CULTURE | 2021/02/19

48歳無職男性、婚活アプリで出会った女性に睡眠薬を使い強制わいせつ裁判。生活保護の不正受給も発覚【連載】阿曽山大噴火のクレイジー裁判傍聴(22)

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月曜日から金曜日の9時~5時で、裁判所に定期券で通う、裁判傍聴のプロ。裁判ウォッチャーとして、テレビ、ラジオのレギュラーや、雑誌、ウェブサイトでの連載を持つ。パチスロもすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。

婚活アプリに「ヒロシ」という偽名で登録

今月上旬に東京地裁で行われた傍聴記を。

罪名 準強制性交等、準強制わいせつ
S被告人 無職の男性(48)

起訴されたのは、2020年11月22日19時3分、JR新橋駅の改札付近で、S被告人が被害女性(41)に薬物を混入したカフェラテを飲ませ、抗拒不能な状態の被害女性と近くのレンタルルームで性交したという内容。他の事件も含め、5件起訴されてました。新橋駅付近が3件、横浜駅付近が2件です。

検察官の冒頭陳述によると、S被告人は大学を卒業後、中学校で教師として働き、その後は郵便局員になり、犯行当時は無職で生活保護を受給していたという。前科は2犯で、7年前には今回と似たような犯行で準強姦罪により、懲役3年の実刑判決を受けているとのこと。S被告人は不眠に悩み、クリニックに通院して睡眠薬を処方されていたという。

そして、2019年10月、S被告人は婚活アプリに“ヒロシ”という偽名で登録。そのアプリ内で知り合った女性と実際に会う約束をしたという。被告人は待ち合わせ場所に早めに到着し、ファストフードでカフェラテを購入すると、持っていた睡眠薬を投入。被害女性に会うと、すぐにそのカフェラテを飲ませ、居酒屋などへ行き、被害女性が酩酊状態になったところでレンタルルームや漫画喫茶へ行き、性交した、と。この手口で、5人の女性に同様の犯行をしたというのが事件の詳細になります。

性犯罪の事件の内でもかなり卑劣なものになりますね。被害者の怒りも相当なようで、検察官の後ろに衝立が置かれて、その向こう側に被害女性1人と代理の弁護士2人が出廷している物々しい雰囲気の裁判となりました。

贖罪寄付を力説するも

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検察官から5人の被害女性の供述調書などが朗読され、被告人質問が始まりました。まずは弁護人からの質問です。

弁護人「カフェラテに薬を入れて、女性に渡したのはなぜですか?」
S被告人「女性の方に高揚感を味わっていただいて、コミュニケーションを取りやすいように」
弁護人「どんな薬だと思ってました?」
S被告人「向精神薬と思ってました」
弁護人「眠くなるって言われて処方されてた?」
S被告人「はい」
弁護人「必ず眠くなる薬なんですか?」
S被告人「人によって効果は違うと思ってました。私は眠くならないので」
弁護人「あわよくば、性交できる状態になればいいと思って飲ませたということですね?」
S被告人「はい」

眠らせて無理矢理性交しようという意図じゃなく、高揚して楽しい雰囲気にするために薬をカフェラテに入れただけという主張のようです。

弁護人「あなたには前科があって、その時も女性に薬を飲ませてますよね。反省しなかった?」
S被告人「前回は睡眠薬で、今回は向精神薬で目的が違ってたので」
弁護人「同意もなく、薬を飲ませたことについてはどう思ってますか?」
S被告人「やってはいけないことだと思います」

処方されてるから合法の薬だけど、合わない人が口にしたら、命の危険もあるわけですからね。

弁護人「取り調べで一部憶えていないと答えてるのはホントに思い出せないんですか?」
S被告人「昔処方された薬も一緒に複数服用したので、その効果なのかと思います」

ほとんど憶えていない事件もあるそうな。その辺は検察官につつかれることになるのですが。

弁護人「去年6月に逮捕されて約8カ月、どんな日々を送ってますか?」
S被告人「被害者の皆さんに対して申し訳ない気持ちが深くなり、贖罪寄付をしました」
弁護人「仕事なくて、生活保護を受給してたはずですけど、その寄付のお金はどこから?」
S被告人「3年前に父親が倒れまして、何かあった時のために貯めていたお金です」
弁護人「それを申告せず受給してた?」
S被告人「はい、何かあった時のために」

起訴されてる内容だけでも酷いのに、さらに生活保護の不正受給までのっかってくるとは…。

弁護人「社会復帰後どうしますか?」
S被告人「電気工事や2種免許を持っているので、資格をいかして社会貢献したいです」

と、今後はちゃんと働くと約束。そして、謝罪の言葉を述べて質問終了です。

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