CULTURE | 2020/09/01

「悪魔化」した安倍晋三は歴代トップ。総理大臣がネット上で存在感を発揮するための必須条件とは?【連載】中川淳一郎の令和ネット漂流記(15)

Photo By Shutterstock
過去の連載はこちら

中川淳一郎
ウェブ編集者、PRプランナー
1...

SHARE

  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • line

首相がキャラ立ちしているほど、ネット上の政治議論は盛り上がる

Photo By Shutterstock

さて、次期自民党総裁・総理は菅義偉氏になる線が濃厚! 的な報道も出てきたが、仮にそうなった場合は、石敗茂氏、岸田文雄氏と比べれば、左派からすれば叩きがいがある首相となるはずだ。

これまで「アベ以外ならば誰でもいい」といった意見は書かれつつも、石破氏であれば野党に近い考えを持っており、現野党支持者からはどのように扱っていいのか分からず、岸田氏はいかんせんイメージがない。そんな中、菅氏は東京新聞の望月衣塑子記者を冷遇した、といった事実があるほか、アベ政治を引き継ぐ人物として、捉えられている。

ネットの「叩き」は、ネット上(特にツイッター)の政治クラスターからすれば「華」である。「アベロス」が発生することが見込まれる中、菅氏が首相に就任したらが与党・野党両方の支持者にとって、イキイキと意見が書き込めて生き甲斐が生まれる状況になるだろう。

民主党政権下、自民党支持者は鳩山由紀夫氏という最高の「おもちゃ」を手に入れ、散々AAでおちょくり続けた。その後、菅直人氏、野田佳彦氏が首相になってからは「首相いじり」で精彩を欠くほど、キャラ立ちしていなかった面もある。せいぜい、菅氏が福島第一原発の対応をめぐり「僕は原発に詳しいんだぞ!」と現場を混乱させた、といった説がある程度だ。

首相が「キャラ立ち」をしていればいるほど、ネット上の政治議論は盛り上がる。そう考えると、次期首相は菅氏も「少しは」盛り上がるだろうが、河野太郎氏か小泉進次郎氏、稲田朋美氏だと活気が出る。さらには、安倍氏の健康状態が改善し、来年の自民党総裁選に再出馬した場合はより盛り上がることとなるだろう。

所詮、ネット上の「首相いじり」など「キャラ立ち」しているか、そして「悪魔化」できるかどうか次第なのである。


prev