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文:山田山太
多くの優れた経営者はこれまで、会社にとって人は財産であると説いてきた。しかし、中には人をずさんに扱う会社も多く存在している。
今年5月、海外の電子掲示板『Reddit』に投稿された、従業員を大切に扱わなかった会社の顛末が話題となっている。
10週間の休暇を奪われたベテラン職人
投稿者がかつて働いていた工場は、家族経営ながらも従業員数は250人を超え、順調な経営を行っていた。労働条件が非常に良く、多くの休暇を与えられ、勤続25年を超えると計10週間の休暇を得ることも可能だという。
この投稿者のかつての同僚であるジミー(63歳)は40年以上にわたって工場に貢献を続けたベテラン職人だった。当然ジミーは長期の休暇を取得するつもりだったが、想定外の事態が起きる。経営者が定年を迎え、事業を別の企業へと売却したのだ。経営陣も刷新されることになった。
元の経営者は今後も変わらない工場経営が行われることを約束したが、新経営陣が就任すると一変。長期休暇の最大日数を4週間に短縮するなど、労働条件は悪化。さらに定年を間近に迎えた社員たちを、一斉にリストラし始めたのだ。幸いジミーはとある部品を製造するための特殊な技能を有していたためリストラ対象にはならなかったが、ジミーと同じ技能を持っていた別の社員は解雇されることに。新経営陣は代わりに新人を雇い、ジミーに研修させることにした。
しかしジミーは、新経営陣のこの対応に激怒。研修の初日に工場へ電話し、10週間の休暇を強行した。そしてその後、ジミーは工場に戻らず、休暇の間に新たな働き口を見つけ、そのまま退職したのだ。
部品の作り方を唯一知っているジミーの退職に、新経営陣は大慌て。元の経営者が特許を持っているため、ジミーがいないとその部品を新たに製造することができないのだ。新経営陣は仕方なく、元の経営者に事の顛末を含め相談するも、物別れに。元の経営者は激怒し、もしその部品の製造方法を知りたければ、7桁(100万ドル)の契約にサインするか、工場を閉鎖するかと、一蹴したのだ。
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