文:岩見旦
米国フロリダ州マイアミで1954年にスタートしたハンバーガーチェーン・バーガーキング。肉々しいパティが特徴のワッパーで人気を集めている。
そんなバーガーキングが前代未聞のハンバーガーを作り出したと話題だ。
0%ビーフのハンバーガーがアメリカで試験販売
バーガーキングが販売を開始したのは、ビーフを使っていないハンバーガー。その名もインポッシブル・ワッパー。シリコンバレーのベンチャー企業インポッシブル・フーズと共同開発した。
インポッシブル・ワッパーのパティには、ビーフの代わりに植物を原料とした人工肉が使われている。4月1日から、米国ミズーリ州セントルイス周辺の59店舗で販売されており、試験販売に成功すれば今後7200店舗ある全米で販売を行う計画だ。
インポッシブル・ワッパーは通常のワッパーに比べ、脂肪を15%カット、コレステロールを90%カットしているという。価格は通常の食肉のワッパーより約1ドル高い価格が設定されている。
ビーフ不使用にも関わらず味も見た目もそっくり
植物由来のパティと言われると、味気ないイメージがあるだろう。しかし、インポッシブル・ワッパーのパティは見た目だけでなく味も、ビーフのパティそっくりだとのこと。
こちらは、何も知らせずインポッシブル・ワッパーを試食してもらい、食べ終わった後に「実は今、食べたパティにはビーフが使われていない」と明かすドッキリ動画だ。衝撃の事実を告げられた人は「絶対ビーフだよ!」「本当に?」などと驚きのリアクションを見せている。
インポッシブル・フーズは、大豆の根から抽出された「ヘム」と呼ばれる物質を合成することで、この肉汁滴るパティを実現させた。
世界に広がる食肉生産の依存を避ける試み
この植物由来のパティは、食肉に関する健康への影響や倫理的問題を避け、食肉生産の依存を避けるというインポッシブル・フーズのミッションの一環として開発された。
現在、インポッシブル・フーズの商品は6000店以上で扱われているが、全米のバーガーキングでこのハンバーガーが販売されれば、その販路は2倍に広がる。
インポッシブル・フーズは昨年からファーストフードチェーンのホワイト・キャッスルにも植物由来のパティを提供。またファーストフードチェーンのカールズジュニアは、ビヨンド・ミートの人工肉によるハンバーガーの販売を開始。マクドナルドもスウェーデンで大豆を使ったハンバーガーの取扱いを始めた。
果たしてインポッシブル・バーガーは健康志向の高いハンバーガーファンの心を掴むことはできるのだろうか。日本での販売も期待したい。