EVENT | 2019/08/10

リフレッシュ効果で意外と仕事サクサク!話題の「ワーケーション」やってみました【FINDERS編集部×千葉・南房総】

6月某日、FINDERS編集長・米田が突然「編集部全員で南房総にワーケーションに行くぞ」と言いだした。行き先は、千葉・南...

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6月某日、FINDERS編集長・米田が突然「編集部全員で南房総にワーケーションに行くぞ」と言いだした。行き先は、千葉・南房総市。

「ワーケーション」とは、「ワーク」と「バケーション」を掛け合わせた造語で、近年よく耳にするワードである。背景には働き方の多様化やテレワークなどの広がりがあって、仕事する場所も多様化し始めているということだろう。

どうせオフィス外で仕事するならば、いっそのこと自宅や都会を離れて郊外の自然が多いところで仕事してみたらどうなるだろう?というのが今回の趣旨。

ということで、アウトドア好きもいれば、インドア好きな陰キャもいるFINDERS編集部のメンバーが体験した、南房総でのワーケーションの一部始終を紹介したい。

取材・文・構成:庄司真美 写真:神保勇揮 協力:ヤマナハウス

バスで約1時間のショートトリップであっという間に海!

当日は、東京駅のバスターミナルに早朝8時に集合したFINDERS編集部一同。そこから8時20分発のバス「なのはな5号」に乗り込むこと、1時間弱。東京湾アクアラインを通って、9時40分頃には、千葉県南部に位置する安房エリアにある、ハイウェイオアシス富楽里に到着した。

は、早い……!

「うつらうつらしてる間にもう着いちゃった」というのが率直な感想だ。ちなみに運賃は片道2300円。東京都心部から最寄りの岩井駅までの電車料金とあまり変わらないお値段だが、確実に席が確保でき、ノンストップで速く着くバスでの移動の方が、断然おすすめだ。

お迎えの車に乗り換えて向かったのは、地元の穴場サーフィンスポットとして知られる岩井海岸。FINDERS編集部がいつも始業する10時頃には到着してしまった。ということで、海岸を散策しつつ、浜辺で軽く仕事してみることに。

梅雨時期だったので、天気はあいにくの曇天であったが、一瞬晴れ間も見えて、東京から約1時間でこの景色と出会えたのは貴重だ。

もの思いに耽っているようだが、仕事中のFINDERS編集部メンバー。

地元の学生たちが梅雨冷えで震えながら海に入る姿を遠目に見ながら、メールチェックや入稿などを済ませる。

屋外だと明るいため、PCの液晶の照度をマックスにしないと見えにくいが、PCの奥に目をやると、そこには一面の海が広がる状況がとにかく新鮮だった。これぞ、ワーケーション!

築300年の古民家を改築した里山シェアハウスを拠点にワーケーション

その後、FINDERS編集部が今日1日お世話になる南房総の里山シェアハウス「ヤマナハウス」に移動した。「ヤマナハウス」を主宰するのは、過去記事でも紹介した東京・新宿のシェアオフィス「HAPON」を共同経営する永森昌志さん。築300年の古民家をリノベーションし、都会や地元の人など、多様な人がさまざまなイベントを開催する場として2015年にオープンしたという。

古民家をリノベーションしたヤマナハウス。

南房総の里山シェアハウス「ヤマナハウス」を主宰し、東京と南房総の2拠点生活をする永森昌志さん。

到着するや否や、主宰者の永森さんに敷地内の広場などを案内いただく。

ヤマナハウスは、年間通じて狩猟や瞑想教室、DIY講座、生物講座、パエリア音楽会などのさまざまなレギュラーイベントを実施していて、年間5万円〜利用できる個人会員が地元や都市部などから通っているという。

地元グルメを堪能するのが、ワーケーションの醍醐味

そんなこんなで本日は朝早く集合したので、いつもより少し早めのランチタイム。

ただし、FINDERS編集部がある東京・中目黒にあるようなおしゃれカフェやレストランは南房総に期待してはいけない。ワーケーションでは、むしろ旅行に来た時のように、おしゃれさよりも地元グルメを味わうべし。

永森さんの案内で、地元産イワシ料理がおいしいと評判の「なむら」に連れて行っていただいた。

南房総市内にある人気のイワシ料理店「なむら」。

新鮮なイワシの刺身は、びっくりするほどくさみがなかった。こちらはイワシを使った「イワシ漬け定食」1100円。

ほかにも、イワシを使った刺身定食やメンチカツ、餃子などのオリジナル創作メニューが充実していた。

東京では味わえない地元食材を使ったおいしいランチにテンションが上がる一同。右は「なむら」の店主。

都会とは違う環境で、ブレスト会議が活発化

ランチを終えて再びヤマナハウスに戻り、午後からお仕事を再開するFINDERS編集部。

この日は毎週恒例の編集会議で企画のブレストも実施した。いつものオフィス内にある、狭くて暗めの会議室とは環境ががらっと変わり、とにかく新鮮……!

「こうなったら、沖縄あたりにもワーケーション行っちゃいましょうか」などと話が盛り上がる。

FINDERS編集部でも時にはネタに詰まることがあるが、いつもとは見るもの、感じるものが違う環境に身を置くことで、ブレストがスムーズかつポジティブに進んだ気がした。

会議後は、それぞれやりやすい場所で仕事してみた。ヤマナハウスには古民家にふさわしいちゃぶ台や座イスだけでなく、スタンディングデスクもあるので、立ったり座ったり、ときには外の空気を吸うなどして、仕事とリラックスが同居できる。

ワーケーションの何がいいって、仕事とリラックスを手軽に繰り返せること。オフィスだと仕事への集中と緊張が四六時中ついて回るが、ここでは、仕事の手を休めて軒先に出て外の風を感じたり、なんだったら庭に置かれたハンモックに寝そべりながら電話したりもできる。

かといって、集中がそのたびに分断されるかというとそうでもなく、都会のようなノイズが少ないため、リラックスした後、意外と普通に仕事モードに戻ることができた。

こまめなリラックス効果で緊張がほぐれ、心なしかいつもより肩が軽い気がしたのは、おそらくそれだけ普段、都会のオフィスで緊張状態が続いているということだろう。

10分間の瞑想で凝り固まった心身をリフレッシュ

そして集中力が途切れそうになる15時すぎに実施いただいたのは、一般社団法人コーポレートウェルネス研究会代表理事であり、瞑想インストラクターのつたがわのりこさんによるマインドフルネス講座。

「現代人は仕事などのさまざまなストレスにさらされ、原始時代から体の構造はそれほど変わっていないのに、命がけで狩りをしていたときのような緊張状態が長く続きがちです。そうした緊張した心身をほぐすのに有効なのが、瞑想です」(つたがわさん)

マインドフルネス瞑想とは、「今この瞬間の体験に意図的に目を向けて、評価をせずに、とらわれのない状態でただ観ること」が基本だという。瞑想についての予備知識をわかりやすく簡潔に説明いただいた後、実際にFINDERS編集部のメンバーも瞑想にチャレンジしてみた。基本的には目を閉じて、ひたすら自分の呼吸に集中するだけだが、これが結構難しい。

5分間の瞑想の後、さらにもう10分間。つたがわさんによると、瞑想は続けることが重要で、じわじわと幸福感が奥底から沸き起こり、集中力が高まっていくとのこと。

瞑想を終えると、頭の中の余計な不純物というかノイズがすっきりしたような爽快感が。山里では、都会と比べるとただでさえ余計なノイズが少なく、風の音などに敏感になっている自分自身の変化に気づいた。

つたがわさんが「なぜみんなこんなにいいのに瞑想をやらないんだろう」と言っていた気持ちがわかった気がする。特に瞑想初心者は闇雲に1人でやるよりも、プロの手ほどきを受けた方がはかどるはずだ。

今後は、デジタルデバイスや情報をシャットアウトして黙って過ごした後、ブレストや企画会議をするという「サイレンスリトリート」なども企画しているそうで、こちらも興味深い。

里山ならではのジビエBBQで地元の人と交流会

南房総バーベキュー協会会長の沖浩志さん。

仕事を再開し、夕方からは南房総バーベキュー協会会長の沖浩志さんご協力のもと、地元の移住者との交流会もかねたジビエBBQを開催いただいた。

この日いただいたのは、地元の里山で獲れた鹿とイノシシ、それから近年、獣害認定されているというハクビシン……! 

近郊の東京だけでなく、中国地方から単身移住を決めた人など、さまざまな人が南房総に魅力を感じて移住していることがわかった。南房総では移住者に対して地元の人もオープンで、高齢化していることもあり、若い人は特にかわいがられるという。

食べ慣れないジビエにはしゃぎながらお酒を飲み、暗くなるまで庭先でワイワイ盛り上がったが、お隣の民家は離れているため騒音はまったく問題ない。屋外で直火でのBBQを楽しみながらのこうした交流会は、都市部ではなかなか味わえないひとときだ。

「地元の人」×「都市生活者」が創るオープンな環境で仕事

最後に、FINDERS編集部がワーケーションの拠点として利用させていただいた「ヤマナハウス」主宰者の永森さんに、里山でシェアハウスを運営する意義について話を聞いた。

そもそも「ヤマナハウス」を始動したのは、永森さん自身が東京で働きながら疲れを感じていた時、週末だけでもエスケープできる場として、幼少の頃から臨海学校などで訪れていた南房総に部屋を借りたのがきっかけ。当初は別荘的な感覚で満足していたものの、次第に都市生活者と地元をつなげる多様な空間にしたいと考えるようになったという。

「南房総でオーシャンビューの一軒家を借りて楽しさが天井を迎えた頃に出会ったのが、この築300年の古民家でした。古くからある民家の裏側にはたいてい竹林などの里山がありますが、これは燃料・食料源として富の象徴でもあります。日本の国土の7割は森林ですが、その中には里山も含まれ、里山をきっかけに日本の資産を多くの人が知るきっかけになればと考えました。そこで、里山をもっと現代的にアップデートし、ポジティブに活用できる場として発信したのが始まりです」(永森さん)

今回、FINDERS編集部は少人数での利用のため、基本的に古民家のみを仕事場とさせていただいたが、ヤマナハウスでは古民家、裏山、畑スペースあわせて8,000㎡の敷地をまるっとレンタル可能。金額はスペースや人数規模、用途によって応相談とのこと。近年は少数規模のスタートアップをはじめとした企業からの研修利用などでの問い合わせも増えているという。

いつも代わり映えしないメンバー、オフィスだとどうしても息詰まることがあるが、気分を一新して発想を変えたい、0→1の発想が必要というときこそワーケーションが効を奏すはずだ。企業で新規事業の立ち上げをする部署の方などには特におすすめしたい。


ヤマナハウス