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文・カレイジアン里奈
広く知られているように、ガン治療は早期発見が重要だ。症状の現れていない小さなガンの芽を摘み取ることが出来れば、多くの命を救える。しかし、現在のガン検査は種類ごとに異なる検査が必要な場合があり、すべてのガン検査を行うのは時間と費用がかかる。
そんな中、米カリフォルニア州に拠点を置く医療ベンチャー「Grail」が、50種類以上のガンを検知する画期的な血液検査を開発したと『The Guardian』が報じた。
検査が確立されていなかったガンも検出
ガン専門誌『Annals of Oncology』に発表した論文よると、Grailが新たに開発したガン検査では、腫瘍から血液に染み出た無細胞DNAによる化学変化を検知するAIを活用。頭頸部ガン、卵巣ガン、膵臓ガン、食道ガン、血液ガンなど初期段階の検知が困難だったガンの早期発見も可能だという。
2823人のガン患者と1254人の非ガン患者を対象にテストを実施したところ、ガンの全ステージにおいて51.5%の人を正しく検出。誤って検出した偽陽性は0.5%と極めて少なく、ガン検査として高い精度が証明されたことになる。
注目すべきは、ガン検査が確立されていない食道ガン、肝臓ガン、膵臓ガンでも、検出率が65.6%と高かったことだ。これは乳ガン、大腸ガン、子宮頸ガン、前立腺ガンなど、すでに検査の確立しているガンの2倍に上るという。
また、リンパ腫や骨髄腫などの血液ガンは55.1%で検出。ガンの位置を正確に特定したケースは、88.7%だったとのこと。
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