EVENT | 2019/10/01

音楽ストリーミングサービスで、1ドル稼ぐのに何回再生される必要があるのか?

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文:岩見旦
アメリカの音楽業界の昨年の総収益は、前年より12%増の98億...

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文:岩見旦

アメリカの音楽業界の昨年の総収益は、前年より12%増の98億ドル(約1兆1000億円)に達した。その成長を支えたSpotifyやApple Musicなどのサブスクリプションサービスは、アメリカで初めて5000万人以上の会員を獲得し、66億ドル(約7200億円)の収益を挙げた。

名実ともに音楽業界を復活させたサブスクリプションサービスだが、権利者側に正しい対価で還元されているのかは疑問が残る。

そこで、アーティストの権利に関するブログメディア『The Trichordist』のデータを元に、VISUAL CAPITALISTが制作した、各ストリーミングサービスで1ドル稼ぐのに、何回再生される必要があるのかを表した図を紹介する。

各ストリーミングサービス1再生辺りの支払額

こちら、真ん中の円にストリーミングサービス名と1ドル稼ぐのに必要な再生回数が書かれている。また、横に伸びたラインは1本あたり10回分の再生を表現。こちら、図で表現するとやや分かりづらいため、文字に起こした。

ストリーミングサービス名:1再生辺りの支払額・1ドル稼ぐのに必要な再生回数
Napster:$0.019・53回
Tidal:$0.0125・80回
Apple Music:$0.00735・136回
Google Play Music:$0.00676・147回
Deezer:$0.0064・156回
Spotify:$0.00437・229回
Amazon:$0.00402・249回
Pandora(Premium):$0.00133・752回
YouTube:$0.00069・1,449回

最も1再生辺りの支払額が高かったのは、1999年創業の老舗サービスNapster。かつて一世風靡をしたものの、現在は市場シェアが1%未満であるため、爆発的な再生数を叩き出すことは難しいだろう。

一方、最も再生数を稼ぎやすいYouTubeは、1再生辺りの支払額は圧倒的に少なく、1ドル稼ぐのに約1500回の再生が必要だ。アメリカの最低月給である1472ドルを稼ぐのに200万回以上再生されなければならない。

Spotifyは収益の70%を権利者に支払い

上記の図を見ると、Spotifyの1再生辺りの支払額は平均よりやや安いようだ。では、どのようにアーティストへの分配額を決定しているのだろうか。Spotifyはこのように説明を行っている。

まずSpotify全体の月額収益を、全体の再生回数に対する各アーティストの再生回数の割合で山分け。その内の70%を著作権所有者に支払っている。その後、著作権保有者とアーティストの契約により、最終的な分配が行われるという流れだ。

ただし、この算出方法は大ヒット曲を量産するアーティストに有利に働いていると言われており、多くのアーティストに正当な支払いが行われていないと不満の声が挙がっているという。今後アーティスト側からさまざまな要望が寄せられそうだ。