文:仲田拓也
動物園でも人気の動物である“百獣の王“ライオン。しかし、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに、絶滅の危機に瀕している「危急種」として名前を連ねていることはあまり知られていない。
そんな中、南アフリカで繁殖されているライオンの状況を報告した新刊『アンフェア・ゲーム』著者で、イギリス人実業家のアシュクロフト卿が『DailyMail』に寄稿した記事が世界中に衝撃を与えている。
1万2000頭のライオンが射撃目的で飼育
2年間にわたり、2回の潜入捜査を指揮したアシュクロフト卿によると、南アフリカでは推定1万2000頭のライオンが飼育されているという。これは野生のライオンの約4倍に当たる数だ。しかも驚くべきことに、これらのライオンは種の保護のためにではなく、観光客による射撃目的で繁殖されているという。
南アフリカでは、フェンスで囲まれたエリアに放たれたライオンを狩猟するレジャーが存在するというのだ。アシュクロフト卿は「南アフリカではライオンの虐待が産業になっているといっても過言ではない」と語る。
【閲覧注意:暴力的な映像が含まれています】
この産業において毎年何千頭ものライオンが生まれているが、生後数日で母親から引き離され、不衛生な環境に閉じ込められるという。さらに観光客と遊ぶことを強いられ、暴力や薬漬けといった虐待も。その後、ライオンは観光客の射撃目的や、骨などの部位を切り取るために命を奪われる。骨は媚薬などの効果があると信じられ、アジアでは高値で取引が行われるとのこと。
アシュクロフト卿は、「このシステムは南アフリカの見えない部分で生まれ、ライオンという気高い生物に想像を絶する悲劇をもたらしている」と述べている。