日本のライブコマース事情とこれからの戦い方
最近は日本でも幾つかの企業がライブコマースのアプリをリリースし始めているが、サーバが弱いと動画が重くなり止まってしまうため、最終的には資金力のある大手が生き残ることになりそうだ。
現在のところは、日本でも有名なライブ配信アプリ「17LIVE」傘下のライブコマースサービス「HandsUP」や、11月にライブ動画配信機能をリリースした楽天市場などが話題となっている。他の有名ECやSNSも今後追随してライブコマース機能を搭載していくと思われる。
しかし、ライブコマースを始める人にとってプラットフォームはそこまで重要ではない。スマートフォンを複数用意すれば各プラットフォームで同時配信も行えるし、フォロワーがつけば新しいプラットフォームで配信を始めても付いてきてくれるからだ。
また、ファンの多い芸能人・有名人であれば有名ライバーになれるわけではない。フォロワーの数と商品が売れるかどうかは別の話だ。話し方が面白かったり、人となりが信頼されたり、応援したいと思ってくれたり、個人のキャラが立つかも関係してくる。
日本企業と共に中国へのライブコマース展開を進めている動画プロデューサーの山下智博さんはこのように語る。
「最初は投げ銭稼ぎから始まったライブコマースですが、今では発信者のパイが増え、裾野が広がっています。田舎のおじいちゃんおばあちゃんが農作物を売ったり、誰でも物を売れる時代になりました」
先日、中国のあるライバーは防寒インナーを宣伝するため標高5600メートルの雪山に登りライブ配信。動画はバズり、商品は即完売した。体を張り、工夫を凝らす人にはチャンスが転がっている。
真珠貝、iPhone、ブランドバッグ、ワインなどを紹介する配信者
ライブコマースで成功するためには「得意分野への集中」が必須
TikTokのビジネス活用やライブコマースの提案を手がける、SNSアラジン株式会社代表の直良陽子さんはこう話す。
「ライブコマースでは無形商品も売ることができます。中国では、中国版TikTok『抖音』の使い方を説明した録画講座を販売して1000万元(約1億8000万円)売り上げた女性がいます」
例えば、直良さんがコンサルを行っているネイル商材会社は「handsUP」を用いてネイリストとコラボした実演を行い、1回目で60万円の売り上げを達成。その後も1時間100万円以上の売り上げを記録している。
これからライバーになろうと思っている人は、まず自分が「何を売ることができるのか」を見極めることから始めよう。この点でショップ店員や販売店スタッフ経験者など、オフラインで物を売った実績がある人はオンラインでもアドバンテージがあるが、自分が楽しいと思ったこと、他人に教えられること、説明できることや上手に伝えられるものがあり、価値のあるものを提供し続けることができるなら、ファンは増えてゆく。
話が苦手でも、上手に実演できれば良い。ハンドメイド工作をその場で作って見せたり、田舎で野菜を収穫する一連の様子を見せるといった方法でも良い。中国のライブコマースでは、真珠貝から真珠を延々と取り出すライブコマースが5万人以上の同時視聴者数を集めていた。
生放送に自信がない人は録画でも良く、例えば日本の独特の風景や旅館・料亭などを海外に宣伝するための動画を配信することもできる。また、ペットショップなどにカメラを取り付けて営業時間中ずっと配信し、質問や注文が来た時だけ対応するといった手法も中国では見られる。
今後、日本のライブコマースは中国と同じように流行り始め、その後特定の分野に棲み分けが行われる可能性が高い。今のうちから自分の得意分野を定めてチャンスに備えていこう。