文:窪田みちる
新型コロナウイルスのワクチン接種が世界中で進んでいる。日本も当初は他国に遅れを取っていたものの、現在は国民の半数が2回接種を終えた。しかし、若年層にはまだ十分にワクチンが行き届いていないのが現状だ。
そんな中、ファイザーとバイオンテックは、子どもを対象とした新型コロナウイルスワクチン接種の承認を近々、FDA(アメリカ食品医薬品局)など各国の規制当局に申請することを明らかにした。
FDA「2カ月間はデータを見極めるべき」
バイオンテックの共同設立者であり、最高医療責任者でもあるオズレム・テュレジ氏は今月10日、『Der Spiegel』の取材に対し「今後数週間のうちに、世界中の5歳から11歳までの子どもに関する研究結果を、各国の規制当局に提出し、この年齢層向けのワクチン接種の承認を申請する予定です」と述べた。
バイオンテックは、9月中に5~11歳の子どもに関する申請書類を提出する予定。生後6カ月~2歳の子どもについても、今年中に承認を得る計画を立てているという。また、テュレジ氏によると、12歳以上を対象に使用が承認されているmRNAワクチンの小児用低用量バージョンを瓶詰めするため、製造工程の最終調整を行っているとのこと。
またバイオンテックの最高経営責任者であるウール・シャヒン氏も、「状況は良好で、すべてが計画通りに進んでいます」と語った。
この発表からまもなく、FDAも声明を出した。そこでは、ワクチン接種の安全性を確保するため、製造業者が提出する臨床試験データは、最終投与から少なくとも2カ月間のモニタリング期間を設ける必要があることを主張した。
声明の中で「子どもは小さな大人ではありません。小児用ワクチンの臨床試験では、すでに成人に使用されているワクチンの用量や強度を変更する必要があるかを調べなければなりません」と述べている。
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