森喜朗の女性蔑視発言批判も、帰ってくるブーメラン
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平成の「五輪とネット」について最後に一つ振り返っておかなくてはいけないことを紹介する。それは、韓国嫌いと親韓派が浅田真央とキム・ヨナを持ち出してバチバチやりあっていた件である。2人にとってはいい迷惑である。
2000年代後半から2010年代中盤にかけてのフィギュアスケートの世界ツートップであるキム・ヨナと浅田真央のライバル関係は日韓のネットユーザーにとっては「代理戦争」のような感じになり、互いに罵倒をし合っていた。もちろん日本人の嫌韓派と親韓派もやり合っていた。
フジテレビが「韓国のコンテンツを流し過ぎる!」と2011年8月に5000人規模の「フジテレビデモ」が発生。以降不調に陥ったが、その前兆ともいえるのが、2008年、『とくダネ!』が番組中に浅田が転倒する場面をパネルにした件だ。これが「反日テレビ局」認定の根拠の一つとなり、以後、フジテレビの「反日疑惑」が次々とまとめられるようになる。
この件についてはラサール石井も巻き込まれた。いや、自ら墓穴を掘った。2011年5月1日にこうツイートしたのだ。
〈「浅田真央ちゃんは早く彼氏を作るべき。エッチしなきゃミキティやキム・ヨナには勝てないよ。棒っ切れが滑ってるみたい。女になって表現力を身に付けて欲しい。オリンピックまでにガッツリとことん!これは大事」〉
さらには「恋愛もSEXも人間には欠くべからざる行為だ」ともツイート。その後これらのツイートは削除し、謝罪した。
こうした過去があるラサール石井だが、今年3月の森喜朗・前五輪組織委会長の「女性蔑視発言」の際は、以下のようにツイート。
〈妄想だが、座敷牢に入れてテレビなども見せず、実際の開催か中止に関わらず開催したことにして、『ほら開会式が始まったぞ。聖火が来た』と教え、鉄格子を掴んで『見せてくれー!』と叫ぶ。そんな刑だな〉
森氏の女性への意識の低さを批判したわけだが、この時は10年前の浅田に対する発言をぶり返される結果になった。
平成の五輪とネットをこうして振り返ってきたが、なんだかもうネットがなかった頃のロサンゼルス五輪(1984)やバルセロナ五輪(1992)、アトランタ五輪(1996)の時の方が純粋に楽しめていたように思ってしまう。ソウル五輪(1988)は日本の金メダル数が4個という大惨敗だったため、楽しめなかった。それは別の理由である。まぁ、そうはいっても私がネットを見ることを仕事にしていただけに、五輪にまつわるこうしたネット上の騒動ばかり追っかけてき過ぎた面はあるが。スマンスマン。