文:汐里
27歳フィリピン人男性が開発
持続可能なエネルギー源として、増加傾向にある太陽光発電システム。屋根に取り付けたソーラーパネルに光が当たると、エネルギーに変換される仕組みだ。しかし、このシステムでは、日照条件により発電量が左右され、効率的ではないという声もある。
しかしそんな中、曇りの日でも発電が可能な画期的なパネルが発表された。フィリピンのマプア大学でエンジニアリングを専攻するカーヴィ・エレン・メグさん(27歳)が開発した「オーレウス(AuREUS)」だ。
オーレウスは可視光のみを吸収する従来のソーラーパネルとは異なり、通常は目に見えない紫外線からもエネルギーを作ることができる。従来のソーラーパネルの発電量が照射される太陽光の15~25%だったのに対し、オーレウスによる発電量は約50%だ。
さらに注目なのが、オーレウスのパネル素材だ。パネルは、廃棄された農作物に由来する成分で作られている。人口の約4分の1が農業従事者であるフィリピンでは、地球温暖化による気候変動の影響が非常に大きい。収益になるはずだった大量の野菜や果物が腐り、廃棄される事態が続いているという。
これに目を付けたメグさんは、廃棄物を地元の農家から調達し、粉砕、ろ過するプロセスを繰り返し、パネルの素材として活用できる成分を生成。本来捨てるはずだった農作物を収益に変える仕組みを作り上げた。失われた収益をカバーできる目新しいシステムは、農家にとって待望の発明だったに違いない。今後は、パネルに使った素材を糸状にし、自動車や航空機に取り付けることを計画しているという。
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