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さよならコメント欄。相次ぐ閉鎖に見る「ウェブ2.0」という理想と現実【連載】中川淳一郎の令和ネット漂流記(11)
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  • 2020.04.30
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さよならコメント欄。相次ぐ閉鎖に見る「ウェブ2.0」という理想と現実【連載】中川淳一郎の令和ネット漂流記(11)

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中川淳一郎

ウェブ編集者、PRプランナー

1997年に博報堂に入社し、CC局(コーポレートコミュニケーション局=現PR戦略局)に配属され企業のPR業務を担当。2001年に退社した後、無職、フリーライターや『TV Bros.』のフリー編集者、企業のPR業務下請け業などを経てウェブ編集者に。『NEWSポストセブン』などをはじめ、さまざまなネットニュースサイトの編集に携わる。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『ネットのバカ』(新潮新書)など。

罵詈雑言を書く人間との終わりなき戦い

かつて「ウェブ2.0」という言葉があった。誰でも参加できるオープンでフラットなインターネットという空間では集合知が積み重なっていき、よりよい社会を生み出していく、という論である。最近でも「新型コロナウイルスは26~27度で死滅するから白湯を飲めばいい」といった説が登場したが、すぐに「体温より低いだろ」などのツッコミが入り、デマは沈静化された。ネットではデマが拡散するスピードは早いが、収束するスピードはもっと速い。

そうした意味では「集合知」は確かにあるのだが、ウェブ2.0の理想である「自由な書き込み」についてはこの20年以上サイト運営者と罵詈雑言を書く人間の戦いであり、大抵は罵詈雑言を書く者が勝利し続けてきた。

どれだけユーザーの良心に期待してもそれは無理なのだ。誰もが書き込める場にしてしまうと、数名の「ならず者」がいて、荒らし行為を働いたり、連投をしたりする。2006年、ニュースポータルのアメーバニュースの編集者に私はなったが、他ニュースサイトとの明確な違いは「コメント重視」「ユーザーとの対話型」という実に牧歌的なものだった。

だが、公の場に書き込むことができるとわかると、そこを根城として罵詈雑言を書き込む者も出てくるのだ。固定ハンドルネームを使い面白い書き込みをする人も多くいたものの、やはり差別用語を書いたり他人の実名を挙げて誹謗中傷するなどの例もあった。また、当時は雑誌のフリーライターや一般企業の会社員の副業とすべく彼らを雇っていたのだが、ネットに慣れていない人々が多く「コメント欄の書き込みで凹んだ」「あの罵詈雑言を見るのが辛いのでもう書きたくない」と音を上げるため、彼らを慰めるのも私の仕事だったりした。

アメリカ人女性が日本で生活をしていて疑問に思うことを書くだけで「だったらアメリカに帰れ!」をはじめとした罵倒が多数書き込まれるのである。幸い彼女は日本語が読めないため、コメント欄の誹謗中傷を読むことはなかったのが一つの救いだ。叩かれた記事のテーマと典型的な批判をいくつか挙げよう。

なんで日本ではクリスマスにKFCを食べるの? アメリカ人からしたら謎過ぎる→余計なお世話だ。アメリカに帰れ!

なんで日本では下着泥棒がいるの? 信じられない!→お前みたいなブスの下着が取られるわけがない。嘘つきめ。アメリカに帰れ! ※ちなみに彼女は美人

なんで日本人は会議で何もしゃべらない人がいるの? その人は参加しなくていいんじゃないの?→情報共有が大事なんだよバカ。お前仕事したことがあるのか? アメリカに帰れ。

とにかく何を書こうがこんな調子になるのだ。だからこそコメント欄は廃止しようかとは思ったものの、ただ単に大判焼きの写真を載せて「あなたの地域ではコレを何と呼びますか?」とだけ記事を出したら「回転焼き」「太鼓焼き」「今川焼」「大判焼き」などと各地特有の名前やら、とある店限定の名前などが書き込まれ、これには「来てるね、ウェブ2.0!」と感じたものである。

そして、我々はコメント重視の姿勢を見せることこそ差別化になると考えていたため、毎週の編集会議では「コメント大賞」を選んでいた。面白いコメントにはポイントを付与し、撰者の感想なども添え、ユーザーの投稿意欲を高めようとしていた。

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