被害女性はPTSDに
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次は検察官からの質問。
検察官「婚活アプリはセックスする相手を探すために登録したんですか?」
S被告人「合う相手、彼女を探そうとしてました」
検察官「ふ~ん。なんで本名じゃなく、ヒロシって名前で登録したの?」
S被告人「改名しようとしてたので」
検察官「改名…。2番目の事件では苗字も違ってますけど?」
S被告人「その場で思わず出た苗字で…」
検察官「登録した時の免許証が5歳若く改ざんされてますよね。なぜですか?」
S被告人「彼女ができやすい環境にしようと」
検察官「犯行バレなくするためじゃないんですか?」
S被告人「いや…違います」
婚活アプリに登録する時点で、犯行するつもりだったんだろうと、一気に追及する検察官。
検察官「混入した薬は会話を盛り上げる効果があると思っていたって話でしたね?」
S被告人「はい」
検察官「意識が朦朧として盛り上がるんですか?」
S被告人「表向きは朦朧としてなくて、盛り上がってると思ってました」
実際には被害女性をおんぶしたり、抱きかかえてレンタルルームに入ってるので、朦朧としてなかったというのは信じにくい発言なんですけどね。
検察官「一部の被害女性については、まったく憶えていないと。ホントにそんな状態だった?」
S被告人「実際憶えてないので」
検察官「待ち合わせ場所行って、カフェオレかって、薬入れて、レンタルルーム行って。冷静ですよ」
S被告人「憶えてません」
この後は事件を一つ一つ確認して、質問終了。
最後は裁判官から。
裁判官「銀行口座ですけど、今もあなたが管理してるんですかね。いくらくらい残ってます」
S被告人「100万円くらいですかね」
裁判官「それって資産として裁判所にも深刻してませんよね!」
S被告人「父に何かあった時のためのお金と思っていたので…」
と、隠していたお金について叱責されて被告人質問はすべて終了です。
実際には事件が5つあるので、具体的な質問も多かったんだけど、だいたいこんな感じだったと思っていただければ。
時計を見ると、閉廷予定のお昼12時。昼食の時間でもあるし、午後からの他の裁判の準備もあるので、ここで終わりかと思いきや、
裁判官「結審までやりましょう」
と、時間延長で審理です。
検察官は、真剣に結婚相手を探していた被害女性5人は男性不信になっていて、PTSDを発症していると。取り調べで被告人は性欲の強さを自認していて、再犯の可能性は高いとして、懲役20年を求刑。
弁護人は、逮捕から8カ月の間に、深く反省していると。出廷後は、真面目に働くことを誓っているので、軽い判決にして欲しいとお願いしていました。
本件はニュースでも大々的に報じられた事件なんだけど、数カ月もすると皆忘れちゃうんですよね。被告人が出所するころには婚活アプリ自体が存在しないかもしれないし、被告人が心を入れ替えて、再犯しないかもしれないけど、こういう人もいたというのは注意喚起として憶えておいてもいいのではないかなと。判決は3月26日の予定となっています。