早稲田ビジネススクールの講義「深圳の産業集積とハードウェアのマスイノベーション」。紫のシャツを着た中央の女性がゲスト講義してくれたJie Qi
高須正和
Nico-Tech Shenzhen Co-Founder / スイッチサイエンス Global Business Development
テクノロジー愛好家を中心に中国広東省の深圳でNico-Tech Shenzhenコミュニティを立ち上げ(2014年)。以後、経済研究者・投資家・起業家、そして中国側のインキュベータなどが参加する、複数の専門性が共同して問題を解くコミュニティとして活動している。
早稲田ビジネススクール「深圳の産業集積とマスイノベーション」担当非常勤講師。
著書に「メイカーズのエコシステム」(2016年)訳書に「ハードウェアハッカー」(2018年)
共著に「東アジアのイノベーション」(2019年)など
Twitter:@tks
「何をするか」より「どれだけやるか」が大事
僕は早稲田大学ビジネススクールでMBAコースの非常勤講師をしているので、キャリアについて質問されることがあります。社会人向けのMBAコースに通ってくる人たちは僕よりよほど恵まれたキャリアだと思うのですが、事業開発として外国で新しい仕事を作っているというところが面白がられているのでしょう。
ほとんどの質問は「どうするといいか」という方向性=Whatの話です。スティーブ・ジョブズも「仕事にはベクトルがいちばん大事」と常々言っていたそうです。数学で使われるベクトルという言葉は、「ある方向性を持った力」という意味です。方向性・Whatに加えて、そこへ向かう力の量が合わさった言葉です。
質問ではWhatを中心に聞かれますが、僕自身は方向性よりも、積み重ねた実績の量や質、つまり「どれだけやるか」の方が大事だと感じています。方向性を問わない純粋な力、スカラーから話し始めます。
「今後ますますテクノロジーの重要性は上がっていくので、テクノロジーに触れ続けていれば何をやっても良いけど、何より自分が面白みを持ってやれることをやるべきで、その分野で多くの友達ができて、周りから名前を知られているぐらいになるのが大事です」とアドバイスしています。周りにその分野に強い人が仕事抜きで集まるぐらいになるのが理想です。