CULTURE | 2019/05/27

【動画アリ】エリート男性医師をドローンで輸送!スプツニ子!+西澤知美「東京減点女子医大」で女性差別をユーモラスに風刺

取材・文:中富和史・照沼雄太郎 写真:神保勇揮・照沼雄太郎 動画撮影:米田智彦
日本に蔓延する女性差別を風刺

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取材・文:中富和史・照沼雄太郎 写真:神保勇揮・照沼雄太郎 動画撮影:米田智彦

日本に蔓延する女性差別を風刺

エリート男性ドクターを輸送するドローン

5月25日から26日にかけて六本木で開催された「六本木アートナイト2019」において、25日に東京ミッドタウンにてスプツニ子!氏、西澤知美氏による『東京減点女子医大-Tokyo Medical University for Rejected Women』の展示とパフォーマンスが行われた。

『東京減点女子医大』は2018年の8月に発覚した大学医学部の一般入試における女子受験生の得点を一律に減点し合格者数を抑えていた問題を背景に、アーティストのスプツニ子!氏と東京芸術大学出身のアーティストである西澤知美氏が「女性の夢と尊厳が当たり前のように軽んじられてしまう日本を変えたい』という気持ちから設立された架空の大学だ。日本の女性差別問題に対し明るくユーモアを交えつつ問題提起をしようというコンセプトが含まれている。

東京減点女子医大は、日本の医療界があまりに「男性の姿かたちをしたドクター」にこだわるため、女子学生たちは仕方なく一般男性を「無敵のエリート男性ドクター」に改造。エリート男性ドクターたちをドローンに乗せて日本各地の病院に配送する。これにより医大から減点・排他されてしまった優秀な女性達も、才能が無駄にならずに日本の医療界に貢献できる、という皮肉と風刺をこめたブラックユーモア大学だ。

2019年の2月にはニューヨークの「205ハドソンギャラリー」にて展示を実施し、配布用に用意していた100部以上の大学入学パンフレットはすぐになくなったという。

ブラックジョークを交えた号外新聞配布パフォーマンス

今回のイベントでは、エリート男性ドクターを日本各地に配送するためのドローンの展示と大学設立記念の号外を配布するパフォーマンスが行われた。

パフォーマンスでは大学の総長と理事に扮したスプツニ子!氏、西澤氏の両名が白衣姿で登場。スプツニ子!氏による「皆様、東京減点女子医大へようこそ。ただいまより私たちが作製したエリート男性ドクター第1号を発送いたします!」との挨拶と両名の自己紹介がなされると、およそ300名が詰めかけた会場からは大きな拍手が送られた。

その後エリート男性ドクターと4人の女子学生が登場し、ドクターがドローンの箱の中に入りプロペラが回り始めると、総長のスプツニ子!氏から「これから大学設立の号外新聞を皆さんに配布いたします」との宣言があり、号外配布パフォーマンスが開始された。

総長であるスプツニ子!氏を中心に「新入生を募集しています!」「今なら裏口入学をクラウドファンディングで募っていますので、皆さん是非入学して下さい!」といったブラックユーモアたっぷりの声がけがなされながら号外が配られると、集まったギャラリーも積極的に号外を求め始めた。

この光景に思わず「こんなに入学希望者がいるとは思いませんでした」とスプツニ子!氏が発言する場面も。「我が校では裏口入学を募集しています!」「お金に物を言わして下さい!」といった発言には会場からも笑いが起こった。多くのギャラリーに届けようと号外配布パフォーマンスはパフォーマンススペースの外にまで及んだ。

5000部用意された号外新聞を観客に配布した

号外を配り終えるとスプツニ子!氏、西澤氏の両名が再び中央へ。エリート男性ドクターが箱からゆっくり立ち上がり、エスカレーターに乗って出荷される様子を2人が手を振りながら見送るかたちでパフォーマンスは終了した。

出勤するエリート男性ドクターに向かって手を振る両氏

日本での個展開催を目指してクラウドファンディング実施中

六本木アートナイト2019での展示案内

パフォーマンス開始直前にスプツニ子!氏へ話をうかがったところ、「見てくれる人にも楽しんで見てもらいたいですし、我々も楽しんでパフォーマンスしたいですね。一律減点問題は 許せないですけど、スタンスとしては『ユーモア持って明るく問題提起』です。『おかしくない?今の日本の状況』というのを笑顔でしっかり伝えることが出来たらいいなと思っています」と語ってくれた。

またドローンを制作した西澤知美氏は「全てが初めてだったので、色々と大変でした。だけど、ドローンがキレイに完成してとても満足しています」と話す。

今後について展示の予定などは決まっていないが、日本での個展・開校を実現すべく、CAMPFIREにてクラウドファンディングを実施中(8月8日・23時59分まで)。5000円のリターンとして入学案内パンフレットがもらえるほか、10万円のリターンでは裏口入学が可能な学生IDカードが発行される。

女性の差別問題について関心がある方、東京減点女子医大の作品を生で見てみたい方は是非ともチェックしてみて欲しい。


「東京減点女子医大」の日本初個展を実現させたい!