文:岩見旦
1888年、イギリス・ロンドンを震撼させた連続殺人犯、切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)。約2カ月の間に売春婦を次々に惨殺したものの、犯人は見つからず迷宮入り。世界で最も有名な未解決事件として知られていた。
しかし、事件から131年経った今、最新のDNA解析技術により、切り裂きジャックの身元が特定されたと話題になっている。
切り裂きジャックはポーランド人理容師と発表
海外の法医学誌に、切り裂きジャックの犯人はポーランド人理容師のアーロン・コスミンスキーと判明したという論文が発表された。
当時殺人現場の近くに住んでいたコスミンスキーは、犯罪歴と精神病の入院歴があり、売春婦を憎んでいたという。目撃者の証言により逮捕されたが、証拠不十分で起訴は見送られ、その後精神病院で死亡している。
今回検証されたのは、被害者であるキャサリン・エドウズさんの遺体のそばにあったシルクのショール。ここから検出された血液と精液から採取したDNAを鑑定した。その結果、コスミンスキーのデータと関連性が見られたのだ。
また今回の鑑定では外見の分析も行われ、コスミンスキーが茶色の髪と茶色の瞳であることも判明。これは当時の目撃者の証言とも一致するという。
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鑑定結果に各方面から疑問の声
しかし、これですべて解決、めでたしめでたしというわけにはいかなかった。今回の研究に関し、各方面からクレームが入っている。
まずは今回の鑑定に用いられたのがミトコンドリアDNAである点だ。ミトコンドリアDNAは本来、犯人を明確に識別するためには使用することが出来ない。ショールに残ったミトコンドリアDNAは、当時ロンドンに住んでいた何千人もの人から来た可能性があるのだ。また検証結果の公開方法についても、一部は詳細なデータではなくイラストとして描かれているため、正確に判断することが出来ないと批判が上がっている。
さらには、このショールが本当に決定的証拠か疑わしいという声さえも寄せられた。専門家はこのショールとキャサリン・エドウズさんを結びつける文書は存在しないとコメント。事実、このショールは当時のヨーロッパでどこでも手に入れられるものだったという。
まだまだ真相解明とは行かない切り裂きジャック。この謎が解ける日は、いつか来るのだろうか。
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