重い毛布は精神疾患にも効果
今回の研究では、眠りの質に効果が見られただけではなかった。手首に「アクチグラフ」と呼ばれる運動活動を測定するセンサーをつけて運動レベルを測定したところ、昼間の活動レベルもより高くなり、疲労やうつ病、不安神経症の症状が軽減したことがわかったのだ。これまで加重毛布は眠りの質をあげるとの報告もあったが、この度の研究で、精神疾患との関連についても立証された形だ。
この理由として、スウェーデン・ストックホルムのカロリンスカ研究所の臨床神経科学部門コンサルタント精神科医であるマッツ・アドラー博士は「加重毛布のチェーンが体のさまざまな部位に重みを加えることで、指圧やマッサージに似た効果をもたらし、筋肉や関節の感覚を刺激する」と見ている。毛布による刺激が副交感神経を活性化させると同時に、交感神経覚醒を減少させ、心を落ち着かせて睡眠を促進する効果があるとしている。
精神的な障害を抱えている人にとって、不眠症は大きな問題となり、健康面で悪影響を及ぼす可能性がある。研究者らは、加重毛布によるデメリットのない人であれば、睡眠障害の治療には大きな一歩となるだろうと期待している。秋の夜長を楽しめるいま、睡眠に時間を当てるのも良いかもしれない。快適な環境で、今夜も心地の良い眠りを送ってほしい。