アメリカの西部開拓時代、カウボーイの乗馬用として発展したのが、カウボーイブーツと言われる、ウェスタンブーツだ。
これまでもファッションアイテムの定番であったウェスタンブーツだが、近年のレトロブームにより、新たなファッショントレンドとして、再燃。
これまでは輸入物やヴィンテージのイカついウェスタンブーツが主流にあった中、メイドインジャパンで、しかも伝統的なグッドイヤーウェルト製法にこだわった専門ブランド「B’witch」が注目を集めている。
初心者にも入りやすい洗練されたフォルムやデザイン、履き心地に定評があり、ぜひ今年、ワードロープに加えてほしいアイテムだ。
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取材・文・構成:庄司真美 写真・スタイリング:駒田達哉
日本のモノづくりが生きるウェスタンブーツブランド「B’witch」
「B’witch」の公式サイトより。
元はレディースのウェスタンブーツブランドとして2016年にデビューした「B’witch」。
ウェスタンブーツを愛して止まないデザイナーの藤堂有香氏が、日常使いからドレス仕様まで、オールマイティに履ける大人の女性のためのブーツを作りたいという思いから、モノづくりを始めたのがきっかけだという。
開発当初、2年の歳月をかけて、伝統的な靴の製法であるグッドイヤーウェルト製法にこだわり、履き心地のよさとクオリティを追求。
中でも同ブランドが画期的なのは、傾斜の強い8cmソールのウェスタンブーツをグッドイヤーウェルト製法で仕上げた点にある。
通常のフラットなソールではなく、高いソールを革と縫い合わせるのは技術的に難しいとされるが、それを実現したブーツとして脚光を浴びた。
デビューから5年を経た今年3月、かねてからオファーが多かったことから、ついにメンズラインも始動。レディース同様、これまでにない履き心地と日常使いしやすいデザインのウェスタンブーツブランドとして、早くも注目されている。
履きこむほどに味わいが増す永久定番のウェスタンブーツ
ということで、B’witchの新作「メンズグッドイヤーshoesSS20-M Black」の隅々を見ていきたい。
材質には本革を天然の植物タンニンでなめしたフルベジタブルタンニン・レザーを使用し、写真のような独特の風合いと色味が特徴。“タンニン”とは、革をやわらかく加工する工程のことで、“ベジタブル・タンニン”とは、ミモザや栗の木などの植物性の溶剤を使った加工のことを言う。
ベジタブル・タンニンのよさと言えば、使い込むごとに革本来の自然な風合いが増して愛着が沸いてくる点。履き込むにつれて革がなじんで色艶が増し、手入れしながら長く使う喜びが味わえるのだ。
また、B’witchのアイテムに関しては、素材すべてが土に還るものが使われていて、人や環境にも優しいサステナブルなブランドであることもまたポイントが高い。