デジタルなのに、なぜ高く売れる?
従来の絵画や彫刻などは、世界に1点しかないといったことで、高額になるのは理解できると思うのですが、デジタル・アートが高額で売れるのは、不思議です。
デジタル・アートは、CG画像であっても、動画であっても、音楽であっても、すべて、デジタル・データです。デジタル・データは、簡単にコピーすることができ、まったく同じものが、低コストで大量に作成可能。75億円で落札されたBeepleの作品にしても、Webサイトにアクセスすれば、パソコンに表示することはできますし、画像データをダウンロードしてスマホに保存することだってできます。
簡単にコピーできないようにするには、DVDなどの媒体に入れ、コピー・プロテクションする、あるいは、特別なアプリがないと開かないようにするといった対策を行います。広く作品を知ってもらいたくても、ウェブで『展示』することは難しいのです。
ここに、NFTという技術が出てきて、インターネット上で公開しても、『オリジナル』のデジタル・データがどこにあるのかを証明することができるようになりました。そのため、コピーされたところで、全く同じデータでも『オリジナル』ではありません。ある意味、NFTが『鑑定書』のような役割をして、『オリジナル』のデータは、高値で取引されるようになったのです。
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