被告人のスマホに被害者の電話番号
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続いて、検察官から。
検察官「苦しんでいるのを伝えたかったというメッセージと事件を起こすのは、どう関係しているんですか?」
U被告人「私が起こしそうもない事件をして、世間に知ってもらおうと」
検察官「逮捕当時否認していましたよね?」
U被告人「まず、家族に伝えたかったので」
検察官「世間に伝えたかったのに、まずは家族に伝えたかったんですか?」
U被告人「家族に言っていなかったので」
そもそも動機が理解できないのに、さらに上乗せでよくわからない否認理由です。
検察官「あなたのスマホに被害者の電話番号が保存されていたのはなぜですか?」
U被告人「個人情報に関することなので黙秘します」
検察官「う~ん…メモした理由は?」
U被告人「黙秘します」
当然、黙秘権があるので答えなくてもいいんだけど、何か隠しているのかなぁと勘ぐってしまいますね。
検察官「1月5日、ここを選んだのはなぜ?」
U被告人「ドアが開いているように見えたので」
実際には窓のカギがかかってなかったので、両日とも窓から侵入したらしい。
検察官「この家以外、探しました?」
U被告人「いいえ、最初がこの家だったので」
検察官「包丁を使おうと思ったのはいつですか?」
U被告人「家の中に入って台所で見掛けて」
苦しんでいることを世間に知ってもらうために、人を傷つけようと考えて、ドアが開いてそうな家に行ったら、窓のカギが開いていて、手ぶらで侵入して、目に入った包丁でもみあったという事件ってことなんですよね。話をまとめると。そして、検察官は最後に。
検察官「被害者は無差別に狙われて理不尽ですよね。世の中、不公平なことがありますけど、あなたがしたことってそういうことですよ!」
U被告人「はい…」
不公平だと不満を抱いていたU被告人に対し、理不尽で不公平な犯罪だと叱責していました。
最後は裁判官からの質問。
裁判官「もう一回、動機教えてくれますか?」
U被告人「政府に不満がありまして、中小企業が苦しんでいること、そこで働いている従業員が苦しんでいることを知ってほしかったからです」
裁判官「どうすれば世間が知ると思いました?」
U被告人「普段、私が起こしそうもないことをしようと」
そもそもU被告人を知らないんだよなぁ。家族とか従業員とか、周りの人なら、こんな事件起こしそうもないとは思ってるんだろうけど。目をパチクリさせて納得してない表情上で裁判官も質問終了です。
この後、U被告人の父親が情状証人として出廷。現在はU被告人と同居中だそうで、今後の監督を誓っていました。
そして、検察官は懲役3年6月を求刑。弁護人は、比較的ケガも軽くて、同種の犯行の中では軽微だし、前科もないので執行猶予付きの判決が相当だと弁論していました。
最終陳述では、U被告人「被害者にはお詫び申し上げたいと思います。あと、家族にも謝りたいです。会社を整理して、なるべく早く次の仕事を見つけ、妻に養育費を払いたいと思います」と、再犯せずに真面目に生きていくことを述べて、閉廷でした。
あまりに変な動機だからなのか、弁護人も検察官も裁判官もなんでマイナンバーカードをスマホで撮ったのか訊いてないんですよ! 傍聴して被告人の気持ちをわかってあげようとするのは思い上がりだなぁと再確認したのでした。電話番号も謎だし、何か隠してるのかなぁ。