Night Order #26 / 渋谷のんべい横丁
昨年から続くコロナ禍で次々に作品を発表し続けてきた写真家がいる。写真家の小田駿一だ。ファインダー越しにコロナ禍の日本社会はどうか映ったのだろうか。
小田は、昨春の初の緊急事態宣言下、東京の夜の街を記録した写真集『Night Order』の製作と苦境に立たされた飲食店への支援を目的にクラウドファンディングを行ったのを皮切りに、今年1月にはタブーを切り口にした作品を展示し、収益の半分を開催地、日本橋の飲食店へ還元したアートフェア『Gallery of Taboo』を主宰。現在は古都、京都で初の個展『OLIVION』を開催している。小田は普段、『Forbes JAPAN』をはじめとするビジネスメディアのほか、『WWD JAPAN』『GOETHE』『Number』などの雑誌、広告で主に人物写真を撮影している注目のフォトグラファーという顔を持っている。
いわゆる商業写真を中心に活動する小田は、御三家中学から名門大学、大企業を経てフォトグラファーになった変わり種だ。その彼はなぜアートワークを始めようと思ったのか? コロナ禍でさらに分断が深まったとされる日本社会に小田は何を思ったのだろうか? 約2時間におよぶロングインタビューに答えてくれた。
聞き手:本多カツヒロ・神保勇揮 文・構成:本多カツヒロ
小田駿一
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1990年生まれ。2012年に渡英し独学で写真を学ぶ。2017年に独立。2019年からSymphonic所属。人物を中心に、雑誌・広告と幅広く撮影。アートワークとしては2020年に写真集『NightOrder』を発表。2021年には『Gallery of Taboo』を主宰し、「OTONA性-百面相化する自己意識の果てに」を発表。社会との繋がりのなかから着想を得て、人の心と行動を動かす「Socio-Photography」を志向する。
https://www.shunichi-oda.com/
「大企業社員として出世できる期待値」だけで生きていけるか?を何年も問い直し写真家の道に
―― 小田さんは御三家の一つである麻布学園から早稲田大学、そして大企業の会社員を経て、独学で写真を学びプロとして活躍されています。変わった経歴の持ち主だと思うのですが、どんな経緯で写真家になったのでしょうか?
小田:自由な校風で有名な麻布に合格し、奇才や天才などいろんな才能の持ち主と出会えるんだろうと期待して入学しました。でも、そこで目にしたのはほんとんどの生徒の行動原理が期待値だったことです。つまり確率と自分にとって得をすることが起こる大きさをはじき出して「有名大学に進み、大企業への就職やその時々で良いとされる仕事に就く」という人生を選択する人が多かった。これだけ自由だと言われている学校の生徒でもやはりそうなのかとある意味で落胆したんです。それは自分自身も例外ではなく、なんの才能もなかったし、期待値で生きていた。なんとなく予見可能な他愛のない将来が見えていた。
そういう将来に対して、不満というか半ば諦めの気持ちを中学生くらいから会社員になっても持ち続けていました。だからこそ、真逆にあると感じていたクリエイティブな世界への憧れがあったんです。それで大学生になってからはファッションやカルチャーのフリーペーパーを製作する中で偶然カメラを手に取り、大学3年の時にはロンドンへ留学もしました。
ーー ロンドンではどんなことをされていたんですか?
小田:当時、日本のウェブメディア向けの特派員のような仕事をしていた人のツテを辿り、ロンドンファッションウィークの撮影のお手伝いをする機会があったんです。向こうは若手クリエイターが作品を製作する環境が整っていて、かつメジャーファッション誌だけでなくインディペンデントマガジンの層も厚く、コンビニのような店舗でさえ大量に並んでいます。インディでも名の通った雑誌に写真を掲載できると、それ単体ではギャラがもらえないことがあっても、以降ラグジュアリーブランドのアイテムでも簡単に借りられるようになり、フォトグラファーとしてのステップアップが図れるようになっているんです。
ですが日本に帰国して現実を見た時、写真で食べていく自信がなかった。日和ったんです。やはり私は期待値を考え、予測可能な安穏とした人生を生きる方が向いているのではないかと思い、就職活動を始め、ある企業にお世話になりました。会社の先輩たちはとても優秀な方々が多く、いろんなことを学びました。ただ、組織の論理の中で何十年間もかけて出世していくことを待てるほど忍耐強くも賢くもない。よくある話ですが、大企業病になりそうになったんですよね。一瞬で。頭の中では、せっかく会社にお世話になったんだから、会社にとって良いことをしよう。例え、自分のキャリアが犠牲になるとしても。と思いながらも、心が自己保身に向いてしまう。そんな自分自身の弱さを感じた時に、弱い自分に飲み込まれて、かっこ悪くなっていく姿しか想像できなかった。自分が自分自身を誇るためには、生き方を変えないといけないと思いました。
そこで改めて自分が心から好きだと思えることをやろうと考え、フォトグラファーのキャリアをスタートすることを決意しました。写真家の世界ならば、良い作品を撮れば次も仕事がある。そうでなければ仕事は来なくなる。自分自身と周りにとっての「いい仕事」の概念がなんの矛盾もなく、整合する。そういうシンプルさや明快さがすごく澄んで見えたんです。
とはいえ、フォトグラファーという経済的には不確実な生き方を選択したとき、周囲の方から心配もされました。ただ、私の中ではそういう経済的な不確実性よりも、自分を騙しながら、自分を肯定できない状態で、なんとなく多くの人がいう正しそうな道に進むことの方がもっと辛いんじゃないかと思ったんです。どんなに期待値をベースに考え、生きたって、多くの人はどこかで負けたり、頭打ちになったりする。期待値だけでは推し量れない選択にこそ真実やその人らしさが宿ると思いますし、たとえどこかで負けてしまったとしても好きだからやっているのであれば不幸にならない道が歩めるかもしれないと考えました。
2017年にフォトグラファーとして日本で独立しました。最初こそ大変でしたが、その後はありがたいことに毎日のように仕事があった。その中で作品のクオリティを上げていこうと努力はしていました。そうして過ごしてきた中、2020年4月の緊急事態宣言で突然一月半ほど全く仕事がない時間ができた。久々に仕事や自分自身を省みることができたんです。その時に感じたのが、いつの間にか写真が「仕事」になっていたんじゃないか? どこか「仕事」という見えない制約の枠に甘えているのじゃないか。怠慢なんじゃないかということです。
自分は写真を始めたばかりの頃に持っていたクリエイティブスピリットを失い始めているのではないか。若い時の、何もなかった頃のように自発的に何かにチャレンジがしたい。そこで自身の個人作品『Night Order』の制作を始めようと動き出しました。
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歴史的事象を記録し、社会と人の心を動かす写真をいかに撮るか
Night Order #49 / 新宿ゴールデン街
ーー フォトグラファーとして人物写真を中心に撮影する小田さんですが、なぜ商業写真ではない「東京の夜の街」をテーマにした写真作品を撮影しようと考えたのでしょうか?
小田:当時、日本より先にロックダウンが始まっていたニューヨークでは、、ニューヨークタイムズやヴァニティ・フェアなどで活躍する報道写真家たちがこぞって街の風景を撮影していました。海外での経験も経て感じたのは、日本の報道写真と欧米の報道写真は立ち位置が違うということです。たとえば、世界的な写真家集団「マグナム・フォト」は、難民などの問題を取り上げ、世に問うような作品を発表するんですが、写真自体も非常に美しい。だからこそ、ファッションなどを撮る商業写真家と同じようにリスペクトを受けている。日本でも、安保闘争などを撮影していた北井一夫さんなど素晴らしい先達がいますが、現代ではなかなかいらっしゃらない。
そういった海外の写真家たちの動きに刺激を受け、自分でも100年に1度とも言われるこの危機的な状況を記録したいと考えました。そもそも写真には「記憶」や「記録」という根本的な機能があります。そういう意味では、写真家であればコロナ禍で何をするのかを考えた時に「私が実際に住み、暮らす東京という街」を撮影するというのは非常にシンプルな答えだったと思います。記録的な写真だからこそ、10年後、15年後も皆さんに見ていただける作品にしたかった。そしてただ単純に自己の内面を吐露するような作品にだけはしたくはなくて、撮ることに社会的な意味を見い出したかったんです。
ーー 『Night Order』は撮影に協力してくれた店舗に売上の一部を還元していますが、これはどのように決まったのでしょうか。
小田:もともと飲みに行くのが好きなので、バーのオーナーにも知り合いがいますし、困っていることも知っていました。だからこそ、オーナーたちと連帯して、少しでもお店の助けになる取り組みにしようと考えました。多くの飲食店は、個人で経営しており厳しい状態に追い込まれている。にも関わらず、闇営業などの保身に走らず身を削ってでも感染拡大防止に協力する秩序高いに感銘を受けました。過去に大企業病にかかりそうになっていた、自己保身に走りそうになった自分を思い起こすと、そうした姿勢がカッコよく見えたんです。だから「秩序ある夜」、つまり「Night Order」と名付けました。
加えて金額的には少ないですが、少しでもお店の役に立てばとオーナーの方々と相談をしてクラウドファンディングを思い付いたんです。まわりのメディア関係者も積極的に取り上げてくれたり、写真集を買ってサポートしてくれる方々がいて、結果的に約230万円が集まりました。
Night Order #60 / bar toilet
ーー いつもの人物写真とは違う側面が見ることができた反面、まわりの反応はどうだったのでしょうか?
小田:全体的にとても協力的で、好意的に捉えてくださる方が多く、本当に感謝の気持ちで一杯になりました。いつもは誰かからお仕事を頂いて撮影するわけですが、何もないところから自発的に撮影し、社会に問いかけていく。そんな楽しさを改めて、感じられました。
一方で、私の作品は多くの人に意外に見えたようにも感じました。日頃、ポートレート写真を撮影している人間がこういう写真も撮れるのだ…というような。そういう反応も垣間見て、皆さんが記号化というかタグ付けを通じていろんなものを認識していることもよくわかった。たとえば、(インタビュアーの)本多さんなら、フリーライター、どこどこの媒体で書いている、どんな記事を主に執筆しているのを調べて、というタグ付けの羅列から想像するストーリーによって本多さんという人が理解されている。本当はそれらとも違う側面を持っているはずなんですが、タグ付けし記号的に消費される。その方が人のことを効率的に認識しやすいのかもしれません。そうなるとSNSの登場によって情報を発信する敷居は下がったかもしれませんが、深いことや本質的なメッセージが伝わりにくくなっているのではないかという気付きを得ました。
ーー SNSの普及によってさらにそうした側面が加速しましたね。
小田:「みんなが消費しやすい情報」ばかりが氾濫している。でも人間や世の中はそんなに単純ではないですよね。SNSが普及する以前ならば、ある程度の能力や権威ある人がきちんと情報を精査し、読み手はその情報を解釈したり、咀嚼することで深みが生まれた。また、情報そのものが少なかったから、自分で調べるしかなかった。それは私の中高時代で言えば、ファッションや音楽でした。
しかし、現在は情報は浴びるほどあるので、効率よくキュレートしてハッシュタグをつけて世の中を認識しているように感じますね。私はどちらも経験している世代です。だから、自分をタグ付けしながら皆さんに伝えることも、特に経済的な成功を収める意味では重要です。ただし、個人活動では噛み砕き過ぎずに、解釈の余地を与えるような作品を制作するように心がけています。
ーー 小田さんは自身の作風を「Socio-Photography」と定義しています。社会と関わりながら、人を巻き込んでいく『Night Order』はまさにそれを形にしてものかなと思います。
小田:「Socio-Photography」という言葉は私がつくった造語です。社会とのつながりの中から着想を得た作品を制作し、人の心と行動を動かすことを意味しています。
クリエイターの中には、社会がどう変わろうが自身が作るものは変わらないという方もいるかもしれませんが、私は社会の中に存在する個人であり、社会からの影響からは不可避であるいう意識があります。それならば、社会の変化に合わせ、自分の考えも変わり、それが作品にも反映されていく状態を目指したいと思っています。
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アート作品を通じて「社会で起こっていること」を自分の頭で考えてみてほしい
『Gallery of Taboo』は日本橋にある遊休不動産を舞台に「正解」を疑う新進気鋭のアーティスト8組が参加し、作品販売収益の一部を日本橋の地域にある飲食店へ還元した
撮影:本多カツヒロ
ーー 今年1月には他のアーティストたちと『Gallery of Taboo』というアートフェアを開催し、作品の収益の半分を開催地である日本橋の飲食店に還元する試みを始めましたね。
小田:『Night Order』でいろんな方が協力してくれて、打てば響くんだなと自信が持てました。ですが一向にコロナが収束する気配がなく、当時はまだワクチン接種も始まっていなかった。その時に、メディアで目にしたのは「経済を優先するのか、それとも人命を優先するのか」といった二者択一の議論ばかり。それはすごく極端だなと違和感を持っていたんです。だって、経済も人命もどちらも大切じゃないですか。どちらもある程度譲り合って妥協できるような最適なポイントがあるはずだろうと。でも、そういう建設的な議論よりも分断を煽るかのような白か黒かの議論が多かったですよね。
そうした白か黒かの議論に皆さん疲れていたと思うんですよ。だから曖昧さをあえて提示する、つまりは「価値観なんて時代とともに変遷するんだよ」「世界には正解なんてなくて、自ら考え、行動し、生きていくしかない」ということをタブーという題材を通じて伝えたいと考えて開催したんです。大抵の難しい問題はそう簡単に答えなんて出ない。でも、それを諦めるのではなく、答えの出ない問題について悩み考え自分なりに決めることこそが本当の知性だと思うんです。
ーー 確かにそうですね。
小田:『Gallery of Taboo』で展示した私の作品の被写体は、全身にタトゥーを纏った人でした。そうした方々に対する今の社会の見方は変わってきているとはいえ、まだまだ「それも普通にあること」として受け入れられる状態であるとは言えません。
そして、実はタブーも時代や地域とともに変遷しています。たとえば、アメリカでは禁酒法の時代があった一方、現在は多くの州で医療用だけではなく嗜好用の大麻の使用が認められてもいる。でも、日本では大麻の使用が認められていません。タブーをはじめとする諸問題は長い時間をかけ相対的で揺らぎ変わっていくものです。
『Gallery of Taboo』で展示した「OTONA性 - 百面相化する自己意識の果てに」より
ーー 情報を集め、精査して自分の頭で考えることは絶対に放棄してはいけないと思うんです。ただ、ものすごく労力を要しますね。
小田:なぜ多くの人が自分なりの答えを求めないのか。それは日本人は自己肯定感が低い人が多く、自身の考えに自信を持つことができないからだと思うんです。つまり、自分のことを信じられない人が多い。教育については詳しくないですが、学生時代に正解のある問題ばかりを考えさせられるじゃないですか。でも悲しいかな社会には絶対的な正解なんてなかなかないんですよ。でも、自分を信じられないから自分なりの答えを出せずに、社会に答えを求めてしまう。
バブル崩壊以降の失われた30年とも言われる時代で、日本人の敗北主義が顕著になったと思うんです。「自分たちは欧米に比べると劣っている」というような。ロンドン時代にできたフランス人の友人は、経済的には世界一の規模ではないけれど、フランスの文化が世界最強だって思っていますよ。敗北主義から問題を考えると、どうしても欧米には良い答えがあるはずだと、外に答えを求めてしまう。でも、そうじゃないだろうと。そこからの脱却をテーマにしたのが現在開催している個展『OBLIVION / 忘却』です。
写真展『OBLIVION』より
ーー どういうことでしょうか?
小田:ある仕事で屋久島へ行ったんです。普段、コンクリートに囲まれた東京で生活している私にとってあの豊かな自然の中で撮影するだけで癒やされた。これはなんだろうと考えた時、日本人は太古の昔から水や森に生かされ、共生してきたことに改めて気付かされたんです。つまり、自分という存在・自己は生まれてから今までの時間軸だけでではなくて、先祖代々受け継がれてきたものがあるということ。日本という土地に生まれ、文化があり、その中で生きてきた先達がいた。だからこそ、今の私があるんだということにはっとしたんです。
実際、無意識的に、我々を培ってきた原初の自然が残った屋久島に癒された自分がいるし、今も多くの方々が屋久島を訪れている。偶発的に出会った土地でしたが、まずはここを撮ってみたいと撮影を始めました。撮り続ける中で浮かんできたテーマが、タイトルにもなった「OBLIVION=忘却」という言葉。我々が忘れ去った記憶の果てに本当に自分を助けてくれる何かがあるのではないか。そんなニュアンスをタイトルにはこめています。
実際に完成した作品を見ることで、鑑賞者の方が、太古の自然に思いを巡らせ、我々が連綿を積み重ねてきた歴史に思いを馳せる。豊かな自然が育んでくれた日本人の感性や情緒を改めて辿ってみる。すると、見えてくるのは調和を重んじる日本人の美しい精神性だったり、嫋(たお)やかな美意識だったりするんじゃないでしょうか。日本の相対的経済規模が下がっているからダメだではなく、これだけ歴史ある美しい感性と文化がある自分たちの歴史や営みに目を向けることで、自分にその考えを引き寄せて、自己肯定をするきっかけにして欲しい。。自分の過去にも思いを巡らすことで自分が忘れていたような良いところや、もっと言えば日本人の良いところに目を向けてくれればと。
ーー すごく良いメッセージだとは思いますが、一方で民族主義的じゃないかという反発も起こりそうですね。
小田:私はイデオロギーとしての民族主義的なメッセージを伝えているつもりはありません。今後、人口が減少し、GDPの相対的な規模も下落している日本で、個々人が幸せや豊かさを考えた時に、果たしてアメリカ式の豊かさ、資本主義的な規模こそ正義だという考えを真似したところでうまく行かないのではないかと思うんですよ。個々人が幸せを享受していくには、他国の真似ではなく日本人のオリジナリティに立脚した方がうまく進むのではないかと思うんです。経済的な言い方に引き寄せると、一人当たりのGDPをどうやって上げていくのがいいのか。そのための方法論としての、ある種のガラパゴス礼賛的考え方ですよね。
たとえば、マリメッコなどの北欧ブランドは世界的に成功していますよね。もともと北欧は冬になると日照時間も短く、雪が多いために外へ出られない。鬱々とするわけです。その中で、原色でかわいいプロダクトが部屋にあれば元気が出るじゃないですか。だからこそ生まれたものなんじゃないかと思っていて、それは別に民族主義的なメッセージではないですよね。自国にこそある地域的な個性をプロダクトに素直に反映させている。日本にもそういうポテンシャルのあるカルチャーや商品はあるはずなんです。
先日、拝見したあるネット番組で、社会学者の宮台真司さんは今の日本人はどんどん恋愛できなくなっているという言い方をされていました。つまり、日本人は自尊心とか、愛国心とか、良いか悪いかではなく、我々と自分自身を支える精神的・社会的資本が著しく、棄損してしまっていると。私もその考え方にはとても共感します。つまり、キーワードは、やっぱり愛。日本が好きか、日本に住む多様な人たちが好きか、自分自身を愛せているか。愛の先に、自分なりの答えが見いだせるのではないかと感じます。
ーー 今後、個人活動としてはどんな作品を発表していくのでしょうか。
小田:『OBLIVION』シリーズは継続して撮影していきたいなと考えています。今回は屋久島でしたが、日本には素晴らしい原風景がたくさんあるので。今回のような作品で、自己否定的だった方が自分の良いところを見つめ直し、自己を肯定し、好きなことを始めてくれる方が一人でも増えたら嬉しいですね。
ただ同時に感じているのは、私の知名度、作品の強度がまだまだ足りないということです。多くの人に自分が考えたメッセージがまだまだ伝わっていない。それは方法や手段が不完全だったり、伝え方が悪いのかもしれない。もしくは巻き込んでいる人の数も少ないのかもしれない。そういった部分は内省して、自己満足するのではなく少しづつでも改善していきたいなと考えていますね。
『OBLIVION』 / KYOTO
会場:二手舎京都
京都府京都市上京区下木下町144-4
会期:2021年9月3日~11月22日
入場料:無料
営業時間:13:00-18:00
作家在廊日:9/3-9/5 9/17-9/19 10/15-10/17 11/20-11/22 は予約不要。
上記以外の期間は、日・月のみ営業・要予約。
WEB:https://www.nitesha.com/?mode=grp&gid=2637156
『OBLIVION』 / NAGOYA
会場:C7C gallery and shop
愛知県名古屋市千種区千種2-2-13 2F
会期:2021年12月4日~12月27日
入場料:無料
営業時間:13:00-18:00(定休日 : 火・木曜日)
作家在廊日:12/4-12/5・12/11-12・12/25-12/26
WEB : http://c7c.jp/