21世紀生まれでありながら、社会にインパクトを与える活動をしている若者たちをフィーチャーし、その活動や考えを聞こうという連載「Z世代の挑戦者たち」。
第3回は、日本在住の中国人で、中国のトレンドを積極的に発信したり、日本人にクラブハウスで中国語を教えたり、日本と中華圏の橋渡しをする活動を行っているリン・テンカさん(22)を取り上げる。
日本と中国のZ世代の特徴や最新の日中文化の違い、リンさんが目指すことなどを語ってもらった。
林 甜歌(りん てんか)
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中国広東省出身、10歳から日本に移住。高校時代の翻訳アルバイトをきっかけに、医療ツーリズム事業のベンチャー企業に携わる。Clubhouseでは『中国語超超超初心者CLUB』というコミュニティを運営。そのほかには、大学生を巻き込んだ20代向け予防医療の発信をするNPO法人の立ち上げ(大阪万博・SDGs共創プロジェクトに申込予定)、emba授業や展示会などの通訳業務など。
Instagramは、中国の若者トレンドを発信する『チャイナ情報局・好好』。
Twitter、stand.FMでは『中国女子の呟き』という名前で情報発信を行う。
聞き手・文:米田智彦 構成:神田桂一
小学5年でいきなり日本へ
―― 自己紹介からお願いできますか。
リン:出身は中国の広東省、広州というところです。小学5年生の時に、父親の仕事の都合で日本に来ました。日本の学校に通って、日本人と一緒に勉強してきました。両親ともに中国人です。今、22歳で、専門学校を卒業して、社会人1年目として働いています。現在は、クラブハウスで中国語を教えて、そのコミュニティを作ったり、日本と台湾の大学生をつなげるような活動をしています。また、Stand.fmやInstagram、Twitterで自分のことを発信しています。
―― 小学5年生で来日した際、日本の学校にいきなり入ったんですか?
リン:そうなんです。来日する1週間前に日本に行くことを言われて、日本語をまったく勉強していない状態からのスタートでした。飛び込んでみてわかったのは、日本人は言葉に凄く繊細だなということ。言葉のイントネーションが少しでも違ったら、認めてくれないというか、友達になれないと感じさせる何かがあって、それを思春期に経験したので、思い詰めて日本語を勉強しました。
空気を読むことを学んだ
―― イントネーションは中国語の方がすごく細かくて、声調が合わなかったら全然通じないですよね。
リン:そうですね。ですが、中国人は外国人が中国語をつたない感じで喋っていても多分オッケーなんです。でも、日本だとそれがあまり許されないと言いますか、日本語は癖なく喋っていないと認めてもらえないんです。
―― 確かにそうかもしれないですね。
リン:言葉以外で思ったのは日本人はすごく空気を大事にするんですね。中国でもあると思うんですけど、奥深さという意味では日本には敵わないなと思います。自分で言うのもなんですけど、日本人の友達をこんなにいっぱい作れるのは空気を理解したからかなと個人的には思っています。それを今後も強みにしていきたいと思いました。
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