大学が返金できない理由
これは、大学としては非常に頭の痛い問題です。
というのも、大学の施設はキャンパスが閉鎖になっても維持費はかかるわけで、すべてを返金してしまうと大学の経営が危うくなってしまうからです。
また、大学側の立場からしてみると、授業のオンライン化やこの未曾有の事態に対応するため、スタッフに多大な負荷がかかっています。業務量は増大し、売上は減少するという事態を避けたいという事情は、非常によくわかります。
そのため、例えば早稲田大学は、学費および実験実習料の減額をしない旨を、総長名義で発表しています。
この中で、理由として
・実験実習料は、卒業までに必要な実習料なので、在学中に埋め合わせはする
・教員、職員が、一生懸命オンラインで満足できる授業ができるようにがんばっていること
を挙げています。
本件に対し、実際に早稲田大学に在籍している2名の学生に話を聞いたところ、
「今4年生で、10カ月後には卒業になるのだが、仮に後期に大学に行けるとしても、前期分の実習を提供してくれるとは思えない」
「オンラインの授業を一生懸命作ってくれているのはわかるが、クオリティが伴っていない。この説明には納得できない」
という、手厳しい意見が返ってきました。
この返金の有無に関して議論をしていくと、最終的にはアメリカのように集団訴訟して、司法の手に委ねるという結論になるので、ここでは深掘りしません。
ただ、多くの学生の意見は「きちんとした授業をしてくれたら、非常事態であることはわかっているので、文句を言わない」ということです。