LIFE STYLE | 2018/07/19

インドで最も熱狂的なホーリーを求めて聖地ブリンダーバンへ【連載】世界の都市をパチリ (15)

過去の連載はこちら

宮崎大輔
1988年長野県生まれ。信州大学大学院農学研究科で修士号を取得後、2013年からJ...

SHARE

  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • line

過去の連載はこちら

宮崎大輔

undefined

1988年長野県生まれ。信州大学大学院農学研究科で修士号を取得後、2013年からJICAの青年海外協力隊に参加。中米パナマ共和国で農業指導を2年間行う。2015年からフリーランスになり日本、東南アジア、南米、アフリカの案件に農業コンサルタントとして従事。またノマド生活をしながら、世界中でスナップ写真やポートレート写真を撮影中。ブログ  

ヒンドゥー教の聖地へ

インドへ来た目的は、ヒンドゥー教のお祭り「ホーリー」を撮影することでした。ホーリーでは、参加者が互いにカラフルな粉を掛け合います。ヒンドゥー教にはまだまだカースト制度が残っていますが、この日だけではカーストが関係なくなるそうです。

デリーやバラナシでもホーリーは行われますが、私たちの目的地はブリンダーバン。ブリンダーバンには、ヒンドゥー教のクリシュナ神が生まれた寺院があります。クリシュナ神はヒンドゥー教の神々の中でも人気が高く、ホーリーの時期には熱狂的な信者が集まってくるそうです。そこでインドで最も熱狂的なホーリーを写真に収めるために、ブリンダーバンへ向かいました。

寺院に入ることも大変

予定通りブリンダーバンに到着しましたが、寺院へ向かう道はすでに信者でパンパンの状態で、前に一歩も進めません。まだ寺院の門は閉まっていますが、信者たちは興奮状態でした。仕方がないので裏道を探して寺院を目指します。裏道にはカラフルな粉を売るお店や食べ物を売るお店、物乞いをする人たちが集まっています。

カラフルな粉を顔に投げつけ合う人たちにも遭遇し、私の顔も紫に色に染まっていました。他人の顔に粉をつけることは良いことなので、粉をかけてもらったら私も「ハッピーホーリー」と言いながら相手の顔に粉を付け返します。

二階の観覧席へ登る

寺院へ到着した私たちは群衆に揉みくちゃにされながら、なんとか寺院の中へ入りました。寺院の祭壇にはクリシュナ神が祀られており、少しでも近づくために信者が体をぶつけ合いながら進んでいます。後日気がついたのですが、この人混みでのせいで足の小指を誰かに踏まれ骨折していました。それほど激しい体のぶつけ合いだったのです。その勢いに押されて、一度はそのまま寺院の外へ出てしまいました。

1階では写真撮影が禁止だったのでもう一度寺院の中へ戻り、写真撮影が許されている2階まで上がりました。2階には世界中からフォトグラファーが集まっており、寺院の熱狂ぶりを写真に収めています。

祭壇へ殺到する信者たち

寺院の2階から1階を見下ろすと、その熱狂ぶりがよくわかりました。入口から入ってきた信者は祭壇を目掛けて殺到します。すると、聖職者たちが黄土色の液体を彼らに浴びせ、定期的に祭壇の布を上げ下げしてクリシュナ神をお披露目していました。クリシュナ神の姿が見えると信者の盛り上がりがさらに高まり、大声を出したり粉を投げたり祭壇に突撃しています。インドで最も熱狂的なホーリーと言われるだけあり、ブリンダーバンの寺院の中は宗教的な儀式という雰囲気でした。

女性は静観

その盛り上がりとは対比にあるのが、女性たちです。寺院の中で祭壇へ向かうのは男性だけで、女性たちは寺院の端に集まり静かに眺めているだけでした。男性と女性の役割がきっぱりと分かれているヒンドゥー教ならではの光景でしょう。ただし女性たちもお祭りに無関心というわけではなく、他人に粉をかけたりお祈りをしていました。

ホーリーの時期は危険

今回のインド旅行は安全面にかなり気を遣っていました。というのも、この時期は外国人がリンチやレイプの被害に遭う危険性が高くなるからです。私たちは男性2人・女性1人の3人で行動していたので無事でしたが、女性だけで行動していた日本人グループは胸を揉まれるなどのセクハラの被害に遭ったそうです。また、私たちの目の前で、欧米人の男性が信者に衣服をすべてビリビリに破られ、逃げ去ることも数回起きました。ホーリーの時期には必ず常に複数人で行動するなど十分気をつけてください。


過去の連載はこちら