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文:岩見旦
Amazonや楽天市場などネット通販やネットオークション、フリマアプリといったインフラの普及によって、宅配業者をよく利用するようになった人も多いだろう。国土交通省の調査によると、2017年の宅配便取扱個数は42億個を突破し、急速に拡大している。
しかしその一方、増加した宅配業者の利用者につけ入る悪質な犯罪が起きているという。SNS上で話題になっている、宅配業者を装った巧妙な詐欺を紹介する。
「佐川です」と名乗る詐欺電話
あるTwitterユーザーの元に、宅配業者を名乗る電話が入った。
「佐川です。お届け物があるのですが、字が読み辛くてお宅の住所が分かりません。申し訳ないですが、名前と住所を改めて教えてもらってもよろしいでしょうか?」
一見、自宅の場所が読めなかった佐川急便の配送員からの電話のように思える。しかしこれは電話番号から名前や住所を聞き出す詐欺電話だ。個人情報を漏らすと悪用される危険性がある。こういった電話には、「送り主に聞いてください」と言って断れば問題ないとのこと。
また、こういった電話は相手に「宅配業者の佐川急便である」と誤解させるため、「佐川です」と一般的な名字で名乗るという。これにより、詐欺師は「宅配業者だとは言っていない」という言い訳の余地を残すことができるのだ。
多岐にわたる詐欺の手口
6日に投稿されたこのツイートは瞬く間に拡散され、14万件を超えるリツイートを記録。実際に佐川急便で働いているという人は、お客さんに電話をする際は「佐川です」ではなく「佐川急便です」と正確に名乗ると明かした。
また、物流系のコールセンターで働いていたという人によると、配送業者の専門部署で伝票の控えをデータ化しており、仮に配達員が出先で伝票が読めなくなった場合は、コールセンターに確認の電話をするとのこと。
お客さんに直接電話をする際は、出荷人の名前と住所、内容物を伝えている、という現役配送員からの声も寄せられた。配送員が何も告げずに、個人情報を聞き出すことはなさそうだ。
佐川急便は「住所等が不明瞭だった場合や、代金引換のお荷物をお届けする際に事前にお電話をおかけすることはございます」としているものの、「決して第三者の住所・電話番号や個人情報等をお聞きすることはございません」と注意を促している。
佐川急便のみならず、他の配送業者を装った詐欺電話も横行している。電話だけでなく、メールやSMSから不正アプリをインストールさせるなど、その手口は多岐にわたっているようだ。身に覚えのない電話などが来たときにはくれぐれも注意してもらいたい。