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日本のものづくりは「ヤバい」 CESの隅っこの隅っこで見た日本のものづくりの現実と希望 【連載】旅する技術屋 (2)
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  • 2018.04.09
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日本のものづくりは「ヤバい」 CESの隅っこの隅っこで見た日本のものづくりの現実と希望 【連載】旅する技術屋 (2)

※トップ画像はタカハ機工取締役・大久保千穂氏。今回ずっと参加したかったCESに初めてやってきた。

清水幹太

BASSDRUM / PARTY NY

東京大学法学部中退。バーテンダー・トロンボーン吹き・DTPオペレーター・デザイナーなどを経て、独学でプログラムを学んでプログラマーに。2005年12月より株式会社イメージソース/ノングリッドに参加し、本格的にインタラクティブ制作に転身、クリエイティブ・ディレクター / テクニカル・ディレクターとしてウェブサイトからデジタルサイネージまでさまざまなフィールドに渡るコンテンツ企画・制作に関わる。2011年4月より株式会社PARTYチーフ・テクノロジー・オフィサーに就任。2013年9月、PARTY NYを設立。2018年、テクニカルディレクター・コレクティブ「BASSDRUM」を設立。

巨大なCES会場は散策も一苦労

「Design & Resource」の全体ブース地図。一番右下の「Door 15」の下の列が「JAPAN TECH」だ。

「そんなアホな」。

そこにたどり着いたとき、思わず口をついて出てしまった。

前回に引き続き、1月にラスベガスで行われたCES(The International Consumer Electric Show)の取材中の話。「そこ」とは、テックスタートアップをはじめとする日本企業が出展する「JAPAN TECH」エリアのことである。

CESでの視察・取材も3日目。世界中からさまざまなスタートアップブースが集まるSans Expoの「Eureka Park(エウレカ・パーク)」を中心に、広大な会場を歩き回って、さまざまなインプットを得ることもできた。

筆者は普段はテクニカルディレクターとして多様なデジタル制作物の制作・開発に携わっている。

昨年(2017年)は企業ブースの設営スタッフとしてCESを訪れていたのだが、そのときに設営の傍ら見て回ったさまざまな展示が非常に面白かったので、今年は無理くりメディアにレポートを書くお仕事をいただき、メディアの取材スタッフとしてCESに潜り込んでいた。昨年はスタッフであり仕事もしていたので、すべてを見て回ることができなかった、というのもあり、今年はピュアにいろいろと見て回りたかったのだ。

ラスベガスの複数のコンベンションセンターにまたがって展開するあまりに広大すぎる会場。3日目ともなると、歩きすぎてクタクタで、しかし会場は人だらけなのでちゃんと休む場所もなく、まだ行っていない場所をゾンビのように目指す状態だ。

しかし、記事をいくつか書くには十分な取材はできていたので、これはもうそろそろ切り上げて近所のチムジルバン(韓国式サウナ)にでも行くかな、と思い始めていた。話は逸れるが、前述の通り全然休む場所のないCESの会場、ラスベガス・コンベンション・センターから車で5分程度で行けるImperial Spaは疲れ切って休みたいCES参加者におすすめだ。会期中も全然人がおらず、ロクな温浴施設のないアメリカにあってとてもちゃんとしたサウナと水風呂と休憩スペースを備えていて、仕事もできる。事前にグルーポンで入場券を買っておけば、安く入ることもできる。

ここに行けば、「まだCES会場で消耗してるの?」などと優越感に浸りながら優雅に過ごすことができたりする。

「拍手」をつくる日本のクリエイターを訪ねて

全然違う話になってしまったが、そんな3日目、Imperial Spaに向かう前に最後に目指したのが、我が母国・日本が誇るさまざまな企業がブースを出す、「JAPAN TECH」である。

話題になっていたところでいうと、動くしっぽがついているしっぽクッション「Qoobo」を展示していたユカイ工学や、360度カメラのTHETAが人気のリコーなど、日本の錚々たる面々が集中して出展しているエリアだ。

そこに展示を行っていたバイバイワールド代表の髙橋征資さんにはいつも仕事でお世話になっていて、つい最近も台湾のセブンイレブンの募金奨励キャンペーン用に「インタラクティブ拍手ウォール」をつくった際に、拍手部分の機構を手がけていただいた。

髙橋さんは、さまざまなインタラクティブ開発のプロジェクトを手がけつつ、学生時代から「拍手」を追求し続けてきた。人工的に「いい拍手」を生み出すためには、どういった素材をどういった力で叩き合わせると良いのか。手の形を樹脂で成形して、どこに空気の逃げ場をつくり、どんな角度で打ちつけると「リアルな拍手音」を生み出せるのか。

という、極めてニッチな領域を求道し続け、小型の拍手おもちゃ「クラッピー」を開発し、人気を得た後、ついに今回そのハイエンド版である大型拍手ロボット「ビッグクラッピー」を完成させ、満を持してCESに乗り込んできたのだ。

バイバイワールドがCESに出展していた「ビッグクラッピー」。

見渡す限りの中国ブースが広がる「Design & Source」

そんなわけで、髙橋さんに会いに行って話を聞こうと思い「JAPAN TECH」に向かった。場所は、どうやらラスベガス・コンベンション・センターのメイン会場から道を越えて確保された別エリアに設けられた「Design & Source」というテントの中らしい。

このテントにたどり着くまでに、結構迷った。何しろメインエリアから道を挟んでいるので、一度外に出なくてはいけないこともあり、わかりにくいのだ。このテントはCESの会場全体でいうと隅っこに離れて設置されている。

メイン会場から少し離れた「中国テント」である「Design & Resource」。広大なテントだ。

苦労して「Design & Source」に立ち入ると、とんでもない世界が広がっていた。

中国・中国・中国・中国。見渡す限りの中国ブースの海。

CESには例年、OEMやOCMの営業や、電子部品の展示を行う中国のブースが多く出展してきた。スピーカーやライトなどの電化製品から、非接触充電器などの今っぽいものまで。あるいはモーターや銅線といった細かい部品に至るまで、エレクトロニクスづくりに関わるあらゆるものが、中国、特に深センの工場によって半端ない数で展示されてきた。

「Design & Resource」の広大な空間に展示している中国のOEM工場。

製品から電子基板まで、あらゆるものがある。

展示している中国の工場の多くが深センからの出品。まさに世界の工場の観を呈している。

昨年までは、この中国ブースの海もSands Expoのスタートアップ会場の中に存在していたが、2018年の今年は、恐らく出展応募が増えたからだろうか、ひとまとめにされ、この「Design & Source」にガボっと移転していたのである。

見方によってはちょっとエグい話で、「中国は多すぎるからまとめてこのテントに入れておこう」みたいな運営側の意図を感じてしまうようなレイアウトではある。

確かに、さまざまな先進的なイノベーションをプレゼンしている大企業ブースや、新しい発想のプロダクトをいち早く体験することができるスタートアップブースとは、ターゲットもお客さんが見に行くモチベーションも全然違うわけで、ある種理にかなった切り分けではある。しかし、世界のものづくりのエンジンとして、無視できないどころか中心にいるとすら言える中国の工場ブースが、このような形でメインストリームから切り離されて展示されているのにはちょっと違和感を覚えなくもなかった。

「Design & Source」は、そんな「隔離された中国テント」だった。入ってみるとちょっと信じられないが、この中のどこかに「JAPAN TECH」があるのだという。係の人に場所を聞くと、「あっち」と言って会場の奥を指差す。

奥に向かって進む。膨大な量の中国ブースの海が、まったく終わる気配なく延々と続く。中国語が飛び交っている。

実際、中国ブースが展示する製品のクオリティは明らかに昨年より上がっていて、興味深い展示ではあるのだが、あまりの量に、HPを削られながら前に進んでいく。

広大な中国エリアに対して日本の出展者は「一列だけ」

…全然着かない。「JAPAN TECH」のジャの字も出てこない。10分、15分と歩いても、中国・中国・中国だ。

そして疲れきった状態で辿り着いたテントの文字通り一番奥。もうそろそろ諦めよう。髙橋さん行けなくてゴメン。などと思って引き返そうと思い始めたところに、それはあった。

「JAPAN TECH」。メイン会場から隔離された中国テントの奥も奥、最も奥まった場所に展開する1列の展示スペース。そこに、ここまで数十分体験してきた中国のOEMや部品のプレゼンとは全然趣の違う、日本発のクリエイティブなプロダクトの展示が展開されていたのだ。

「そんなアホな」。

としか言いようがない。これは正直言って、メチャクチャな場所だ。

日本地図で言ったら与那国島である。内地から離れた場所にある沖縄県の中でも、一番中心から離れた場所にある、隅っこの中の隅っこ。

与那国島は良いところだが、そうそうみんなが訪れるような場所ではない。そんな与那国島にあたるようなCESの一番奥の場所に「JAPAN TECH」が存在するのだ。当然、あまり人は来ないし、来る人々は、そこまでの中国ブースの海に「やられて」いる人ばかりだ。

「JAPAN TECH」で展示されているものは興味深いプロジェクトばかりだ。しかしながら、なんでこんなことになってしまっているのか。たとえば、「JAPAN TECH」とは別に運営されているJETROの日本ブースは、前述のスタートアップエリア(エウレカ・パーク)に場所を持っていたし、そういった日本の出展者同士の連携が取れていなかったというのはあるのかもしれない。しかし、それ以前にそもそもの物量として、海のように広大な中国エリアに対して日本の出展者は「一列だけ」のような現実があるわけで、そこにはもっと、私たち日本人が母国のものづくりについて考える上で重大なメッセージが組み込まれているような気がしてならなかった。

「福岡の町工場」がCESに初出展したのはなぜか

そんな中、呆然とする私が出会ったのは、髙橋さんが今回CESに出展する際に製造パートナーとして一緒に来られていたタカハ機工の大久保千穂さんだ。

大久保さんが取締役を務めるタカハ機工は、ソレノイドの製造・販売を中心に活動している福岡県飯塚市にある電子部品メーカーだ。そもそもソレノイドとは何なのかというと、いわゆる電磁石、コイルの仕組みを使って、電流を流すと筒から棒が飛び出す、あるいは電流を流すと筒に棒が引っ込む、という動作を提供する電子部品である。

タカハ機工が公開しているソレノイド説明ムービー。これがソレノイドである。

これだけ見ると、なんのためにあるのかよくわからないかもしれないが、このソレノイドは、私たちの生活空間のさまざまな場所に利用されている。自動車の内部機構、銀行のATMマシン、プリンター、自動ドア等々、私たちの生活の見えないあらゆるところに、ソレノイドは組み込まれている。

そして、髙橋さん率いるバイバイワールドが展示しているビッグクラッピーを支える、「いい拍手音」をつくるためのアクチュエータ機構(モノを動かす装置)が、タカハ機工の特注ソレノイドなのだ。前述の台湾の拍手ウォールの機構にもタカハさんのソレノイドが使われていたということで、私も仕事でお世話になっていたということを知った。

筆者がテクニカルディレクターとしてバイバイワールドとのコラボレーションでつくった「拍手ウォール」。タカハ機工のソレノイドが使われている。

タカハ機工は、いわゆる「町工場」だ。従業員80名を抱えて、40年近くソレノイドをつくり続けている。大久保さん率いるタカハチームは、今回、ビッグクラッピーの開発パートナーとして初めてCESに出展すべくラスベガスにやってきた。

HPを削られて中国ブースの海を越えて辿り着いた「JAPAN TECH」。日本を母国にする人間にとして、この「位置取り」も、中国エリアに対する「物量の差」も、何も引っかからないはずはないし、ちゃんと問題意識を持たなくてはウソだ。この状況を見て、何も思わないはずがないのだ。

福岡の飯塚からやってきた町工場のリーダーである大久保さんは、つまり、すぐそばに圧倒的に広がる中国エリアの工場たちと競合関係にある立場だ。大久保さんはCESで何を考え、日本の製造業の未来をどう考えたのか。

私は、このモヤモヤの原因を少しでも知りたくて、サウナに休憩しにいくことも忘れて、大久保さんと髙橋さんにお話を伺った。

町工場がスタートアップと組むと「下請け」ではなく「パートナー」になれる

―― そもそも、タカハ機工はなぜソレノイドをつくっているのでしょうか? これまでの歴史を教えてください。

大久保:たまたま、です。もともとうちは材木屋だったんですが、先代が、もっと障がい者の方が一緒に働けるような事業はないか、と考えて、知り合いがやっていたソレノイドの製造を始めることになったんです。高度成長期にはバンバン売れたんですが、バブルが弾けて、リーマンショックがあって、需要もなくなりました。大手の発注は中国に行くようになって、私たちの代(大久保さんは創業者の娘さんで、大久保さんの旦那さんが社長をされている)になって独自にネットショップを始めたり、髙橋さんみたいな(変わった)人とコラボレーションしたり、いろいろ新しいことをやり始めています。

―― 「大手の発注が中国に行ってしまった」ということなのですが、そのあたりで事業スタイルを変えられたんですね。

大久保:それまでは日本の大手と仕事していたわけなんですが、実は全然幸せじゃなかったんですよ。原価は叩かれる一方で、品質は最高を求められるし、つくってもつくっても儲からない仕組みだったんです。本当に「下請け」ですよね。ただ、実はそれで中国に行ってもらってちょっと良かったんです。災い転じて、ネットショップを始めたら、今まで付き合いのなかった中小のメーカーから小ロットで買ってもらえたりするようになって、買ってもらってるのに「タカハさんのソレノイドはいいですねー」って、喜んでもらえるんです。すごく楽しくなりましたね。「下請け」じゃなくて「パートナー」として仕事ができるようになったんです。「下請け」はいざという時に切られちゃうけど、「パートナー」だと切られることはないし。

―― そういう意味で、髙橋さんとタカハさんは「パートナー」なんですよね。

髙橋:タカハさんは情熱がすごいんですよ。ビッグクラッピーみたいな行く末のわからないものでも、失敗も含めて面白がって一生懸命会社で一丸となって共同開発してくれるんです。今はビッグクラッピーの全体の生産も一緒にやっています。

大久保:ビッグクラッピーのソレノイドの発注が髙橋さんからあったとき、「これは面白いからもっとちゃんと一緒にやりたい!」って思って、逆に量産開発のパートナーとして一緒にできないか、とお声がけしたんですよ。「面白いもの」「良いもの」であれば、積極的に一緒にやっていきたいんです。そういうことをしていくと、社員のモチベーションも上がるし、みんな勉強になるんですよ。悪いことがないんです。そういうのもあって、「ソレノイドコンテスト(ソレコン)」など、ソレノイドの面白さの普及活動など、ウェブを中心にソレノイドの面白い使い方を見つけてもらう活動を展開しています。

第4回ソレコンの応募作品のひとつ「Human Controller」。ソレノイドを使った人間操作システムを考案。イグノソレコン賞(イグノーベル賞のパロディ)を受賞した。

―― ここ数年、「Maker’s Movement」的に、個人でも、電子機器でも3Dプリントでも、いろいろなモノをつくる・つくれるという流れがあって、ここCESでもそういう空気がまだあるわけですが、タカハさんのような町工場の目線だと、そういうものについてどう思われているんでしょうか?

大久保:本当は、もっとそういう個人の「つくり手」と一緒に仕事をできれば、もっともっと面白いものづくりに貢献できるはずなんですが、町工場の人たちは、そんなムーブメントの存在を一切知らないんです。横での情報共有もないですし、Maker’s Movementだけではなく、今回のCESみたいなものの存在も、周りが全然知らないんです。とにかく、外を見ていない。つながっていないんです。

髙橋:実際、CESに来てみると、日本よりももっと、考える人と工場のコミュニティが近いというか、もっと「モノを自由に良いものをつくりやすい」文化が広がりつつあるんだなあ、ということがわかりました。それが広がっていて、考える人とつくって生産する人が近い。それなのに、日本はそうなっていない。つながっていないんです。

―― つながっていない、と。それは何でそうなってしまうのでしょう?

大久保:まず、日本の町工場は経営層が年配(60代〜70代)なんですよ。だから、そういうものに興味がないし、よく分からないし、儲からない感じがするし、手を出さない。現状、下請け中心でどうにか食ってはいけるし、そうする必要がない。そうすると、仕事が面白くないから子供も工場を継ぎたがらない。若い世代が育たないんです。で、古い人たちが回している中だと、技術の漏洩なんかも心配しちゃうのか、工場同士が仲良くないんです。情報共有もないし。髙橋さんとのビッグクラッピーは、町工場量産プロジェクトとして成功例にしたいんですよ。そうすれば、後に続く工場がどんどん出てきて、つながっていくはず。そうすれば日本の町工場は変わるはずなんです。私たちは惜しみなくノウハウを教えます!ライバルはいないし、どんどんいろんな人たちを巻き込んでいきたいんです。

町工場の「ヤバい」リソースをフル活用すれば日本のものづくりはもっと進化する

つまり、そういうことなのだ。30~40年前には勢いがあった日本の製造業。そのときに立ち上がった町工場は、時を止めてしまって、閉じた世界で閉じた仕事をしている。技術力も生産力もある。しかし、それを拡げてつながっていくことができず、ゆえに注目もされず、若い世代とのコラボレーションも生まれにくい。

一方で、中国では工場を動かしている人々は若く野心があり、世代的にもアイデアを出して売っていく人々と同じく、ソーシャルメディアでもどんどんつながっていき、情報共有がされていく。

深センの工場では、アメリカのKickstarterに何か面白そうな新しいプロダクトが出品されると、工場経営者同士で集まって、1週間くらいですぐに同じものを試作してみるような文化があるらしい。そうやって貪欲に新しいものを先取りするだけではなく、CESのような場所に出展し、外に可能性を拡げていくようなことも文化として共有されている。

よりよい展示を行うメソッドみたいなものでさえ、相互に共有されているのだ。

CESに行くと、日本には工場なんか存在しないのではないかと思えるほど、日本の工場の存在感はない。しかし、日本には多くの町工場があり、世界に誇れる技術を持っている。何しろその技術は40年〜50年ものなのだ。それこそ、CESで堂々と並んでいた深センの工場たちに対抗しても全然恥ずかしくない製造業が日本にはあるはずなのだ。今の40代〜50代が子供だった頃、日本は間違いなく「世界の工場」であり、「MADE IN JAPAN」は高品質の代名詞だった。そして、その「MADE IN JAPAN」を担っていた工場たちは、消え去ってしまったわけではなく、今なお同じようにモノをつくっているのだ。

しかし、そんな町工場と、私たちのような先端技術のフィールドで何かをつくる人間は、全くつながっていない。お互いに、存在すら知らない。だから、考える側とつくる側が一心同体となったコミュニティとして世界に出ていくことができない。その結果が、隅っこの隅っこに追いやられて、中国との物量差で戦慄する日本ブースの現実、ということになる。

タカハ機工のようにそこから飛び出ようとしている人たちもいる。しかし、それだけではダメだ。むしろ、日本の若い世代からも、40年〜50年と続く自国の製造業を掘り起こし、どんどんコミュニティを拡げていくべきなのだ。日本にも、何かをつくりたい人々はたくさんいる。「JAPAN TECH」エリアに集まったブースは、そこまでに大量に存在していた中国ブースにはなかった、見たことがない発想のさまざまなアイデアが実装され、展示されていた。そういった「今」のつくり手が、町工場という日本に眠る宝の山をしっかり仲間として巻き込んでいく。

タカハ機工のオフィシャルパーカーには「ソレノイドだけじゃない!!」の文字が。

それが日本のものづくり全体を劇的に変え、世界でのプレゼンスを高めるはずだ。何しろ、他の国と違って、町工場というヤバいリソースが、そこにすでにたくさん存在するのである。中国のものづくりとは違う価値を世界に提案することができるはずなのだ。

すっかりサウナに行くのも忘れて、ラスベガスの隅っこで聞き入った日本の町工場の話は、そんな重要なことを気づかせてくれた。来年以降、日本のヤバいものづくりコミュニティがCESを席巻することを願ってやまない。タカハ機工が外に飛び出すことで自らの仕事を面白くしたように、そうすることで、日本の製造業はもっともっと面白くて楽しいものになるはずだからだ。 


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