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文:滝水瞳
いざ寝ようとベッドに入ったものの、ついスマホを見たり考えごとが頭をよぎったりして、寝付けなくなる人も多いだろう。
しかしそんな人に朗報だ。睡眠に関する驚きの研究結果が発表され、期待の声が高まっている。
不眠症には「金属の入った重い毛布」
今年9月、スウェーデンの睡眠学者らによる専門家グループは臨床睡眠医学誌『Journal of Clinical Sleep Medicine』に、睡眠時に身体に掛ける毛布を重くすると、不眠症や精神疾患の改善につながるという研究結果を発表した。
この研究では、うつ病、不安神経症などの精神疾患とともに2カ月以上の不眠症に悩む男女120人を対象に行われ、毛布の重さが不眠症や睡眠の質に与える影響を調査した。
参加者は2つのグループに分けられ、1つ目のグループには金属チェーンが入った8kgの重い「加重毛布」と呼ばれる毛布、もう1つのグループにはプラスチックのチェーンが入った約1.5kgの一般的な重さの毛布が与えられた。毛布の見た目や感触は同じで、重量の差異が分からない。8kgの毛布が重すぎると感じた参加者は6kgの毛布に交換できることになっており、提供された毛布でそれぞれ4週間継続して自宅で就寝してもらった。
その結果、金属チェーンの加重毛布で寝た人はプラスチックのチェーンの毛布で寝た人と比べて、睡眠の質が著しく改善されたことが判明。加重毛布を使った参加者の約6割に効果が見られた。その後も加重毛布を自由に選んでもらったが、ほとんどの参加者がより重い毛布を好んで選び、継続して加重毛布を使った人の78%に症状の改善が見られたという。
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