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EVENT | 2019/05/15

創業時から受け継ぐ「やってみなはれ」のチャレンジ精神が人も会社も伸ばす!

思わず働きたくなる魅力ある企業の要素として、今春から始動した働き方改革は重要な役割を担っている。そんな中、エンプロイヤー...

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思わず働きたくなる魅力ある企業の要素として、今春から始動した働き方改革は重要な役割を担っている。そんな中、エンプロイヤーブランドを推進する取り組みとして  、世界最大級の総合人材サービス「ランスタッド」が主催するアワードが、「エンプロイヤーブランド・リサーチ〜いま最も働きたい企業2019〜」だ。

今回は、今年のアワードで第1位に輝いた、サントリーホールディングス株式会社に取材。これまでも社会活動や働きやすさにおいて高いスコアをキープし、同アワードの受賞企業の常連である同社だが、その背景には、創業時から受け継ぐ「やってみなはれ」の精神が息づいている。

果たしてそれは、次世代に向けて働く現在のビジネスパーソンにどんな好影響を与えているのか? 同社ヒューマンリソース本部人事部部長兼ダイバーシティ推進室長の千大輔氏に話を伺った。

取材・文:庄司真美 写真:松島徹

企業理念に色濃く示される、「やってみなはれ」精神と社風

今年120周年を迎えるサントリーホールディングスは、創業者・鳥井信治郎氏がぶどう酒や日本初の本格ウイスキーの製造に乗り出し、洋酒文化を日本に広めたパイオニアである。その後、市場最後発でビール事業に挑戦したほか、ハイボールを定着させたり、世界にジャパニーズウイスキーを広めて市場を開拓したりして、新たなカルチャーを創出してきた。

サントリーホールディングス ヒューマンリソース本部人事部部長兼ダイバーシティ推進室長の千大輔氏。

―― 失敗を恐れずにトライする「やってみなはれ」精神は、現在の企業理念にも反映されていますか?

千: 弊社の経営ビジョンや価値観には、今も創業者・鳥井信治郎が口ぐせのように言っていた「やってみなはれ」の精神が息づいています。人がやらないことに挑戦し、さらに一度挑戦すると決めたら最後まで諦めずにやり切ろうという思いが受け継がれています。

―― 近年ではハイボールを市場に根づかせたことも、御社のチャレンジやパイオニア精神の表れですよね。

千:ワイン文化を日本に広めたことから始まり、これまで誰も手がけたことのないウイスキー事業に挑み、さらに1960年代には、すでに寡占状態だったビール市場に最後発として乗り込んだことなど、「やってみなはれ」を象徴するトピックスはいくつかあります。でも、実際は社史には出てこない「やってみなはれ」も数多くありまして、社員一人ひとりがそうしたチャレンジ精神を大切にしてきた結果、今のサントリーが築かれたと思っています。

若手のうちから大きな仕事を任せることも弊社のモットーで、教育の根本としてありますね。そんな社風やスピリッツがあるため、ちょっと変わった商品をはじめ、ハイボールなどの飲み方や文化につながるようなアイデアが出てくるのではと考えています。

―― 「エンプロイヤーブランド・リサーチ ~いま最も働きたい企業 2019~」の受賞に際しては、CSR(社会的責任)、職場環境、仕事内容が1位という結果でしたが、評価された点をどのように捉えていますか?

千:職場環境については、2016年から働き方改革に本格的に取り組み始めて、残業時間を減らし、有給休暇の取得日数が格段に増えるなど、一定の成果を出すことができました。後半は単に労働時間を減らすだけでなく、創出できた時間を社内外のネットワーキングや自己学習、家族と過ごすといった、総合的な人間力を向上させる時間に転化させる取り組みに注力してきました。それが進んでいる部署では、バーチャルな学びの場である「寺子屋」でイベントを企画したり参加したりする動きも起きています。

そこでは、社員が講義を立ち上げ、働き方改革により創出した時間で学んだ事などを発表することができます。  最初は労働時間の削減テクニックのような発表が多かったのですが、次第にコミュニケーションや組織の活性化などの有意義な活動発表が増えてきました。単に労働時間を減らすだけが働き方改革ではなく、アウトプットの質を高めていくのが最終目標であり、アイデアやインスピレーションを高めていくための方向転換がようやくスタートしたところです。

そうした取り組みが職場環境の良好化につながっているほか、ここ数年でグローバル企業に少しずつシフトしていく中で、働く人の活躍のフィールドが広がるイメージを持たれているのではないかと考えています。

―― それ以外に評価されたと自負される点はありますか?

千:弊社の仕事領域は幅広く、商品の開発をはじめ、新規事業をやろうと思えばできますし、何か形あるものを残したい、やり遂げたいというニーズにも応えられます。一方で、職場の雰囲気も非常にいいですし、組織がフラットなので仕事をしていて楽しく、やりがいがあります。また、仕事を任せてもらえるので、成長実感を持ちやすい会社ではないかと思います。そうした点が、好印象を持たれた要因ではないでしょうか。

「性善説」で会社が人を信じるスタンス

―― 御社ならではの取り組みはほかにはありますか?

千:2007年から早々とテレワークの仕組みを導入しています。当初は育児者や介護者限定の制度でしたが、2011年から全社員に対象を広げて、入社3年目以上なら誰でも利用できるスーパーフレックスも導入しました。日本企業のテレワークの普及率は2〜3割という現状の中、弊社はずいぶん昔から導入したこともあって、年間で最低1回以上テレワークを使った人は8割に上ります。

―― 具体的にはどのようなワークスタイルが可能になりますか?

千:仕事をしてはいけない時間を夜22時から翌朝5時とし、それ以外はどの時間に働いてもOKとしました。それとテレワークを組み合わせると、たとえば朝の6時から家でPCを立ち上げて仕事したり、合間に家事をしたり、一旦17時に仕事を終えて、子どもを保育園に迎えに行ったりして、その後仕事をするといったことができます。テレワークとフレックスタイムを組み合わせることで、時間にも場所にも縛られない働き方を実現したのが2011年で、当時は他社と比べても先進的だったと思います。

そのおかげで、東京オリンピック・パラリンピック開催期間中の通勤困難な状況でも、スーパーフレックスとテレワークを使えば大半の部署は対応できると考えています。

―― テレワークは、ともすれば会社の求心力から離れる側面もありますが、テレワークが普及しても事業が順調に成長を続けられるポイントはどこにあると考えていますか?

千:他社からもよく問い合わせがありますが、会社としては社員に任せるという姿勢で導入したことが、この仕組みが浸透した要因ではないかと考えています。メンバーに仕事を任せるメソッドが制度化されているわけではなく、結局、弊社のスピリットである「やってみなはれ」に行き着くのです。

若手もベテランも仕事のテーマは与えられますし、目標を達成するためのプロセスは上司と話し合って決めますが、「こういう事をしたら面白いのではないか」という考えで進めていく社風です。もし失敗しても、多少の失敗は目を瞑る文化が弊社にはあります。むしろ失敗は成長の元という考え方でマネージメントする方が、個人の成長や仕事へのやりがい、さらにイノベーティブな成果につながるのではないかと考えています。

こうしたことは、サントリーという組織の風土や企業のカルチャーだと思っています。それから弊社ではキャリアビジョンも大事にしていて、年に1回、上司と部下で3年後、5年後の将来の姿について話し合う場があります。目の前の仕事だけでなく、未来の姿を話し合うことで、そのために必要なスキルが明確になります。上司にしてみても、目標に向かって部下が成長する姿を見ることはやりがいを感じられるでしょう。そんな風土もサントリーならではと思います。

―― 働く人を信じる施策を約3.9万人の従業員規模で機能させる工夫点はありますか?

千:特にサントリーグループ傘下の海外のグループ企業は、2009年以降にジョインした会社がほとんどなので、「やってみなはれ」をはじめとする企業理念を理解いただくプログラムには相当力を入れてきました。

座学だけでなく森林整備体験などの活動を通じて、サントリーの企業理念「水と生きる」を体感していただいたり、「やってみなはれ」とはどういうことかを話し合い、自分の言葉で説明できるようになるためのグループワークを実施したりしています。むしろ日本よりも海外の社員のほうが強く共感し、「やってみなはれ」のバッジを作った例もあります(笑)。最初は、「やってみなはれ」を英訳で「Go for it」と伝えていましたが、日本語のままのほうが共感を得られやすいことから、途中からローマ字表記で伝えるようになりました。

―― 最後に、これから注力したい働きやすくするための取り組みについて教えてください。

千:内向きにならず、もっと社外とつながる施策にも今後取り組む考えです。具体的には、 会社に籍を置いたままグループ外の会社で働いたりできる“留職”という施策や、本業に支障がない範囲での副業、一旦会社を辞めて異なるフィールドの企業や団体で活躍した後、再び戻ってこれる制度にも取り組んでいきたいと思っています。

また、“人生100年時代”といわれる中で、シニアの活躍促進は社会だけでなく、日本企業に与えられた課題であるとともに、競争優位を生み出す源泉にもなりうると考えています。弊社では2013年から65歳定年制に踏み切りましたが、今後、シニアに活躍いただく施策をはじめ、社員にとって多岐にわたる幸せなキャリアプランをいかに会社として提示できるか?ということを検討し始めています。


サントリーホールディングス