文:山田山太
2001年、オランダで世界初となる同性婚が認められて以来、その波は少しずつ世界中に広まっている。一方、日本では未だ同性婚は認められておらず、セクシュアルマイノリティの人々がマジョリティと同等の権利を有するまで、まだまだ時間がかかりそうだ。
そんな中、同性婚によって思わぬ経済効果が生まれているとアメリカの調査会社が発表し、注目を集めている。
2億4000万ドルもの税収
性的指向やジェンダーアイデンティティについて、法律や公共政策の側面から研究を行うウィリアムス研究所が今年5月に発表したレポートによると、2015年に全米で同性婚が合法となって以来、推定29万3000組もの同性カップルが結婚。そして、結婚式を挙げることによる経済効果はなんと38億ドルにも上ったと発表した。
さらにこの経済活動により、4万5000人もの雇用と、2億4000万ドルもの税収をもたらしたと算出した。結婚式といえば異性・同性婚に関わらず大きな費用がかかるもの。莫大な経済効果をもたらすのもうなずける話だ。
訪れなかった「世界の終わり」
アメリカでは2015年の同性婚合法化の際、多くの保守派や宗教関係者が世界の終わりが始まるとさえ感じていた。『UPWORTHY』によると、合法化となったその日、聖書検索サイト「バイブルゲートウェイ」では「end times」つまり「終わりの時」の検索数が過去最高を記録したという。
キリスト教テレビ伝道師のパット・ロバートソン氏はこの判決が出たあと、「私たちはみな動物とさえ関係をもつようになるだろう」と言い放ち、さらに「男性と動物の権利は絶対に許されるようになるし、一夫多妻制は間違いなく認められ、それを権利だと主張するようになるでしょう」と続けた。
アメリカではこれまで51万3000組もの同性カップルが結婚しているが、このようなことが起こっていないことは言うまでもない。