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文:coolpolaris
9年間の不妊治療の末、養子を引き取る
栄養士のダスティン・ムーアさんと妻のカレンさんは、9年間の不妊治療や流産などの苦労の末、養子を引き取ることにした。そして昨年11月、米国コロラド州で養子縁組の手続きを済ませて、生後8日の娘と共にサウスウエスト航空で、カリフォルニア州の自宅に帰ろうとしていた。
初めてのフライトで不安いっぱいだったムーア夫妻。しかし、そんな心配は客室乗務員の心遣いで払拭された。娘のおむつを替えなくてはならなくなった時、客室乗務員がすぐに機内後方のプライベートスペースに案内してくれた。さらに、客室乗務員たちは娘を可愛いと褒め称え、家族の事情を伝えるとお祝いの言葉をかけてくれた。
客室乗務員による祝福
さらに客室乗務員は機内のインカムで、「皆さん、本日のフライトには特別なお客様がいらっしゃいます。生後わずか8日で、両親と一緒に自宅に帰る予定です」とアナウンスした。すると、すぐさま機内が歓声と拍手で包まれ、たくさんの人が次々と駆け寄って家族を祝福した。
続けて客室乗務員は、乗客にナプキンとペンを配布。ムーア夫妻のために祝福のメッセージとアドバイスを書いてほしいとお願いした。すると60枚ものナプキンがムーア夫妻の元に寄せられた。そこには「お互いの足を擦って、赤ちゃんの足を擦ってください」「夜のデートの時間を作ろう」「彼女に愛してるっていつも言ってね」「楽しんでね。あっという間です」「ワインをたくさん飲んで!」というメッセージが書かれていた。
この中には、自身も養子だったという人からのメッセージも。そこには「私は64年前に養子になりました。この子を愛してくれる家族の一員にしてくれてありがとう。養子になった子どもには、少しだけ多くの愛情が必要です。おめでとう」と綴られていた。
スクラップブックが夫婦のバイブルに
ダスティンさんは当初、娘に対する心ない人からの誹謗中傷を恐れていた。しかし、自身が受けた他人への愛や優しさを伝えることが大切だと考え、今月9日Twitterで公表し、一連のエピソードとともに、60枚のナプキンが収められたスクラップブックの写真をアップした。
帰りの飛行機にたまたま乗り合わせた他人の愛と優しさが、不安だらけのムーア夫妻を勇気づけ、親になることを決意させたのだ。このスクラップブックは、今後ムーア夫妻の子育てを後押しするバイブルとなるであろう。人として自然と生まれる善意や親切心の輪が、このように広がることを願ってやまない。