (笑)。

本当は「この請求書を送っておいて」とか「あれ予約しておいて」とかお願いしたいことは色々ありますが、「請求書送る業務なんかやりたくないだろうな」と思ってしまって、結局自分でやっちゃうんですよね。自分がやりたくない仕事だからこそ、ほかの人にも頼めないっていう。それでどうも僕は人を雇うのは向いていないなと思ったんです。

人を雇うのが無理なら、今度は自分がどこかのチームに入って仕事することを想定しても、僕はライターとしてしか広告コンテンツに関わらないので、予算規模はどうしても小さい。大きなことができるところと組めたらいいな~と漠然と思っていた時に、ちょうど博報堂での話がありました。

嶋:仕事の規模やお互いの持っている能力をそれぞれ補完し合うことで、いいケミストリーが生まれますよね。

次ページ:昭和なカルチャーが一掃されつつある博報堂

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