LIFE STYLE | 2021/07/27

15年以上、言葉を発せなかった脳卒中男性が“脳インプラント”で会話が可能に。脳の電気信号をコンピューターが解読

文:窪田みちる

使用できる単語の数はおよそ50種類


発話能力を失った男性が、脳インプラントを使用すること...

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オートコレクト機能で文章精度を向上

研究チームは、男性に脳インプラントを埋め込み、50種類の単語を生成する際の、脳の電気信号パターンを、コンピューターに記録。この作業に数カ月要したという。そして、男性がスクリーン上に単語を生成できるようになると、続いて、研究チームは文章作成のフェーズに。文章の精度を向上させるため、正しく単語を生成できなかった場合に自動で修正するオートコレクト機能が追加された。

研究チームを率いた同大学の脳神経外科医であるエドワード・チャン氏は『npr』の取材に、「この脳インプラントは長い目で見れば大きな発展の余地がある」と言及した。

また、同じく研究チームのスタンフォード大学工学部教授であるクシュリナ・シェノイ氏は、脳内の単語を解読できるこの脳インプラントは、脳卒中や外傷性脳損傷を受けた何千人もの人々を救うことになると期待を寄せた。また、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や発話能力を失わせる麻痺性疾患の人々も救うかもしれないという。さらに現在、この男性は50種類の単語しか扱えないが「これは氷山の一角にすぎず、今後500語、5000語に増える可能性があります」とクシュリナ氏。

我々の想像も及ばぬスピードで進化を続けるコンピューター技術。次はどのような感動と驚きをもたらしてくれるのだろうか。


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