CULTURE | 2020/05/22

わずか1年で分解される植物由来のプラスチックに世界中から期待の声。コカ・コーラもプロジェクトを後押し

文:赤井大祐
年々深刻化している、プラスチック廃棄問題。WWFによると現在、地球上の海を漂うプラスチックの量は1億50...

SHARE

  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • line

文:赤井大祐

年々深刻化している、プラスチック廃棄問題。WWFによると現在、地球上の海を漂うプラスチックの量は1億5000万トンと推定されており、多くの海洋生物たちが深刻な被害を受けている。さらに、これらのプラスチックはほとんどが自然分解されないため数百年に渡って海に残り続けるというのだ。

そんな中、オランダの生化学会社が開発した、プラスチックに代わる素材がこの問題を解決してくれるのでは、と期待が寄せられている。

1年で分解できる、植物由来のプラスチック

オランダの生化学会社であるアバンティウム社は、自然分解に数百年を要するプラスチックに代わって、わずか1年以内で分解することができる「バイオプラスチック」を開発したと、『The Guardian』が報じた。

通常プラスチックは石油などの化石燃料から作られるが、このバイオプラスチックは、植物から抽出した糖分を利用して作られる。生ごみ処理機で1年以内、屋外放置で数年以内に自然分解ができると実証されているとのこと。環境問題に対する解決の糸口になりそうだ。

大手ビールメーカーなどが支持

現在このプロジェクトに、ビールメーカーのカールスバーグや飲料メーカーのコカ・コーラ、ヨーグルトメーカーとして知られるダノンなどが支持を表明している。

中でも、カールスバーグはダンボールで作られたボトルの内側にこのバイオプラスチックを貼り付けた、100%植物由来の「グリーンファイバーボトル」の開発にすでに取り組んでおり、早ければ2023年までにこれらのボトルが市場で販売される予定だ。

現在このバイオプラスチックはとうもろこし、ビーツ、小麦から抽出される糖分を利用し、年間5000トンほどの量を製造される予定だが、アバンティウム社は将来的な需要の増加を考え、食品ではなく、生ゴミを原料とするバイオプラスチックの開発に取り組んでいくという。

次ページ:年内に大規模投資。さらなるパートナーシップも

next