「思い出」の資産価値
先ほど、お金よりも大切なものの一例として「思い出(記憶)」を挙げました。記憶の価値をこれまで侮っていましたが、最近は最重要だと感じる品目です。
ここでひとつ質問してみたいと思います。皆さんにとって人生でいちばん大切な「記憶」って何でしょうか?結婚式、出産、受験の合格発表、学生時代の恋愛、卒業旅行など、いろんな答えがあると思います。では、その記憶に値付けするとしたらどうでしょう? いくらでその記憶を売却しますか?
売ってしまえば記憶から消えてしまいます。現実的ではないかもしれませんが、敢えて質問させていただきます。いろんな方にこの質問をしてきましたが、「絶対に売らない」とか「1億円を積まれても無理」とかが多い答えです。
普段はあまり意識をすることがないかもしれませんが、私たちは「思い出」というものにとんでもない価値を感じているようです。私は「1億円」なんてもちろん持っていませんが、「1億円をもらっても売りたくない記憶」は沢山あります。
私にとって「1億円を稼ぐ」ことは極めて難しいです。しかし、1億円の価値を持つ記憶だったらどうでしょう。たとえば、結婚式や世界一周などの記憶は、私にとって1億円以上の主観的価値があります(他の人にとっては無価値だと思いますが)。それらの記憶は容易に作り得たものではないですが、1億円を稼ぐよりは遥かに簡単に、かつ楽しみながら作ることができました。無形資産を含めた資産家になるためには、「思い出づくり」って非常にコスパがいいのではないでしょうか。
私たちはすでに億万長者
私のワークショップ等で参加者たちへ、よくする質問があります。
それは『あなたのポジティブな感情を10年間、ポジティブな感情のない方へレンタルしなければならないとします。いくらで貸し出しますか?』です。
その10年間、あなたはポジティブな感情(嬉しい、楽しい、幸せだ、好きだ、気持ちいい、等)を失い、ネガティブな感情(悲しい、つらい、嫌いだ、不幸だ、気持ち悪い、等)のみで生活します。ただし、死ぬことはありませんし、10年後、ポジティブな感情は戻ってきます。
そんな条件で問うてみると、「絶対に貸したくない!」「1兆円でもイヤだ!」という反応がほとんどです。普段あたりまえに味わっている「嬉しい」や「楽しい」という感情に、私たちは1兆円以上の価値付けをしているのです。
つまり、視点を変えれば「私たちはすでに億万長者」ということです。
自分にとっての価値ある無形資産とは何か?そんなことを考えながら、眠っている資産を掘り起こしてみてはいかがでしょうか。お金に人生を盗まれないために、必要以上に不安を煽られないために、お金とどう向き合っていくのかを考えるキッカケにこの記事がなったなら幸いです。