1990年代女優唯一のトップ生き残り
ところが40代半ばに入った2010年代中盤に風向きが変わる。2014年の『さよなら私』（NHK）、2015年の『医師たちの恋愛事情』（フジテレビ系）、2016年の『コントレール～罪と恋』（NHK）で主演やヒロインを立て続けに演じた。再びその美しさがフィーチャーされただけでなく、演技を称える声も増えていたのだ。
そんな再ブレイクの兆しを見せて迎えたのが『逃げるは恥だが役に立つ』（TBS系）。演じた土屋百合は「バリバリのキャリアウーマンながら、独身で男性経験なしのアラフィフ処女」という石田ゆり子にとって虚実皮膜のようなキャラクターだった。同作で1990年代から彼女を見続けてきた同年代だけでなく、若年層のファンをつかんだことで、再ブレイクを決定的なものにしたのだ。
前述したように「清楚」「可憐」な印象が強かったかつての石田ゆり子は、ファンの大半が男性であり、決して女性ウケがいいタイプではなかった。しかし、現在ではインスタグラムへのコメントやエッセイの売上などを見る限り、女性ファンの割合が高く、しかも全世代からの支持を得ているところが凄い。
さらにまだ正式発表されていないが、来年1月期の連ドラに主演級キャストで出演することが報じられている。一方で、同じ1990年代に主演やヒロインを務めていた中山美穂、鈴木保奈美、仙道敦子、小泉今日子、山口智子、和久井映見らが令和の今、そのポジションを務めることはほとんどない。あの時代から今も主演やヒロインを演じているのは石田ゆり子だけなのだ。
かつては見た目のイメージに頼るような「美人」「お嬢様」のような役柄ばかりだったが、現在ではたくましいキャリアウーマン、コミカルな変人、根っからの悪女など、さまざまな役をこなしている。それは先月まで放送されていた『TOKYO MER～走る緊急救命室』（TBS系）で東京都知事を演じたことからもわかるだろう。
つまり、石田ゆり子にとって50代に突入した「今が旬」ということなのかもしれない。この結果次第では、親交の深い独身同世代の天海祐希と並ぶ50代主演女優の2トップとなっていくのではないか。