失われた 「ヨバレ (招く)」 の場を再建をめざす
2024年1月1日に発生した能登半島地震からの復興に向け、石川県穴水町で新たな一歩が踏み出される。合同会社Sousei は、コンテナ型ホテル 「Tomoru(トモル)」 を2026年1月に開業し、あわせて交流拠点となる屋外スペース整備のためのクラウドファンディングを開始する。
本プロジェクトが目指すのは、単なる宿泊施設の整備ではなく、能登に古くから根づく 「ヨバレ (招く)」 の文化を現代に再構築し、人と人が自然につながる場を取り戻すことだという。
Tomoru が位置する穴水町は、海と山の恵みに満ちた 「まいもん (美味しいもの) の里」 として知られてきた。能登丼や海鮮、冬のかき祭り、能登ワインなど、四季折々の食文化が息づく土地だ。また、日本で唯一、車で砂浜を走れる 「千里浜なぎさドライブウェイ」 を起点としたドライブやツーリングの拠点としても魅力的な場所だ。Tomoruは、こうした地域のポテンシャルを体感するための 「入り口」 となることを掲げている。
宿泊体験の柱のひとつが、釣りと食をつなぐ 「自産自消」 の仕組みである。九十九湾などで釣りを楽しんだ宿泊者が、自ら釣り上げた魚を地元の寿司店に持ち込み、職人の手で味わう体験を提供する。観光と日常、旅人と地域を一本の線で結ぶ試みだ。
もうひとつの軸は、家族の時間を大切にする滞在設計である。12歳以下の子どもは添い寝無料とし、自然の中で過ごす時間を 「原体験」 として刻むことを後押しする。
「何もない贅沢を。奥能登を感じる入り口。」 という言葉通り、過度な演出ではなく、土地そのものに身を委ねる時間が用意されている。
建築とデザインにも、復興への明確な意思が込められている。外構には、震災で生じた瓦礫を再生加工した能登瓦を敷設。かつて能登の家々を守ってきた瓦が、ランドスケープとして新たな役割を担う。客室内には石川県の県木である能登ヒバを使用し、扉を開けた瞬間に森の香りが広がる空間をつくり上げた。
一方で、快適性にも妥協はない。マットレスには 「NELL」 を採用し、高速Wi-Fiやワークデスクを備えることで、ワーケーションにも対応する。コンテナホテルのイメージを覆す滞在環境が整えられている。
本プロジェクトを特徴づけるのが、チームのあり方だ。現地オーナーに加え、東京や大阪、北海道など全国各地に拠点を持つメンバーが関わり、「能登を元気にしたい」 という思いを共有してプロジェクトを進めてきた。物理的な距離を越え、継続的に関わる 「関係人口」 として自らが能登とつながり続ける姿勢そのものが、Tomoru の思想を体現している。
今回実施されているクラウドファンディングは、焚き火スペースや花壇、ベンチなど、旅人と地域住民が自然に交わる屋外空間の整備を目的とするものだ。「共に創る」 過程そのものが、未来へと続く光になるという考え方が、プロジェクト全体を貫いている。
Tomoru Hotel (トモル) 公式サイト
https://tomoru-anamizu.com/
Instagram
https://www.instagram.com/tomoruhotel/