本物の「プロ」と認められるために
現在、業界内でのハラミちゃんは、ひと通りのバラエティ出演を経て「一周まわった」と言われる状態。もはや、どん底からのサクセスストーリーは通用しないし、テレビタレントにはない素人感を押し出し続けることも難しい。
だから、『世界一受けたい授業！』ではハラミちゃんメインのお悩み相談コーナーを設けたこともあったが、はじまってみたら「ピアノを弾いているだけで悩みには答えない」というシュールなものだった。10日にゲスト出演した『今夜くらべてみました』を見てもトーク力に大きな進歩は見られず、今後もタレントのように扱っていくことは考えづらい。
ただ、テレビの作り手たちが困っている根本の理由は、ハラミちゃんのポジショニングにある。彼女はタレントではなくピアニストなのだが、世間の人々から「プロのピアニスト」と認められているわけでもない。「プロのピアニストはもっとうまい」「彼女はプロになれなかった人」というイメージの人がいるのだ。
実際ハラミちゃんは『芸能界特技王決定戦 TEPPEN』（フジテレビ系）のピアノ部門に2020年9月、2021年1月の2度にわたって出演。ともに優勝したのだが、出場者は基本的にタレントたちでプロのピアニストはいなかった。つまり、ハラミちゃんはプロのピアニストではなくタレントと同じ扱いで出場していたのだ。ちなみに今年10月の放送には出演しなかったが、これは「私はプロのピアニスト」という彼女なりの意思表示だったようにも見える。
今後は競争の激しいピアノ系YouTuberの1人として、ネットを中心に活動していくのか。それとも、より「プロのピアニスト」としてのブランディングを高めるべく、作曲、リリース、ライブ、アーティストコラボなどを進めていくのか。
いずれにしても、メディア出演がひと周りして鮮度が消えた今、大みそかの『NHK紅白歌合戦』を最後に1月から出演が激減する一発屋芸人のようになってしまう可能性が高まっているのは間違いない。世間の人々からもう一度認められるような次の展開がほしいところだが、その1つが来年1月4日に予定されている日本武道館公演なのだろう。
最近の彼女が「ニコニコしているのに、どこか必死な姿に見えていた」のは、そんな現状に抗うべく頑張り続けているからなのかもしれない。