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疑似科学として批判が殺到した『水からの伝言』の完結版、年内出版へ
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  • 2019.05.01
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疑似科学として批判が殺到した『水からの伝言』の完結版、年内出版へ

Photo By Shutterstock

文:岩見旦

『水からの伝言』の出版20周年を迎えた今年、完結版となる『水からの伝言 ザ・ファイナル』の自費出版クラウドファンディングがCAMPFIREで実施され、40人の支持者から101万5000円を集めた。

話しかけた言葉で水が変化する?

『水からの伝言』とは1999年に出版された、江本勝氏による水の結晶の写真集。「ありがとう」「愛」などの言葉を紙に書いて見せたり、声をかけたりした水からはきれいな整った結晶ができ、反対に「ばかやろう」「殺す」など汚い言葉を見せた水からはいびつな崩れた結晶ができるといった内容で、言葉特有の波動が水に情報を転写すると説明している。

多くの小学校で道徳の教材として採用され、話題になった『水からの伝言』。関連書籍は45カ国以上に翻訳され、発行部数は世界中で300万部を突破。2004年には『水は答えを知っている』の英語版がニューヨーク・タイムスのベストセラーリストに17週連続でランクインした。

完結版のクラウドファンディングページでは「最先端の水の研究をしている科学者の方々から肯定されるような状況となった」とし、前書きはワシントン大学教授であるジェラルド・ポラック博士が執筆するとのこと。

「人間関係を物理現象に還元する倒錯した論理構成」疑似科学の典型例

2000年代、『水からの伝言』は国内外で急速に広まる一方、科学的根拠がないにも関わらず、まるで科学的に実証されているかのように装った「疑似科学」の典型例として、科学者や各種団体から批判を集めてきた。

明治大学情報コミュニケーション学部教授の石川幹人氏が立ち上げた「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」では、『水からの伝言』を「人間関係を物理現象に還元する倒錯した論理構成」「ごく基本的な自然科学的知識、あるいは言語学などの知見と相容れない考え方」「具体的な理論構築は示されていない」と一刀両断。「主張の多くは科学の体裁をなそうとしていないため、本来ならば科学性の判定をするような対象ではない」と結論づけた。

実際、江本氏自身も『AERA』2005年12月5日号のインタビューで、同書についてポエムであり、科学だとは思っていないと告白。ただし、今後周りの研究者によって科学的に証明されていくだろうと持論を述べた。

感謝の言葉は大切という倫理的な正しさを理由に、科学的にデタラメなことを伝えることの免罪符にはならない。特に教育の場でならなおさらだ。完結版は2019年内の出版を予定している。


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