(NFT鳴門美術館のプレスリリースより)
8月12日に、徳島県鳴門市の「鳴門ガレの森美術館」を管理運営する「一般財団法人鳴門ガレの森美術館」は、「一般財団法人NFT鳴門美術館」と改称しました。そして、11月より美術館名を「鳴門ガレの森美術館」から「NFT鳴門美術館」として再スタート。日本初のNFTに特化した美術館となるので、まだ、サービスが始まっていない状態ですが、代表理事の山口大世氏にお話を伺いました。
足立 明穂
ITトレンド・ウォッチャー、キンドル作家
シリコンバレーで黎明期のインターネットに触れ、世界が変わることを確信。帰国後は、ITベンチャー企業を転々とする。また、官庁関係の仕事に関わることも多く、P2Pの産学官共同研究プロジェクトでは事務局でとりまとめも経験。キンドル出版で著述や、PodcastでITの最新情報を発信しつつ、セミナー講師、企業研修、ITコンサル業務などをおこなうフリーランス。
11月からスタートするNFT美術館が提供するサービス
NFT鳴門美術館がスタートするのは11月からで、プレスリリースによると下記の5点が書かれています。
1. 募集・審査(ソーシング)
2. 発行(NFT化)
3. マーケット出展・管理
4. PR企画・2次流通(プロミネンス活動)
5. 作品カストディ・輸送・保険
6. バックオフィス管理
ここで注目すべき点は、「審査」「作品カストディ・輸送・保険」でしょう。NFTマーケットプレイスは、日本国内にもいくつも登場していますが、出品審査だけでなく作品の保険などまで行うところは、まず目にしません。
多くのNFTマーケットプレイスがIT企業から生まれているものが多く、どちらかというとIT技術先行でサービス展開しているものがほとんどです。美術品のオークションハウスやギャラリーなど美術業界から出てきた、元々、アート作品を扱っている企業や団体から出てきたNFTマーケットプレイスはありません。
実は、ここにNFT鳴門美術館の大きな意味があります。山口代表理事が、海外の方とお話しされたときに、現状のNFTマーケットプレイスの多くが、NFT化されたアート作品の審査や保管・保険といった本来なら美術品に付いて回るサービスがないから、今一つ信用できないということを言われるそうです。
例えば、オークションハウスの老舗サザビーズなどでは、出品作品を審査し、所有者を確かめ、保管する上での管理や万が一の保険を掛けるといったことを行います。そういう手続きを経て、本物である、権利関係がクリアになっている作品であるという安心感があるからこそ、コレクターが何千万円、何億円といった落札価格を提示するのです。こういったアート作品に伴う業務を美術館だからこそ、当たり前に行うことができて、そこにNFTを取り入れたというのが、NFT鳴門美術館の大きな意味があります。
さらに、デジタルアートのみを扱うNFTマーケットプレイスが多い中、美術館だからこそ、現物を扱い、それのデジタル化・NFT化を行うことができるということで、IT企業から始まったマーケットプレイスとは全く異なる立ち位置になります。そのため、他の美術館からも注目されていて、問い合わせが多いそうです。
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