EVENT | 2023/07/13

「今のTwitterじゃこんなこと書けないけど…」利用者1億人突破のThreadsで続々と新機能の実装が発表

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文:神保勇揮(FINDERS編集部)
新機能が続々実装。有料の認証制度も...

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文:神保勇揮(FINDERS編集部)

新機能が続々実装。有料の認証制度もスタート

FacebookやInstagramを運営するMeta社が開発した新SNS「Threads」の公開から1週間が経過した。

EU圏では各種規制との兼ね合いからまだ公開されていないにも関わらず、公開から5日で利用者数が1億人を突破し、その動向には大きな注目が集まっている。

利用するにはInstagramのアカウントが必要(既に保有している人はアカウント紐づけが必要)で、文字入力は500字まで、画像・動画は10まで同時に投稿できる一方、現時点の「できないこと」としてハッシュタグの利用や投稿内容の検索、フォローしているアカウントのみの投稿を表示することはできないといった点もあり、Twitterとの違いも結構見受けられる。

本記事では7月13日時点での「直近でできるようになったこと」「今後できるようになると予告されていること」をまとめる。

<Meta認証>
ちょうど本日、日本での実装が発表されたのがこの「Meta認証」だ。公的機関発行の本人確認書類を提出し、審査が通れば有料で以下の機能が利用可能となる。

認証バッジ:登録者が実在の人物であり、アカウントが本物であることを示す

なりすましに対するアカウント保護:オンライン上で注目を集めているアカウントを狙う可能性がある「なりすまし」対策として、アカウントの積極的なモニタリング

アカウントサポート:一般的な問題について担当者によるサポート(日本語も対応)

登録者のみが利用できる限定機能:InstagramとFacebookのストーリーズやリールで利用できる特別なスタンプ

InstagramもしくはFacebookから直接購入することが可能で、日本での価格はiOSとAndroid経由の場合は月額1990円、ウェブ上では月額1592円。

現時点でMeta認証を利用できるのは、利用資格を満たしている個人、もしくはプロフェッショナルプロフィールを利用しているクリエイターのみで、今後は「ビジネスやその他のコミュニティも含めた全ての利用者にとって価値があるサブスクリプションを構築したいと考えています」とのこと。

なお、一定の条件を満たした公人、著名人、ブランドに対して付与されていた認証バッジは無料のまま維持され、今後も新たにリクエストすることが可能だ。

<各種機能改良>
Instagramを統括するアダム・モッセーリ氏は、Threads上で以下の7つの機能が追加されたことを本日発表した。

投稿へのメンション可能範囲の指定:すべての人、フォロー中の人、メンションした相手のみ、の3つから選択可能。投稿した後からでも設定変更できる

ツリー投稿のショートカット:新規スレッド(Twitterにおけるツイート)の投稿を行う際、何か文字を入力してから3回改行ボタンを押すと、2つ目以降のツリー用の投稿もできるようになった

クイックフォロー:フォローしていないユーザーのアイコンに+マークが表示されるようになり、これをタップするだけで新たにフォローすることが可能になった

ミュート:投稿の右上に表示される「…」をタップすることで可能。他にも投稿の非表示、アカウントのブロック、投稿の報告も可能だ

クイックサーチ:アカウント検索するための虫眼鏡ボタンを長押しすると、すぐにキーボードが表示されるので入力しやすくなった

休憩:設定→アカウントとタップすると「休憩」機能が利用できるようになった。10分・20分・30分間、Threadsを使い続けると休憩を促すリマインダーが表示される

Instagramのフィードへのシェア:公開当初はストーリーズへのシェア機能のみだったが、自身のフィードにも投稿をワンタップでシェアできるようになった

また同氏は前日の7月12日に、「今週中に『フォローしたアカウントだけのフィード』『投稿の編集ボタン』『投稿の検索機能』を実装した改良版をリリースする」と投稿。特に「フォローしたアカウントだけのフィード」は多くのユーザーから要望があった機能のひとつだ。

<有料広告機能の実装はどうなる?>
現在、Threadsでは広告配信やプロモーション投稿の機能を実装していないが、米ニュースサイトの「AXIOS」が7月11日、Threadsにおいて有料広告機能の実装がされる際、「Instagramのブランドコンテンツポリシー」を導入する予定があるというスクープ記事を発表した。

ただしMeta社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は「ユーザーが10億人規模になってから収益化を考える」とThreads上で発言しており、その時期や具体的にどのような形式になるかについてはまだ未定だ。

「殺伐としたTwitterの外の世界」に意外と癒やされる

Threadsの公開から1週間が経過したが、読者の皆さんはどのように使っているだろうか。

筆者はTwitterでもフォローしている広義の同業者・言論関係者(編集者・ライター・学者など)、そしてFacebookでつながっているリアル知人・友人を中心に60名ほどをフォローし、1日に何度か覗いてみるようにしている。

現状、最大の不満点は投稿の更新をかけた途端にフォローしている人の投稿が流れなくなり、フォローしていない芸能人の自撮り、犬猫動画、知らない人の食事画像、「Threadsを攻略してライバルに差をつけよう!」的な意識高い系Tips、料理レシピが無限に流れてくることだ。

その度に「そういうのが見たいんじゃないんだよな…」と閉じてしまうのだが、一方でTwitterでは毎月のように大きな不具合が発生し、物議を醸す仕様変更を行い、そのうえ絶え間なく「おすすめ」タブで殺伐ツイートが乱れ飛ぶ(そしてそんな発言をしたことを全員あっという間に忘れる)光景を目にする中、これはこれで結構心が軽くなっている自分に気づいて驚くことが多い。そして心なしか筆者がフォローしている人たちも「意味のある投稿」というよりは、どこへ行った、何を食べた、今これをしているといった往年の「◯◯なう」的な投稿、あるいは「今のTwitterじゃこんなこと書けないけど…」という気持ちの発露が多いような気がしている。

Threadsが今後どうなるか、SNS界における覇権を握れるかはまだまだ不明瞭だが、Instagram的世界観とユーザーをベースにした「Twitter以外の世界」は、ある一定の規模感を保ち続けるのではないかという気もしてくる。

とはいえFacebook、Instagramの、特に広告にまつわる問題点は何年も指摘され続けているにも関わらず改善の兆しが見えず(また早くもThreads上で「iPhoneが格安で買える!」といったスパムが出回っている報告もある)、マネタイズのための機能、プロモーション投稿機能が実装されていない今が「例外的な平和状態」と言えるだけなのかもしれない。